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ふたたびスカイツリー de らんでぶ~
第三話
しおりを挟むだいたい一周できたところで、さらに上空の天望回廊があるフロア445へ向かった。
ここからはスロープ状になっているガラス張りの回廊を自分の足で歩き、最高到達点のあるフロア450へ向かうようになっていた。高低差は五メートルとはいえ、ゆるやかな坂道になっていて、空中散歩といわれるだけあり、窓の外の景色を眺めながら歩いていると、足元がくらくらしてくる。
(陽太、ごめん。ちょっと休んでいいかな)
半分ほど登ってきたところで灯里は足を止めた。
(うん、いいよ。へーきか?)
(うん、大丈夫。ちょっとふらついただけだから)
さきほどの天望デッキにくらべると、天望回廊にはほとんど人がいなかった。
(そんじゃ、そろそろ、でかくなろーかな)
(えーっ、ここで? 私、チケット一人分しか買ってないのに)
(まあまあ、かたいこと言わないで。ほら今のうちにさ)
陽太に促されて鞄からキーホルダーを外すと陽太は大きなパンダ姿になった。と同時に点灯時間になったのだろう、ツリーの「雅」の紫色に合わせて、回廊も足元から光が照らされると、空間そのものが紫色に染まった。
「お~、雰囲気でるねえ」
陽太は感心すると、窓の外を眺める。
「うっわあ、たっけー、すげえ。さっきの天望デッキよりはるかに高いぞ」
それはそうだ。だってここは、さきほどのデッキからさらに百メートル上空。
それに、スカイツリーがライトアップされるのは日没時間にあわせて、ということなので、ここからは薄暮となる。やがて夜が始まり東京一帯で明かりが煌々と灯り始め、眠らない街の夜景は、昼や夕方とはまた違った雰囲気になるだろう。それをはるか上空から眺めることができるのだ。
灯里はわくわくするような高揚感を覚えると、ふたたび歩きだして頂上を目指した。
ソラカラポイントと呼ばれる、最高到達地点は地上から451・2メートル。
東京スカイツリーの公式キャラクター、ソラカラちゃんのイラストが描かれた柱が目印になっていた。
「うわ、きれー。あ、文字が浮いてるよ、これ」
陽太が、窓を覗きながらそう言ってきたので見てみると、窓の向こうには今日の日付やソラカラポイント、などの白い文字が映っている。それは外の景色と一緒にガラスの外側に浮かんで見えており、いったいどんな技術が使われているのだろうと、不思議だった。
「そんじゃ、早速、写真、写真」
陽太は、灯里からスマートフォンを受け取ると、自撮りモードに変えて、
「はい、撮るよ~」
シャッターを押す。
「また、俺のメールに送っとこ」
メールを送信し終えると、灯里にスマホを返してきた。
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