21 / 37
ディザスター・ゲーム
ディザスター・ゲーム2
しおりを挟む
更新された連絡帳の最後に書かれたドイツ語は、『人の不幸は蜜の味』と同じ意味を持つドイツ語について書かれていたようだ。サードは人の不幸を楽しんだことを具体的に思い浮かべることができない。からかったりすることとどう違うのだろうか。もしかして、その程度の軽いジョークやいじりもシャーデンフロイデに含まれるのかと嫌な気分になる。
娯楽やエンターテイメントは誰かがへりくだって提供するものだ。その誰かが自分から馬鹿騒ぎしない限りは、誰かを選んで笑い者にするのが手っ取り早い。そこに悪意はない。笑いが生まれたらそれは一種の成功で、笑い者にされた人以外が幸せに楽しめる空間ができあがる。笑いといじめは紙一重なのかもしれない――。
「あなたキラー・ハニーじゃない? 違う?」
キリンAが瞳を潤ませてほんまKAINAを咎めた。
何を言い出すのかとみんな目を丸くする。サードもキラー・ハニーがこの中にいることは考えなかった。あんなダンスの上手い奴がこの中にいるとは思わない。根拠はそれだけだが。
「うち? んなわけあるかいな。ちゃうちゃう。それよか、みかんのここ♡はんの情報更新されてんから、確認せな。次のゲームの部屋に入らんと廊下でたむろしてたら、サードはんの赤ちゃんもビリビリされんねんで?」
これにはサードはほんまKAINAを張り倒したくなった。動きが緩慢にならざるを得ない臨月でなければ、パーではなくグーで殴っていたかもしれない。
「急に心配するフリやめなさいよ」
「サードのことで誤魔化さないでよ。赤ちゃん心配じゃないわけじゃないけど」とキリンAが半泣きになる。
そこは徹底的に追い詰めて欲しいが、サードもここにきて蓄積した疲労で詰問する体力がない。
「もう入ろうか?」氷河が問う。
ほんまKAINAが機嫌の悪い声で、ドアノブに手をかけた氷河を押しのける。
「氷河はんも、うちがキラー・ハニーや思うてんやろ? たぶんな、うちがどんな動画撮ったか言えば、この脱出ゲームは終わるんかもしれん。でもな、それやとアホみたいやん。損するのはうちだけやねん。分かるか? お前ら全員が、はよぉ思い出せや。誰にどんな嫌がらせして楽しんだんか思い出さん限り、終わらんねんぞ! 何でうちだけが告解みたいな真似せなあかんねんな。このゲームに閉じ込められてるちゅーことは、お前ら全員クズ人間てことやねんからな!」
ほんまKAINAの剣幕に気圧されて、氷河は腰を抜かす。ほんまKAINAはそれが気に食わないのか氷河を蹴り始めた。
「キャー!」
キリンAが泣いて自分だけ安全圏へ避難する。そうやって怖がるなら、最初からほんまKAINAを煽らないで欲しかった。
氷河に殴る蹴るの暴行を始めたほんまKAINAを止められる人物はいない。テカプリがあわあわと口を開閉する。タイタンフレッドはカメラ持ってくればよかったと呟くだけで面白そうに見学している。
「ちょっと、落ち着いてよ!」
サードがほんまKAINAを引き剥がそうと腕にまとわりついたとき、真横に突き飛ばされて腹を廊下の壁にぶつけた。息が詰まる。とても立っていられなくて尻もちをついた。腹も骨盤も岩にぶつかったような衝撃で、とてもじゃないが動けない。同じく床にうずくまっている氷河がたこ殴りにされて血反吐を吐く。
「い、い、い、いい加減にしろ!」
止めたのはテカプリだ。精いっぱいのドスの効かせた声を出してほんまKAINAを殴った。決して強い一撃ではなかった。が、行動を起こしたことに誰もが驚いた。
ほんまKAINAはよろめいて、頬の痛みよりも先に自身の真っ赤に腫れた拳を見てテカプリの充血した目と見比べる。
「腕疲れてきたから、やめといたるわ」
殴っている側も痛かったんだとサードは見抜く。
テカプリが氷河立たせてやった。手酷くやられていて唇や口内を切っていた。立つのも一苦労している。
「サードは?」
氷河が一番にサードの名を呼んだことに、サードは戸惑う。自然に頬を生暖かいものが伝う。ちょっとやだ――。痛みで涙が出ることもほとんどないサードは、今日会ったばかりの氷河に泣かされるとは思わなかった。何か言った方がいいのだろうが、何を言えばいいのか分からずにいるとテカプリがサードの肩に手を置いた。
「サード、ありがとう。僕一人じゃほんまKAINAを止められなかったかも。立てるかい? もう少し休む?」
「ん? あ、いいよ。ありがと」
テカプリがその後、ほんまKAINAを叱っていたが、ほんまKAINAはどこまで聞いているか分からない。
血の気の失せた顔の氷河がこちらを見つめている。サードは何も言われていないのに「ありがとう」と言われた気がした。
乱闘収束後、やっと本題のみかんのここ♡のデータの話に移る。この長丁場にも関わらず電撃の罰は与えられなかった。このごたごたをキラー・ハニーが見ているのは確実だろう。『たにんの不幸をあじわっちゃおう』という声が聞こえてきそうだ。
テカプリが取りまとめようと口火を切る。
「もう暴力はなしで聞いてくれよ? 第四のどうが『トイレの汚水舐めてみ?』五分一秒。三十万回再生。ってのはタイトルからして相当ヤバイ。みかんのここ♡くんは、間違いなく誰かをいじめる動画を撮影していたんだ。それから、再生回数。これはグルメユーチューバーのほんまKAINAくんの方が、どれぐらいの人気があった動画なのか説明できそうだよね?」
「なんでうちがせなあかんねんな。三十万回再生なんて、素人の中でちょっと上ぐらいなだけやんか。広告収入でも一万円ぐらいにしかならへんやろ」
「でも、いじめ動画を三十万回再生させるって、けっこうな回数だと僕は思うけどね。推測だけど、Tという生徒をトイレでいじめていたんじゃないかな。汚水を舐めさせるってのは相当酷いよ。興味を惹かれるというよりは、本当にそんなことができるのかといった怖いもの見たさが刺激されて、この再生回数を叩き出したんじゃないかな」
「よくある話」サードも呟く。
学校の敬虔な教会信者の生徒でさえ、後輩を女子トイレに呼び出して集っていた。サードはそれには参加しなかったが、もし他のクラスや下級生ではなくて、自分のクラス内でいじめがあったなら、いじめられる側にはなりたくないので、率先していじめてしまう気もした。何も悪気はない。そういう空気があるだけだ。誰が作ったのか分からない空気を壊さないようにすることで、クラスというものは成り立つのだから。
サードが妊娠したと分かったときのクラス中の冷たい視線が忘れられない。あのときも、私はいじめられたりしないと固く誓った――。やられるぐらいなら、いじめる側に回ると。結局、あれこれ言われるのがめんどくさくて学校を休んだんだが。
「実際に、汚水を舐めさせるようなことはやったのかな?」切れた口の端を舐めて、氷河が不安げに尋ねた。
「動画の情報がこれだけじゃね?」
テカプリは肩をすくめる。
タイタンフレッドが喉を鳴らして笑い出した。キモいし、ずっと裸なのもいい加減にしてとサードは思う。
「舐めさせる奴も当然出てくるだろうな」
意味深な発言だ。
「タイタンフレッドはみかんのここ♡の学校を卒業したわけじゃない?」
氷河が鋭く問う。
「当り前だろ。接点はねぇ」
サードはコピーライターの仕事をしていたとタイタンフレッドが言ったのを思い出す。
「ねぇ、コピーライトの仕事で学生やいじめを取材したことは?」
「そんな面白い取材なんか回ってこねぇよ。てかな、俺の美文を依頼者がボツにしやがるんだよ。接点があるとしても、主に就職情報誌のコピーライトをしていたことぐらいだな。職場の働きやすい環境づくりや、社訓なんかも書いたな。そこで学生に会ったりはしてない。そもそも俺はそんな仕事より、もっと女にインタビューできるような仕事がしたかったんだよ。編集長が俺のこうしたいって提案を全部跳ねのけやがって」
コピーライターってお客様の要望を聞き取る能力も必要なんじゃないんだっけ? とサードでさえ疑問に思う。
「クビにしろって取引先の記事発注者が俺の雇い主にじかに言いやがってよ。俺は書きたい文を一文字〇・三円で書いてやったんだ。全然儲からねえんだから、クビにされようが代わらねぇんだよ!」
過去をほじくり出してキレられても嫌なので、サードは話題を変えた。
「いじめは取材してないんなら、何か心当たりは? コピーライターの仕事以外でトラブルは?」
「トラブル? 武勇伝なら教えてやるぜ。俺は高校のとき音楽の先生とつき合ってたことならある」
「意外とロマンチックね。その禁断の恋はどうなったの?」
「そこまで聞くのかよ? 先生の方から逃げた。あー、思い出すだけでむしゃくしゃする。結局自分の職の方が俺なんかより大事だったんだろ」
タイタンフレッドが次の部屋のドアを殴る。
「おい、壊れたらどうするんだ。ゲームに支障が出たらどうする!」
焦るテカプリにタイタンフレッドは、唾を吐きかけた。
「うぎゃ。な、き、汚いだろ!」
すかさず水玉のシャツで顔を拭うテカプリ。
「ここまで話してやったんだからいいだろ?」
謎多きマスクのタイタンフレッドが自分のことを話しただけマシなのだろう。
キリンAは眉間の皺を寄せて、サードと氷河に聞こえるように言った。
「あの人、どうでもいい情報しか話してないね」
「僕もそう思う」と氷河。
氷河が言うならそうなんだろう。
「Tだけじゃ分からない。誰をいじめていたのか。知り合いの苗字も下の名前もTがつく人物はたくさんいるから――。僕も……きっと関与しているんだ」
絶望を滲ませた氷河の声音が震えている。サードは元気出してとは言えなかった。
娯楽やエンターテイメントは誰かがへりくだって提供するものだ。その誰かが自分から馬鹿騒ぎしない限りは、誰かを選んで笑い者にするのが手っ取り早い。そこに悪意はない。笑いが生まれたらそれは一種の成功で、笑い者にされた人以外が幸せに楽しめる空間ができあがる。笑いといじめは紙一重なのかもしれない――。
「あなたキラー・ハニーじゃない? 違う?」
キリンAが瞳を潤ませてほんまKAINAを咎めた。
何を言い出すのかとみんな目を丸くする。サードもキラー・ハニーがこの中にいることは考えなかった。あんなダンスの上手い奴がこの中にいるとは思わない。根拠はそれだけだが。
「うち? んなわけあるかいな。ちゃうちゃう。それよか、みかんのここ♡はんの情報更新されてんから、確認せな。次のゲームの部屋に入らんと廊下でたむろしてたら、サードはんの赤ちゃんもビリビリされんねんで?」
これにはサードはほんまKAINAを張り倒したくなった。動きが緩慢にならざるを得ない臨月でなければ、パーではなくグーで殴っていたかもしれない。
「急に心配するフリやめなさいよ」
「サードのことで誤魔化さないでよ。赤ちゃん心配じゃないわけじゃないけど」とキリンAが半泣きになる。
そこは徹底的に追い詰めて欲しいが、サードもここにきて蓄積した疲労で詰問する体力がない。
「もう入ろうか?」氷河が問う。
ほんまKAINAが機嫌の悪い声で、ドアノブに手をかけた氷河を押しのける。
「氷河はんも、うちがキラー・ハニーや思うてんやろ? たぶんな、うちがどんな動画撮ったか言えば、この脱出ゲームは終わるんかもしれん。でもな、それやとアホみたいやん。損するのはうちだけやねん。分かるか? お前ら全員が、はよぉ思い出せや。誰にどんな嫌がらせして楽しんだんか思い出さん限り、終わらんねんぞ! 何でうちだけが告解みたいな真似せなあかんねんな。このゲームに閉じ込められてるちゅーことは、お前ら全員クズ人間てことやねんからな!」
ほんまKAINAの剣幕に気圧されて、氷河は腰を抜かす。ほんまKAINAはそれが気に食わないのか氷河を蹴り始めた。
「キャー!」
キリンAが泣いて自分だけ安全圏へ避難する。そうやって怖がるなら、最初からほんまKAINAを煽らないで欲しかった。
氷河に殴る蹴るの暴行を始めたほんまKAINAを止められる人物はいない。テカプリがあわあわと口を開閉する。タイタンフレッドはカメラ持ってくればよかったと呟くだけで面白そうに見学している。
「ちょっと、落ち着いてよ!」
サードがほんまKAINAを引き剥がそうと腕にまとわりついたとき、真横に突き飛ばされて腹を廊下の壁にぶつけた。息が詰まる。とても立っていられなくて尻もちをついた。腹も骨盤も岩にぶつかったような衝撃で、とてもじゃないが動けない。同じく床にうずくまっている氷河がたこ殴りにされて血反吐を吐く。
「い、い、い、いい加減にしろ!」
止めたのはテカプリだ。精いっぱいのドスの効かせた声を出してほんまKAINAを殴った。決して強い一撃ではなかった。が、行動を起こしたことに誰もが驚いた。
ほんまKAINAはよろめいて、頬の痛みよりも先に自身の真っ赤に腫れた拳を見てテカプリの充血した目と見比べる。
「腕疲れてきたから、やめといたるわ」
殴っている側も痛かったんだとサードは見抜く。
テカプリが氷河立たせてやった。手酷くやられていて唇や口内を切っていた。立つのも一苦労している。
「サードは?」
氷河が一番にサードの名を呼んだことに、サードは戸惑う。自然に頬を生暖かいものが伝う。ちょっとやだ――。痛みで涙が出ることもほとんどないサードは、今日会ったばかりの氷河に泣かされるとは思わなかった。何か言った方がいいのだろうが、何を言えばいいのか分からずにいるとテカプリがサードの肩に手を置いた。
「サード、ありがとう。僕一人じゃほんまKAINAを止められなかったかも。立てるかい? もう少し休む?」
「ん? あ、いいよ。ありがと」
テカプリがその後、ほんまKAINAを叱っていたが、ほんまKAINAはどこまで聞いているか分からない。
血の気の失せた顔の氷河がこちらを見つめている。サードは何も言われていないのに「ありがとう」と言われた気がした。
乱闘収束後、やっと本題のみかんのここ♡のデータの話に移る。この長丁場にも関わらず電撃の罰は与えられなかった。このごたごたをキラー・ハニーが見ているのは確実だろう。『たにんの不幸をあじわっちゃおう』という声が聞こえてきそうだ。
テカプリが取りまとめようと口火を切る。
「もう暴力はなしで聞いてくれよ? 第四のどうが『トイレの汚水舐めてみ?』五分一秒。三十万回再生。ってのはタイトルからして相当ヤバイ。みかんのここ♡くんは、間違いなく誰かをいじめる動画を撮影していたんだ。それから、再生回数。これはグルメユーチューバーのほんまKAINAくんの方が、どれぐらいの人気があった動画なのか説明できそうだよね?」
「なんでうちがせなあかんねんな。三十万回再生なんて、素人の中でちょっと上ぐらいなだけやんか。広告収入でも一万円ぐらいにしかならへんやろ」
「でも、いじめ動画を三十万回再生させるって、けっこうな回数だと僕は思うけどね。推測だけど、Tという生徒をトイレでいじめていたんじゃないかな。汚水を舐めさせるってのは相当酷いよ。興味を惹かれるというよりは、本当にそんなことができるのかといった怖いもの見たさが刺激されて、この再生回数を叩き出したんじゃないかな」
「よくある話」サードも呟く。
学校の敬虔な教会信者の生徒でさえ、後輩を女子トイレに呼び出して集っていた。サードはそれには参加しなかったが、もし他のクラスや下級生ではなくて、自分のクラス内でいじめがあったなら、いじめられる側にはなりたくないので、率先していじめてしまう気もした。何も悪気はない。そういう空気があるだけだ。誰が作ったのか分からない空気を壊さないようにすることで、クラスというものは成り立つのだから。
サードが妊娠したと分かったときのクラス中の冷たい視線が忘れられない。あのときも、私はいじめられたりしないと固く誓った――。やられるぐらいなら、いじめる側に回ると。結局、あれこれ言われるのがめんどくさくて学校を休んだんだが。
「実際に、汚水を舐めさせるようなことはやったのかな?」切れた口の端を舐めて、氷河が不安げに尋ねた。
「動画の情報がこれだけじゃね?」
テカプリは肩をすくめる。
タイタンフレッドが喉を鳴らして笑い出した。キモいし、ずっと裸なのもいい加減にしてとサードは思う。
「舐めさせる奴も当然出てくるだろうな」
意味深な発言だ。
「タイタンフレッドはみかんのここ♡の学校を卒業したわけじゃない?」
氷河が鋭く問う。
「当り前だろ。接点はねぇ」
サードはコピーライターの仕事をしていたとタイタンフレッドが言ったのを思い出す。
「ねぇ、コピーライトの仕事で学生やいじめを取材したことは?」
「そんな面白い取材なんか回ってこねぇよ。てかな、俺の美文を依頼者がボツにしやがるんだよ。接点があるとしても、主に就職情報誌のコピーライトをしていたことぐらいだな。職場の働きやすい環境づくりや、社訓なんかも書いたな。そこで学生に会ったりはしてない。そもそも俺はそんな仕事より、もっと女にインタビューできるような仕事がしたかったんだよ。編集長が俺のこうしたいって提案を全部跳ねのけやがって」
コピーライターってお客様の要望を聞き取る能力も必要なんじゃないんだっけ? とサードでさえ疑問に思う。
「クビにしろって取引先の記事発注者が俺の雇い主にじかに言いやがってよ。俺は書きたい文を一文字〇・三円で書いてやったんだ。全然儲からねえんだから、クビにされようが代わらねぇんだよ!」
過去をほじくり出してキレられても嫌なので、サードは話題を変えた。
「いじめは取材してないんなら、何か心当たりは? コピーライターの仕事以外でトラブルは?」
「トラブル? 武勇伝なら教えてやるぜ。俺は高校のとき音楽の先生とつき合ってたことならある」
「意外とロマンチックね。その禁断の恋はどうなったの?」
「そこまで聞くのかよ? 先生の方から逃げた。あー、思い出すだけでむしゃくしゃする。結局自分の職の方が俺なんかより大事だったんだろ」
タイタンフレッドが次の部屋のドアを殴る。
「おい、壊れたらどうするんだ。ゲームに支障が出たらどうする!」
焦るテカプリにタイタンフレッドは、唾を吐きかけた。
「うぎゃ。な、き、汚いだろ!」
すかさず水玉のシャツで顔を拭うテカプリ。
「ここまで話してやったんだからいいだろ?」
謎多きマスクのタイタンフレッドが自分のことを話しただけマシなのだろう。
キリンAは眉間の皺を寄せて、サードと氷河に聞こえるように言った。
「あの人、どうでもいい情報しか話してないね」
「僕もそう思う」と氷河。
氷河が言うならそうなんだろう。
「Tだけじゃ分からない。誰をいじめていたのか。知り合いの苗字も下の名前もTがつく人物はたくさんいるから――。僕も……きっと関与しているんだ」
絶望を滲ませた氷河の声音が震えている。サードは元気出してとは言えなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/12/29:『ふるいゆうじん』の章を追加。2026/1/5の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/28:『ふゆやすみ』の章を追加。2026/1/4の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/27:『ことしのえと』の章を追加。2026/1/3の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/26:『はつゆめ』の章を追加。2026/1/2の朝8時頃より公開開始予定。
2025/12/25:『がんじつのおおあめ』の章を追加。2026/1/1の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/24:『おおみそか』の章を追加。2025/12/31の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/23:『みこし』の章を追加。2025/12/30の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる