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第5話 死神クラブ
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「今の日本で信じてるやつの方が少ないに決まってるだろ」
俺はそう抗議しながらも、にじり寄る人々との距離が詰まっていくことを怖れている。おそらくみな、騙されて契約した会員だろう。
「では、一つ申し上げます。神は私と共にあります」
また阿羅亜の影がうごめいたように見える。蜃気楼か? いや、そんな理屈では説明がつかない不気味な動きだった。
「残念ながら神の存在の証明は難しい。なぜなら神は見えないからです。神は人に手を触れることも話しかけることもできないのです。しかし、私は違う。神が私を選んだ。私が神を見ることができたから。しかし、お互いに触れ合うことはできない。神は神でありながら万能の神ではないのです。神は我々崇拝者を募り、求めています。神が神であるための行いを、私に求めているのです」
「神神神神うるさいぞ! そこをどけ」
ふと笑みを零して阿羅亜は俺をなだめるように告げた。
「彼の名前を教えてあげましょう。あなたもきっと入会したくなるはず。誰もが一度は想像したことがあるででしょう。生と死とは何か。その答えを知る者。死神です」
冗談にもほどがある。死神が存在していたとしても馬鹿馬鹿しい。そんな霊的なものを信仰して何になろうというのだ。力を与えられるのか? それとも不思議な魔法でも使えるようになるのか?
「死神クラブってそういう意味だったんだ」
ミキが納得している。そんなことどうでもいいから、何とか逃げなければ。死神がいると仮定するならば、会員は殺されるはずだ。そして、退会希望者も。崇拝者たる阿羅亜たちが、死神の手となり足となり人々をクラブなんてつまらないものに入会させ、死神に捧げているのだろう。古臭い映画のような話だ。ここが現代でなければ。
一人がなたで斬りかかってきた。
「おい、ミキ!」
ぼーっとしていたミキを引っ張り、阿羅亜にぶつかっていった。阿羅亜の話では死神自らが手を出して来ることはない。なら阿羅亜はやはりただの人間だ。阿羅亜はするりと、俺たちを避けた。誤ってこっちが転びそうになる。
「どうしようかな。直接手を下してもいいけれど・・・・・・」
阿羅亜の背中から巨大な鎌が伸びて来た。さっきまで背中に背負ってはいなかったのに、どういうことだ。それよりも、まずいのは、その鎌が足元をかすめたことだ。軽く、血が吹き出た。
会員たちが追ってくる。阿羅亜は遠くで俺たちを見て笑っている。
「どうせこの世は終わりだから、まあいいか」
全速力で走ったせいで、喉から空気が漏れるような音が出ている。せき込んでミキといっしょに大通りに飛び出ると、追っ手っが見えなくなっていた。振り切ったのだろうか? このまま警察に行こうか。それとも一度家に帰って対策を練ろうか。
「どうしよう。あの人たち絶対私たちの顔覚えてるよね」
ミキが不安げに俺の手を握る。普段なら絶対に怒っている行為だが、今はそれどころじゃない。
「俺の家に来るか?」
俺はそう抗議しながらも、にじり寄る人々との距離が詰まっていくことを怖れている。おそらくみな、騙されて契約した会員だろう。
「では、一つ申し上げます。神は私と共にあります」
また阿羅亜の影がうごめいたように見える。蜃気楼か? いや、そんな理屈では説明がつかない不気味な動きだった。
「残念ながら神の存在の証明は難しい。なぜなら神は見えないからです。神は人に手を触れることも話しかけることもできないのです。しかし、私は違う。神が私を選んだ。私が神を見ることができたから。しかし、お互いに触れ合うことはできない。神は神でありながら万能の神ではないのです。神は我々崇拝者を募り、求めています。神が神であるための行いを、私に求めているのです」
「神神神神うるさいぞ! そこをどけ」
ふと笑みを零して阿羅亜は俺をなだめるように告げた。
「彼の名前を教えてあげましょう。あなたもきっと入会したくなるはず。誰もが一度は想像したことがあるででしょう。生と死とは何か。その答えを知る者。死神です」
冗談にもほどがある。死神が存在していたとしても馬鹿馬鹿しい。そんな霊的なものを信仰して何になろうというのだ。力を与えられるのか? それとも不思議な魔法でも使えるようになるのか?
「死神クラブってそういう意味だったんだ」
ミキが納得している。そんなことどうでもいいから、何とか逃げなければ。死神がいると仮定するならば、会員は殺されるはずだ。そして、退会希望者も。崇拝者たる阿羅亜たちが、死神の手となり足となり人々をクラブなんてつまらないものに入会させ、死神に捧げているのだろう。古臭い映画のような話だ。ここが現代でなければ。
一人がなたで斬りかかってきた。
「おい、ミキ!」
ぼーっとしていたミキを引っ張り、阿羅亜にぶつかっていった。阿羅亜の話では死神自らが手を出して来ることはない。なら阿羅亜はやはりただの人間だ。阿羅亜はするりと、俺たちを避けた。誤ってこっちが転びそうになる。
「どうしようかな。直接手を下してもいいけれど・・・・・・」
阿羅亜の背中から巨大な鎌が伸びて来た。さっきまで背中に背負ってはいなかったのに、どういうことだ。それよりも、まずいのは、その鎌が足元をかすめたことだ。軽く、血が吹き出た。
会員たちが追ってくる。阿羅亜は遠くで俺たちを見て笑っている。
「どうせこの世は終わりだから、まあいいか」
全速力で走ったせいで、喉から空気が漏れるような音が出ている。せき込んでミキといっしょに大通りに飛び出ると、追っ手っが見えなくなっていた。振り切ったのだろうか? このまま警察に行こうか。それとも一度家に帰って対策を練ろうか。
「どうしよう。あの人たち絶対私たちの顔覚えてるよね」
ミキが不安げに俺の手を握る。普段なら絶対に怒っている行為だが、今はそれどころじゃない。
「俺の家に来るか?」
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