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34 まさかのシンデレラ
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◇◇◇
「う、うう、もう無理!お願い!許して!」
「いけません。ウエストのくびれはレディの嗜み。お嬢様ならばまだまだいけます!」
鬼だ!ここに鬼がいる!すでにウエストの細さは過去最高値を超えているというのに。
「いや、もうほんと無理です」
「ふむ。まあいいでしょう」
「お嬢様の社交界デビュー!しかも国王陛下主催の夜会!腕が鳴るわ……」
アリサの今日の夜会にかける意気込みは半端ではなかった。なんなら私以上に気合が入っている。そのため朝から食事を抜かれ、死にそうになるまでウエストを絞られる結果となった。
コルセットを締め終えたアリサは素早くドレスの着付けに取り掛かる。ドレスを着せられ髪を美しく結い上げたら、化粧を施し、宝石を身に付けて完成だ。ものすごいスピードで魔法のように美しく華やかに装いを整えていくアリサの手腕は見事というほかない。
詳しくは知らないが、以前は高位貴族のご令嬢に仕えていたらしい。言葉の端々から感じられる気品といい、アリサ自身も貴族の出だと思うのだけど。
「ソフィア様、とてもお美しいですわ。ジークハルト殿下から贈られたドレスが良くお似合いです」
今日のためにジークが贈ってくれたドレスはジークの瞳の色と同じ琥珀色。黄金をトロリと溶かしたような光沢のある生地に繊細な刺繍が幾重にも施されたドレスは、豪華だけど上品で洗練されていて一目で上質なものとわかる。ドレスに合わせた靴にも同じように繊細な刺繍が施されていて美しい。
しかも、一緒に送られてきた宝飾品のセットは上質で美しい宝石がこれでもかと施された逸品で、普段王侯貴族相手の高級ジュエリーを数多く扱っている我が商会でも、めったにお目にかかれないような代物だ。受け取った瞬間あまりの豪華さに手が震えた。
これはもしかして国宝級のものではないだろうか。ジークが宝物庫から勝手に持ち出したものではないことを祈るばかりだ。
「はあ、ジークはいったいどういうつもりなんだろう……」
王宮から夜会の招待状が届いたのはつい先週のこと。国王陛下じきじきの招待状に加えて、ジークからは「あなたのジークより」という甘い言葉のメッセージカードとともにドレスと宝飾品が贈られてきた。国王陛下の招待状と一緒に届いたドレスに宝飾品。極めつけのカード。
(あなたのジークって!いや、うれしいけど!うれしいけどもっ!)
思わず悶える私をみて、「まさかとは思いましたが……お嬢様の王子様は本物の王子様でしたね……」と屋敷中妙に納得していた。いや、納得するの早くない?そりゃジークは見た目完璧王子様だったけどさ。普通いないよ?執事やってる王子様なんて。
「いやあ、最初から只者じゃないと思ってましたぜ。詮索しないのがマナーってだけでね」
「そりゃそうよ、あんななんでもできる男が平民なんてあるわけないもの」
「まあ、本物の王子様ってのには驚いたがね!」
今日もアルサイダー商会は平和です。みんな器がでかいわ。
◇◇◇
「いいですか。物事は最初が肝心ですからね。一度でも侮られたらこの先一生侮られることとなるのです。くれぐれも令嬢らしく、お淑やかになさるのですよ!」
「はいはい気を付けます」
「人前でジークハルト殿下を呼び捨てになさってはいけませんよ」
「わかってるわよ。もう私とは身分が違うんだから。せいぜい壁の花に徹して睨まれないように大人しく過ごしておくわ」
「お嬢様……ジークハルト殿下とちゃんとお話ができるといいですね」
「そうね。せめて贈り物のお礼を言えるといいんだけど。でもきっと高位貴族の方たちに囲まれて私と話す機会なんてそうそうないでしょうね」
キャロルちゃんの言葉に驚いたものの、平民上がりの男爵令嬢が王族と結婚なんて夢物語だ。身分から考えるとよくて側室の一人か、愛妾の一人に加えられる程度だろう。現実はそれほど甘くない。そして私は、誰かとジークを共有することなど耐えられない。この恋に先などないとわかっているのだ。どんなに豪華な衣装に身を包んでいても、超えられない身分の壁はあるってことは十分に理解している。
ノックの音が響き、すでに支度を終えた父がやってきた。
「マイエンジェル~支度はできたかーい……」
相変わらず気の抜けた声を掛けながら入ってきた父は私を見るなり目を見張った。
「お父様。お待たせいたしました」
淑女らしく礼をすると眩しそうに目を細める。
「とても綺麗だよ……ジェニファーにも見せてあげたかったな……」
ジェニファーは亡くなった母の名前。母は私を産んですぐに亡くなってしまったので私は母のことを知らない。私によく似た金髪にペリドットの瞳をした、儚く可憐で妖精のように美しい人だったらしい。そんな美人がなぜ父と結婚したのかは謎だが、父とは大恋愛の末結婚したとだけ聞いている。絵姿でも残っていれば多少なりとも知ることができたが、庶民には貴族のような肖像画など残っていないのが普通だ。
「今日の主役はソフィアに決まりだね。うんうん。ジークハルト殿下も惚れ直すんじゃないかな」
父までこの調子なのだから呆れてしまう。まあ、肝が太くなければ商人なんてやっていけないのだろう。随分足しげく王宮に通っていたが、商人上がりの男爵が王宮で何をやっていたのやら。うっかり新商品の売り込みなんてやっていないかひやひやしてしまう。
「ねえお父様、随分王宮に足しげく通ってらしたけど、もうお仕事は終わったのかしら?」
「ん?ん~、そうだねえ、それがなかなか終わりそうにないんだよね。まあ、ソフィアは気にすることないよ。今日はリラックスして夜会を心ゆくまで楽しもう」
「ふーん……まあいいわ。リラックスねえ。さすがの私もそれほど図太くないわ」
「おやおや、ソフィアでも緊張することがあるんだね」
「それはそうよ。私だって年頃のレディですからね!」
初めての社交界、どうか何事もなく無事乗り切れますように!
───とりあえずコルセットが苦しいので次は絶対に新しいコルセットを開発しようと思う。
「う、うう、もう無理!お願い!許して!」
「いけません。ウエストのくびれはレディの嗜み。お嬢様ならばまだまだいけます!」
鬼だ!ここに鬼がいる!すでにウエストの細さは過去最高値を超えているというのに。
「いや、もうほんと無理です」
「ふむ。まあいいでしょう」
「お嬢様の社交界デビュー!しかも国王陛下主催の夜会!腕が鳴るわ……」
アリサの今日の夜会にかける意気込みは半端ではなかった。なんなら私以上に気合が入っている。そのため朝から食事を抜かれ、死にそうになるまでウエストを絞られる結果となった。
コルセットを締め終えたアリサは素早くドレスの着付けに取り掛かる。ドレスを着せられ髪を美しく結い上げたら、化粧を施し、宝石を身に付けて完成だ。ものすごいスピードで魔法のように美しく華やかに装いを整えていくアリサの手腕は見事というほかない。
詳しくは知らないが、以前は高位貴族のご令嬢に仕えていたらしい。言葉の端々から感じられる気品といい、アリサ自身も貴族の出だと思うのだけど。
「ソフィア様、とてもお美しいですわ。ジークハルト殿下から贈られたドレスが良くお似合いです」
今日のためにジークが贈ってくれたドレスはジークの瞳の色と同じ琥珀色。黄金をトロリと溶かしたような光沢のある生地に繊細な刺繍が幾重にも施されたドレスは、豪華だけど上品で洗練されていて一目で上質なものとわかる。ドレスに合わせた靴にも同じように繊細な刺繍が施されていて美しい。
しかも、一緒に送られてきた宝飾品のセットは上質で美しい宝石がこれでもかと施された逸品で、普段王侯貴族相手の高級ジュエリーを数多く扱っている我が商会でも、めったにお目にかかれないような代物だ。受け取った瞬間あまりの豪華さに手が震えた。
これはもしかして国宝級のものではないだろうか。ジークが宝物庫から勝手に持ち出したものではないことを祈るばかりだ。
「はあ、ジークはいったいどういうつもりなんだろう……」
王宮から夜会の招待状が届いたのはつい先週のこと。国王陛下じきじきの招待状に加えて、ジークからは「あなたのジークより」という甘い言葉のメッセージカードとともにドレスと宝飾品が贈られてきた。国王陛下の招待状と一緒に届いたドレスに宝飾品。極めつけのカード。
(あなたのジークって!いや、うれしいけど!うれしいけどもっ!)
思わず悶える私をみて、「まさかとは思いましたが……お嬢様の王子様は本物の王子様でしたね……」と屋敷中妙に納得していた。いや、納得するの早くない?そりゃジークは見た目完璧王子様だったけどさ。普通いないよ?執事やってる王子様なんて。
「いやあ、最初から只者じゃないと思ってましたぜ。詮索しないのがマナーってだけでね」
「そりゃそうよ、あんななんでもできる男が平民なんてあるわけないもの」
「まあ、本物の王子様ってのには驚いたがね!」
今日もアルサイダー商会は平和です。みんな器がでかいわ。
◇◇◇
「いいですか。物事は最初が肝心ですからね。一度でも侮られたらこの先一生侮られることとなるのです。くれぐれも令嬢らしく、お淑やかになさるのですよ!」
「はいはい気を付けます」
「人前でジークハルト殿下を呼び捨てになさってはいけませんよ」
「わかってるわよ。もう私とは身分が違うんだから。せいぜい壁の花に徹して睨まれないように大人しく過ごしておくわ」
「お嬢様……ジークハルト殿下とちゃんとお話ができるといいですね」
「そうね。せめて贈り物のお礼を言えるといいんだけど。でもきっと高位貴族の方たちに囲まれて私と話す機会なんてそうそうないでしょうね」
キャロルちゃんの言葉に驚いたものの、平民上がりの男爵令嬢が王族と結婚なんて夢物語だ。身分から考えるとよくて側室の一人か、愛妾の一人に加えられる程度だろう。現実はそれほど甘くない。そして私は、誰かとジークを共有することなど耐えられない。この恋に先などないとわかっているのだ。どんなに豪華な衣装に身を包んでいても、超えられない身分の壁はあるってことは十分に理解している。
ノックの音が響き、すでに支度を終えた父がやってきた。
「マイエンジェル~支度はできたかーい……」
相変わらず気の抜けた声を掛けながら入ってきた父は私を見るなり目を見張った。
「お父様。お待たせいたしました」
淑女らしく礼をすると眩しそうに目を細める。
「とても綺麗だよ……ジェニファーにも見せてあげたかったな……」
ジェニファーは亡くなった母の名前。母は私を産んですぐに亡くなってしまったので私は母のことを知らない。私によく似た金髪にペリドットの瞳をした、儚く可憐で妖精のように美しい人だったらしい。そんな美人がなぜ父と結婚したのかは謎だが、父とは大恋愛の末結婚したとだけ聞いている。絵姿でも残っていれば多少なりとも知ることができたが、庶民には貴族のような肖像画など残っていないのが普通だ。
「今日の主役はソフィアに決まりだね。うんうん。ジークハルト殿下も惚れ直すんじゃないかな」
父までこの調子なのだから呆れてしまう。まあ、肝が太くなければ商人なんてやっていけないのだろう。随分足しげく王宮に通っていたが、商人上がりの男爵が王宮で何をやっていたのやら。うっかり新商品の売り込みなんてやっていないかひやひやしてしまう。
「ねえお父様、随分王宮に足しげく通ってらしたけど、もうお仕事は終わったのかしら?」
「ん?ん~、そうだねえ、それがなかなか終わりそうにないんだよね。まあ、ソフィアは気にすることないよ。今日はリラックスして夜会を心ゆくまで楽しもう」
「ふーん……まあいいわ。リラックスねえ。さすがの私もそれほど図太くないわ」
「おやおや、ソフィアでも緊張することがあるんだね」
「それはそうよ。私だって年頃のレディですからね!」
初めての社交界、どうか何事もなく無事乗り切れますように!
───とりあえずコルセットが苦しいので次は絶対に新しいコルセットを開発しようと思う。
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