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俺の婚約者が可愛くない
5.かわいい勘違い
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◇◇◇
ああ、そうか。なるほど。一緒に暮らすために、お姉さまと一緒に俺と結婚しようと思ったのか。
マリアナの可愛い勘違いに、ソレイユも俺も思わず吹き出した。
「あは、あははは!ごめん!マリアナ、この国はね、王族は側室が……お嫁さんが何人いてもいいんだけど、普通の貴族は駄目なんだ。一人につきお嫁さんも一人って決まってるんだよ」
「そ、そんなっ!」
またしても目をうるうるとさせるマリアナに、ソレイユは優しく話し掛ける。
「ごめんなさいね。あなたがそんなに私のことを恋しがってくれてたなんて……」
「ソレイユ姉さま……」
「私のお母様が亡くなってから、お婆様は本当に気落ちしてしまって……お婆様のお心をなんとかお慰めしたくてライト伯爵家に来たんです。お婆様は私をお母様のような立派な淑女に育てるのが生き甲斐だとおっしゃって、みるみるお元気になりました」
まぁ、どっちかと言うと元気すぎるぐらい元気だよな。ダンスのレッスンでは毎回容赦なくしごかれているし。
「でも、そのせいで、あなたにこんなに寂しい思いをさせていたなんて。あなたはお父様とお母様と一緒に楽しく暮らしていると思ってたの。私がいなくても……。ごめんなさいマリアナ。馬鹿なお姉さまを許してね」
「お姉さま、馬鹿じゃないもん。マリアナは、お姉さまみたいな立派なレディーになるのが夢なの!」
「マリアナ!」
なんかもう、俺はいらないんじゃないかなと思った。真剣に。
「マリアナ、お嫁さんにならなくても、俺とソレイユが結婚したらマリアナは俺にとっても可愛い妹になるんだ。いつでも遊びに来ていいぞ」
広大な領地は持っているが、今住んでる屋敷は王都から馬車で三時間くらい。それほど遠くない。しかも、王都にも屋敷があるから、なんならそっちに来てもいい。
来年は二人揃って王都にある貴族学園に入学するしな。今よりもっと気軽に逢えるようになるだろう。
「ほんとう?」
「ああ。本当だ」
「カイルお兄さま!ありがとう!大好き!」
飛び付いてくるマリアナをしっかり抱き止める。俺にも可愛い妹ができたみたいで嬉しい。
「でも、そんなに逢いたかったのならいつでもうちに逢いにきてくれたら良かったのに……」
ソレイユの言葉にマリアナは少し肩を落とす。
「おばあさま、マリアナが行ったらご迷惑だから。マリアナは、よその子だから……」
ああ、マリアナはマリアナなりに、ソレイユとの間に壁を感じていたのかも知れないな。無理もない。姉妹とはいえ、生まれてからずっと離ればなれに暮らしていたんだから。
「よその子なんかじゃないわ。私のたった一人の妹ですもの。それにお婆様はね、ああ見えてとっても子ども好きなの。マナーには厳しいけど、お優しいかたよ」
「ほ、ほんとう?」
俺の方に確認してくる辺り、マリアナもなかなか賢い。
「ああ。ソレイユのお婆様は、レッスンは厳しいがなかなかユニークで面白いしな。そうだ。マリアナも今度一緒にダンスのレッスンを受けてみないか?お婆様に鍛えて貰ったら、ソレイユみたいな素敵な淑女になれるぞ」
「私も、お姉さまみたいな淑女になれる?」
「ええ!もちろんよ!」
「やる!やってみたいです!」
ふんっ!と意気込むをマリアナを、俺とソレイユは微笑ましく見つめる。マリアナは、大丈夫そうだな。ソレイユと過ごせる時間が増えるなら、俺のことなんてどうでも良いだろう。でも、俺はそうはいかない。
「ねぇ、ソレイユは俺のこと嫌い?」
「そ、そんなことありません!」
そう、俺はすごーく傷付いていた。だって、一生一緒にいたいと思っていた大好きな婚約者に、一方的に別れを告げられたんだからなっ!
ああ、そうか。なるほど。一緒に暮らすために、お姉さまと一緒に俺と結婚しようと思ったのか。
マリアナの可愛い勘違いに、ソレイユも俺も思わず吹き出した。
「あは、あははは!ごめん!マリアナ、この国はね、王族は側室が……お嫁さんが何人いてもいいんだけど、普通の貴族は駄目なんだ。一人につきお嫁さんも一人って決まってるんだよ」
「そ、そんなっ!」
またしても目をうるうるとさせるマリアナに、ソレイユは優しく話し掛ける。
「ごめんなさいね。あなたがそんなに私のことを恋しがってくれてたなんて……」
「ソレイユ姉さま……」
「私のお母様が亡くなってから、お婆様は本当に気落ちしてしまって……お婆様のお心をなんとかお慰めしたくてライト伯爵家に来たんです。お婆様は私をお母様のような立派な淑女に育てるのが生き甲斐だとおっしゃって、みるみるお元気になりました」
まぁ、どっちかと言うと元気すぎるぐらい元気だよな。ダンスのレッスンでは毎回容赦なくしごかれているし。
「でも、そのせいで、あなたにこんなに寂しい思いをさせていたなんて。あなたはお父様とお母様と一緒に楽しく暮らしていると思ってたの。私がいなくても……。ごめんなさいマリアナ。馬鹿なお姉さまを許してね」
「お姉さま、馬鹿じゃないもん。マリアナは、お姉さまみたいな立派なレディーになるのが夢なの!」
「マリアナ!」
なんかもう、俺はいらないんじゃないかなと思った。真剣に。
「マリアナ、お嫁さんにならなくても、俺とソレイユが結婚したらマリアナは俺にとっても可愛い妹になるんだ。いつでも遊びに来ていいぞ」
広大な領地は持っているが、今住んでる屋敷は王都から馬車で三時間くらい。それほど遠くない。しかも、王都にも屋敷があるから、なんならそっちに来てもいい。
来年は二人揃って王都にある貴族学園に入学するしな。今よりもっと気軽に逢えるようになるだろう。
「ほんとう?」
「ああ。本当だ」
「カイルお兄さま!ありがとう!大好き!」
飛び付いてくるマリアナをしっかり抱き止める。俺にも可愛い妹ができたみたいで嬉しい。
「でも、そんなに逢いたかったのならいつでもうちに逢いにきてくれたら良かったのに……」
ソレイユの言葉にマリアナは少し肩を落とす。
「おばあさま、マリアナが行ったらご迷惑だから。マリアナは、よその子だから……」
ああ、マリアナはマリアナなりに、ソレイユとの間に壁を感じていたのかも知れないな。無理もない。姉妹とはいえ、生まれてからずっと離ればなれに暮らしていたんだから。
「よその子なんかじゃないわ。私のたった一人の妹ですもの。それにお婆様はね、ああ見えてとっても子ども好きなの。マナーには厳しいけど、お優しいかたよ」
「ほ、ほんとう?」
俺の方に確認してくる辺り、マリアナもなかなか賢い。
「ああ。ソレイユのお婆様は、レッスンは厳しいがなかなかユニークで面白いしな。そうだ。マリアナも今度一緒にダンスのレッスンを受けてみないか?お婆様に鍛えて貰ったら、ソレイユみたいな素敵な淑女になれるぞ」
「私も、お姉さまみたいな淑女になれる?」
「ええ!もちろんよ!」
「やる!やってみたいです!」
ふんっ!と意気込むをマリアナを、俺とソレイユは微笑ましく見つめる。マリアナは、大丈夫そうだな。ソレイユと過ごせる時間が増えるなら、俺のことなんてどうでも良いだろう。でも、俺はそうはいかない。
「ねぇ、ソレイユは俺のこと嫌い?」
「そ、そんなことありません!」
そう、俺はすごーく傷付いていた。だって、一生一緒にいたいと思っていた大好きな婚約者に、一方的に別れを告げられたんだからなっ!
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