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第3章 おてんば姫の冒険録
23 大監獄の地下牢獄
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♢♢♢
設置された灯りを頼りに細い階段を降りると、階下には思いの外広い空間が広がっていた。元は自然の洞窟を使っているのだろう。地下の壁は濡れた剥き出しの岩肌が目立つ。
巨大な鉄格子がはまった地下牢では、足を鎖で繋がれ、ぐったりと横たわる大勢の人々の姿があった。
「おいっ!大丈夫かっ!」
「う、うう、あんたたちは……」
苦しそうな呻き声を上げる人々。どれほど杜撰な扱いを受けてきたのか。男性も女性も着の身着のまま、一緒くたに入れられている。
「待ってろ!今開けてやるから!」
アデルが牢屋の鍵を破壊し、アデイラが繋がれた鎖を引きちぎって行く。
「アデル!この人達は一体なんなの?罪人には見えないけど……」
「獣人の奴隷化に反対して捕まった人達とその家族だ」
「まぁ!立派だわ。もう大丈夫。私たちが助けてあげる。さぁ、ポーションを飲んで」
「あ、ああ、ポーション……お、俺より妻に……」
「大丈夫。全員に飲ませるだけの数はあるわ」
アデイラが優しく抱き上げ、一人一人にポーションを飲ませて行く。先ほどまでモーニングスターを振り回していた奴と同一人物とはとても思えない。
「あ、ああ。た、助かった……だ、だが、あんた達はなぜここへ……」
「私は獣人よ。奴隷として捕らえられている同胞を助けにきたの」
「っ!そ、そうだったのか……す、すまない。俺たちのせいで……」
「あなたたちは反対してくれたんでしょう?」
「あ、ああ。この国は元々獣人の国だったって聞いてる。俺たちの先祖はみんな、貧しい土地から逃げてきて、この国に受け入れて貰ったんだ。獣人は気のいい奴らで、俺たちはみんな獣人に感謝して、仲良くやってきたんだ」
「そうだったの……」
「で、でも、アリステアから突然兵隊がやってきて、獣人狩りを始めたんだっ!争いを嫌う獣人たちは森へ逃げて、逆らった奴らはみんな、見せしめにここへ……くそっ!」
「わかったわ。ここにはいないようだけど……獣人たちが捕らえられている場所はわかる?」
「この先にもいくつか牢屋がある……多分、そのどれかに入れられているはずだ」
「あっちね。わかったわ!アデル、この人たちをお願い」
言うなり駆け出していくアデイラ。
「お、おい、ちょっと待ってろ!よし、ポーション飲んで元気になった奴は、他の人に飲ませてやってくれ。足の鎖は全員外して置いた。外の安全を確認してから俺たちと一緒に脱出する。獣人たちを助けるまで、しばらく待っていて欲しい。いいか?」
「ああ、あんたも早く行ってやってくれ」
「よし。これは水と携帯食料だ。こっちは果物。たっぷりあるから皆で分けて食べてくれ」
「ああ、ありがたい……」
「それからコイツは……」
アデルは言うなり三体のゴーレムを生み出す。「ヒッ!ま、魔物……」突然現れた巨大なゴーレムに怯える人々。
「念のため、護衛に残しておく。コイツらは俺の魔法で作った人形だ。お前たちに危害は加えないから安心しろ」
「あ、ああ……」
「よし。じゃあ俺も行くからな。くれぐれも外に出るなよ!」
そう言うなりアデルもまたアデイラの元に向かった。
「ほ、本当に助かった……のか?だが、あの人達は一体……」
設置された灯りを頼りに細い階段を降りると、階下には思いの外広い空間が広がっていた。元は自然の洞窟を使っているのだろう。地下の壁は濡れた剥き出しの岩肌が目立つ。
巨大な鉄格子がはまった地下牢では、足を鎖で繋がれ、ぐったりと横たわる大勢の人々の姿があった。
「おいっ!大丈夫かっ!」
「う、うう、あんたたちは……」
苦しそうな呻き声を上げる人々。どれほど杜撰な扱いを受けてきたのか。男性も女性も着の身着のまま、一緒くたに入れられている。
「待ってろ!今開けてやるから!」
アデルが牢屋の鍵を破壊し、アデイラが繋がれた鎖を引きちぎって行く。
「アデル!この人達は一体なんなの?罪人には見えないけど……」
「獣人の奴隷化に反対して捕まった人達とその家族だ」
「まぁ!立派だわ。もう大丈夫。私たちが助けてあげる。さぁ、ポーションを飲んで」
「あ、ああ、ポーション……お、俺より妻に……」
「大丈夫。全員に飲ませるだけの数はあるわ」
アデイラが優しく抱き上げ、一人一人にポーションを飲ませて行く。先ほどまでモーニングスターを振り回していた奴と同一人物とはとても思えない。
「あ、ああ。た、助かった……だ、だが、あんた達はなぜここへ……」
「私は獣人よ。奴隷として捕らえられている同胞を助けにきたの」
「っ!そ、そうだったのか……す、すまない。俺たちのせいで……」
「あなたたちは反対してくれたんでしょう?」
「あ、ああ。この国は元々獣人の国だったって聞いてる。俺たちの先祖はみんな、貧しい土地から逃げてきて、この国に受け入れて貰ったんだ。獣人は気のいい奴らで、俺たちはみんな獣人に感謝して、仲良くやってきたんだ」
「そうだったの……」
「で、でも、アリステアから突然兵隊がやってきて、獣人狩りを始めたんだっ!争いを嫌う獣人たちは森へ逃げて、逆らった奴らはみんな、見せしめにここへ……くそっ!」
「わかったわ。ここにはいないようだけど……獣人たちが捕らえられている場所はわかる?」
「この先にもいくつか牢屋がある……多分、そのどれかに入れられているはずだ」
「あっちね。わかったわ!アデル、この人たちをお願い」
言うなり駆け出していくアデイラ。
「お、おい、ちょっと待ってろ!よし、ポーション飲んで元気になった奴は、他の人に飲ませてやってくれ。足の鎖は全員外して置いた。外の安全を確認してから俺たちと一緒に脱出する。獣人たちを助けるまで、しばらく待っていて欲しい。いいか?」
「ああ、あんたも早く行ってやってくれ」
「よし。これは水と携帯食料だ。こっちは果物。たっぷりあるから皆で分けて食べてくれ」
「ああ、ありがたい……」
「それからコイツは……」
アデルは言うなり三体のゴーレムを生み出す。「ヒッ!ま、魔物……」突然現れた巨大なゴーレムに怯える人々。
「念のため、護衛に残しておく。コイツらは俺の魔法で作った人形だ。お前たちに危害は加えないから安心しろ」
「あ、ああ……」
「よし。じゃあ俺も行くからな。くれぐれも外に出るなよ!」
そう言うなりアデルもまたアデイラの元に向かった。
「ほ、本当に助かった……のか?だが、あの人達は一体……」
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