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第二章 ロルフとリリアの危険な冒険!?
第20話 秘密の暴露と新たなる危機?
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◇◇◇
「り、リリアが神獣の巫女……そ、それでそっちのちび……じゃなかった、フェン君が神獣……」
「はいです。変化!」
元気よく椅子から飛び降りたかと思うと、大きなフェンリルの姿に戻ったフェンを見て、またまた開いた口が塞がらない二人。
「こ、これが伝説のフェンリル……で、でかい……」
二人に大きいと言われて気をよくするフェン。
『えっへん!もっともっと強く大きくなってリリアのお役に立つです!』
二人は顔を見合わせると大きなため息をついた。
「なあ、あん……いや、えっと、ロルフ様?」
「どうぞロルフと呼んでください」
「じゃあ、ロルフ……君。リリアにはどうやら他にはない力があることは分かった。だが、一つ聞いていいか?」
「はい」
「君がリリアを好きなのは、リリアがその、『神獣の巫女』とか呼ばれる特別な存在だからか?」
ロルフは静かに首を振った。
「いえ。確かに神獣の巫女は俺たち獣人にとっては特別な存在です。でも俺は、リリアさんが神獣の巫女だと分かる前から、リリアさんこそが運命の相手だと心に決めていました」
「ロルフ……」
「それは……なんでまた」
首をひねる二人にロルフは悪戯っぽくにやりと笑う。
「実はお二人に一つ謝罪しなければならないことが」
そういうとロルフはリリアに軽く合図を送ると、小さな猫の姿に変身する。
『申し訳ありません。リリアさんがあのとき助けてくれた猫は、俺だったんです』
「「あ、あのときの猫の魔物!!!」」
眼を見開く二人。
次の瞬間、マーサとダンは声をあげて笑った。
「はは、ははは。そうか!あんただったのか!」
「こりゃたまげた。獣人さんってのは動物に変身することもできるんだね。わたしゃてっきり、質の悪い魔物に化かされたとばかり」
ひとしきりヒーヒーとお腹を抱えて笑っていた二人は、目尻にたまった涙をそっとぬぐうと、小さな猫に変身したロルフの目線に合わせてしゃがみこんだ。
「これでようやく合点がいったよ。死にそうなあんたをリリアがどれだけ必死で介抱したか、今でも忘れるもんか。あんたも、それでリリアにすっかり惚れちまった。そういうことだね?」
『はい。あのときリリアさんに助けてもらった恩は、片時も忘れたことはありません。リリアさんのことは、俺が、一生守ります』
「分かる。俺もイノシシにやられたとき、マーサに甲斐甲斐しく看病して貰ってコロッと恋に落ちたんだ。リリアも母さんに似て、情の深い女だ。あのときの猫ちゃんに会いに行くんだって冒険者にまでなっちまうような女だ。ああ、なんだ。本当に見つけたんだな」
「うん。あのときの猫ちゃんにちゃんと会えたよ。……魔物じゃなかったけどね」
「思い込みが激しいのは俺たちの遺伝だな!」
「違いないね!……それにしても……猫の獣人だったとはねえ」
よしよしとロルフを撫でるマーサ。
「あ、違うよ。ロルフは黒豹の獣人だよ。私を乗せて走れるぐらい大きくもなれるの。びっくりしちゃった」
くるんと回転すると今度は黒豹姿に変身するロルフ。
「ほお。こりゃたまげた。まるで魔法だね」
「うん、魔法の一種みたいよ」
「そうか。なるほどなあ。魔法っていうのは大したもんだな」
リリアの両親に交際を認められてほっと一安心の二人。その後は冒険者ギルドでの失敗談や王女様と一緒にクエストをこなしたことなんかを話して和やかに会話が弾んだ。だが、
「ダン!ダン!いるか!すまない!出てきてくれ!力を貸してくれ!」
切羽詰まった様子でドアをたたく声に緊張が走る。
「ヨゼフ!そんなに慌ててどうしたんだ!」
ドアを開けるとまだ年若い夫婦が真っ青な顔で立っていた。
「うちのケントがまだ、戻ってないんだ。村中どこを探しても見つからねえんだ。……もしかしたら、山に行ったのかもしれねえ」
「なんだと!?日が落ちてからじゃ魔物が出るぞ!」
ダンの真剣な声を受け、ロルフ、リリア、フェンの三人はお互いに頷きあった。
「私たちに任せて!」
「り、リリアが神獣の巫女……そ、それでそっちのちび……じゃなかった、フェン君が神獣……」
「はいです。変化!」
元気よく椅子から飛び降りたかと思うと、大きなフェンリルの姿に戻ったフェンを見て、またまた開いた口が塞がらない二人。
「こ、これが伝説のフェンリル……で、でかい……」
二人に大きいと言われて気をよくするフェン。
『えっへん!もっともっと強く大きくなってリリアのお役に立つです!』
二人は顔を見合わせると大きなため息をついた。
「なあ、あん……いや、えっと、ロルフ様?」
「どうぞロルフと呼んでください」
「じゃあ、ロルフ……君。リリアにはどうやら他にはない力があることは分かった。だが、一つ聞いていいか?」
「はい」
「君がリリアを好きなのは、リリアがその、『神獣の巫女』とか呼ばれる特別な存在だからか?」
ロルフは静かに首を振った。
「いえ。確かに神獣の巫女は俺たち獣人にとっては特別な存在です。でも俺は、リリアさんが神獣の巫女だと分かる前から、リリアさんこそが運命の相手だと心に決めていました」
「ロルフ……」
「それは……なんでまた」
首をひねる二人にロルフは悪戯っぽくにやりと笑う。
「実はお二人に一つ謝罪しなければならないことが」
そういうとロルフはリリアに軽く合図を送ると、小さな猫の姿に変身する。
『申し訳ありません。リリアさんがあのとき助けてくれた猫は、俺だったんです』
「「あ、あのときの猫の魔物!!!」」
眼を見開く二人。
次の瞬間、マーサとダンは声をあげて笑った。
「はは、ははは。そうか!あんただったのか!」
「こりゃたまげた。獣人さんってのは動物に変身することもできるんだね。わたしゃてっきり、質の悪い魔物に化かされたとばかり」
ひとしきりヒーヒーとお腹を抱えて笑っていた二人は、目尻にたまった涙をそっとぬぐうと、小さな猫に変身したロルフの目線に合わせてしゃがみこんだ。
「これでようやく合点がいったよ。死にそうなあんたをリリアがどれだけ必死で介抱したか、今でも忘れるもんか。あんたも、それでリリアにすっかり惚れちまった。そういうことだね?」
『はい。あのときリリアさんに助けてもらった恩は、片時も忘れたことはありません。リリアさんのことは、俺が、一生守ります』
「分かる。俺もイノシシにやられたとき、マーサに甲斐甲斐しく看病して貰ってコロッと恋に落ちたんだ。リリアも母さんに似て、情の深い女だ。あのときの猫ちゃんに会いに行くんだって冒険者にまでなっちまうような女だ。ああ、なんだ。本当に見つけたんだな」
「うん。あのときの猫ちゃんにちゃんと会えたよ。……魔物じゃなかったけどね」
「思い込みが激しいのは俺たちの遺伝だな!」
「違いないね!……それにしても……猫の獣人だったとはねえ」
よしよしとロルフを撫でるマーサ。
「あ、違うよ。ロルフは黒豹の獣人だよ。私を乗せて走れるぐらい大きくもなれるの。びっくりしちゃった」
くるんと回転すると今度は黒豹姿に変身するロルフ。
「ほお。こりゃたまげた。まるで魔法だね」
「うん、魔法の一種みたいよ」
「そうか。なるほどなあ。魔法っていうのは大したもんだな」
リリアの両親に交際を認められてほっと一安心の二人。その後は冒険者ギルドでの失敗談や王女様と一緒にクエストをこなしたことなんかを話して和やかに会話が弾んだ。だが、
「ダン!ダン!いるか!すまない!出てきてくれ!力を貸してくれ!」
切羽詰まった様子でドアをたたく声に緊張が走る。
「ヨゼフ!そんなに慌ててどうしたんだ!」
ドアを開けるとまだ年若い夫婦が真っ青な顔で立っていた。
「うちのケントがまだ、戻ってないんだ。村中どこを探しても見つからねえんだ。……もしかしたら、山に行ったのかもしれねえ」
「なんだと!?日が落ちてからじゃ魔物が出るぞ!」
ダンの真剣な声を受け、ロルフ、リリア、フェンの三人はお互いに頷きあった。
「私たちに任せて!」
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