テイマーなのに獣人ばかりにモテすぎて困ってます!~彼女はまだツンデレ獣人に番認定されたことに気付いてない~

しましまにゃんこ

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第一章 リリアとロルフの秘密の関係!?

第5話 ロルフの部屋には秘密がいっぱい?

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◇◇◇

 ―――ロルフが出ていった直後。
 最初こそ羞恥に震えていたリリアだが、ロルフの家の最新お風呂設備にすっかり骨抜きにされていた。ゆったりと足が伸ばせる浴槽。いつでも快適な温度で出てくるお湯。見たこともないような高級アメニティの数々。

 リリアの家の旧式のバスルームとは、比べものにならない快適さである。

「ああ、幸せ……」

 お風呂からあがると、バスルームの外に掛けてあったバスローブを拝借し、立っているのもなんなので、チョコンと椅子に座りながらキョロキョロと部屋の中を眺めていた。

「さすがBランク冒険者!部屋の中はシンプルだけど結構広いし、至る所に最新の魔法具が揃ってておしゃれー♪」

 そしてふと、机の上に置かれているものに目が止まる。それは、所々擦り切れて汚れた水色のリボンで、真ん中には小さなシルバーの札が取り付けてある。

 そのリボンを見た瞬間、リリアは固まった。嫌な汗が背中を伝って流れていく。まさか、いや、そんなはずは……

 リボンをそっと手に取り、小さな札に書かれた文字を確認した後、リリアは泣いた。

◇◇◇

 一方ロルフは、心を落ち着けるためにも、いったん冒険者ギルドに戻ることにした。懸念していた通り、冒険者ギルドの前に男たちが大挙して押し寄せ、リリアを探している姿が見える。やはりというべきか、獣人の姿が目立つ。

「なぁ!今ギルドに入っていった女の子、どこに行ったんだよ?」

「あの子の名前教えてくれよ!」

「俺、運命感じたー!」

「冒険者なのか?どこに行ったら会える?」

「あの香り!彼女は俺の番に違いないんだ!」

「はぁ?なにいってんだお前?俺の番だ!」

「いや!俺のだっ!」

 好き勝手に言い募る姿に沸々と怒りがこみ上げる。が、しかし、相手は素人。手を挙げるわけにもいかない。

「おい、お前たち。業務の邪魔だ。ここは冒険者ギルド。用がないならとっとと散れ」

 しかし、男たちもただでは引かない。皆、なんとかしてリリアの情報を知りたいと躍起になっている。

「なんだよあんちゃん?彼女のこと教えてくれるのか?」

「男には興味ねーよ。引っ込んでな」

 ワーワーと声を上げる男たちをギッと睨みつける。

「俺が大人しく言い聞かせているうちに帰るんだな」

 突如ロルフの体から立ち上るただならぬ覇気に息を飲む。明らかな格上の雄。その力の差は歴然で……群がっていた男たちは蜘蛛の子を散らすように去っていった。

「おーお、大人気ねーなぁ~?」

 獅子獣人のディランがニヤニヤしながら話しかけてくる。

「生憎オッサンと違って俺はまだ若いからな」

「はっ!言ってろ。しかし、リリアは見ていて飽きねーな?ますます虫どもが寄ってきそうだが?」

「関係ない。蹴散らすだけだ」

「ふーん?そこまで腹括ってるのにリリアに伝えないのはなんでだ?まさか、フラれるのが怖いって訳でもあるまい?」

 ロルフは小さく笑うと

「いや、違わねーよ。俺は、リリアにフラれるのが怖いんだよ。もう一回捨てられたら、俺、死ぬかも?」

「……は?」

 いつになく素直なロルフの言葉にディランは呆気にとられる。

「じゃーな、オッサン」

 そう言うなり、用は済んだと言わんばかりにギルドをとっとと出て行ってしまう。

「なんかこじらせてんなぁ?……」

 ヤレヤレと溜め息を付くディランだった。
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