テイマーなのに獣人ばかりにモテすぎて困ってます!~彼女はまだツンデレ獣人に番認定されたことに気付いてない~

しましまにゃんこ

文字の大きさ
上 下
4 / 28
第一章 リリアとロルフの秘密の関係!?

第4話 人生初のモテ期到来?

しおりを挟む
 
 ◇◇◇

 触手を出すリスの魔物に襲われた翌日、リリアは鏡の前で目を輝かせていた。

「ちょ、まっ、これっ!凄い……お肌っ!超ツルっツルだぁ~~~!!」

 ロルフが言っていた粘液の美肌効果だろうか。

 粘液の成分が高級化粧品の原料になると言っていたので、もしかしたら売れるかもしれないと思い、念のため採取用の瓶にとれるだけとっておいた。

 そして、試しに身体のあちこちに薄く塗ってみたところ、驚きの美肌効果が現れたのだ!しかもなんともいえない、うっとりするような良い香りまでする。

 リリアの肌はまるで何人もの手によって磨き抜かれた貴婦人の肌のように、柔らかく滑らかでありながら、真珠のような煌めく艶を持つ、極上の肌に進化を遂げていた。

 もともと若く健康なリリアのこと。肌の張りも潤いも申し分なかった。しかし、触れると蕩けて吸い付くような肌触りはそれまでに味わったことのないほど極上のもので。

「くふっ、くふふふふ~……粘液の美肌効果半端ないっ!これは、魔性の美肌ですよ……ぐふふふふ……」

 女子力が一段階も二段階もアップした気がして気分もあがる。リリアは素早く冒険の準備を整えると、鼻歌交じりで冒険者ギルドに向かったのだった。

 ◇◇◇

 リリアの家から冒険者ギルドまでは徒歩で30分程度。早朝のため、行き交う人もまばらだ。しかし、その僅かな間に、リリアにかつてないほどのモテ期が到来していた。

 道行く男性がみんな振り返り、なぜか熱い視線を送ってくる。特に獣人の男性は、ギラギラしたような目で見つめてくるため、正直怖い。

「ねぇ、君、可愛いね……?」

 そんななか、頭の上にピコンと立った猫耳がキュートな、猫獣人の男性が話しかけてきた。猫のようなスラリとしなやかな体つきに、ゆっくりと左右に揺れる長いしっぽが美しい。

(おおっ!イケメン!)

 素直な賞賛の言葉に、リリアは思わず赤くなる。

「今から、僕と、どう?」

「は?どうとは?」

 リリアがポカンとしていると、何やら色っぽい目で見つめられてしまう。何となく身の危険を感じたリリアは、

「あの!今から冒険者ギルドに行くところなんです!忙しいので!じゃっ!」

 と、逃げるように走り出した。その間も、男性達から次々と声がかけられる。特に獣人男性のしつこさたるや半端ない。

(なになになに?なんかちょっと怖いんだけど!)

 リリアは可愛らしい見た目と庇護欲をくすぐる小柄な体格の持ち主だが、実年齢以上に若く見えることから普段は子供扱いされることも多い。獲物を狙うようなギラギラした視線を向けられることに慣れていないのだ。

 ◇◇◇


 ―――その頃冒険者ギルドでは、いつものように、ロルフがリリアを待っていた。適当な椅子に腰掛け、果実水をあおっていると、慌てた様子でリリアが駆け込んできた。



(!!!!!!!!!!)




 ロルフは声にならない叫びを必死に抑えると、リリアを素早く抱えあげ、風のようにギルドから飛び出していった。あまりの速さに呆気にとられる周囲の視線を置き去りにして。

「なぁ、今のリリアだよな?」

「ああ、なんていうか、ヤバかったな」

「いや、ちょっとロルフの動きが早すぎて何がなんだか……」


 ◇◇◇

 一方リリアは、訳も分からずギルドから連れ去られ、混乱していた。

「ちょっ!えっ?なに?なに?なに?なんなの~~~!?」

 驚くほどの速さでやってきたのはギルドから程近いロルフの家だった。

(いきなり家に連れ込まれたーーーーーーーーー!!!!なんだコイツーーーーーーー!!!!)

 ロルフはリリアを一番手近な椅子にとりあえず座らせると、床の上にうずくまってプルプル震えている。
 もうほんと、なにがなんだかわからない。街の反応といい、この男といい、今日は朝からなんだかおかしい。

「あのー?ロルフ?どうしたの?(頭)大丈夫?」

 リリアが恐る恐る声をかけると、ロルフは見たこともないような必死な表情でリリアの肩を掴み、叫んだ。

「リリア、昨日は、家に帰らなかったのか?帰る途中で、何かあったのか?」


「……はぁ?」


「お前から、昨日あった魔物の粘液の匂いがする」

 その言葉にリリアは納得した。

「えっ!?あ、ああそうか。心配してくれてたんだね!昨日は助けてくれて本当にありがとう!ちゃんと家に帰ってゆっくり休んだよ!」

「じゃあ、なんで魔物の匂いがするんだ?」

 街の男たちのようにギラギラした目では見られないものの、目が合うとサッとそらされるし、何だか真っ赤な顔をしている。

「触手から出てた粘液、ロルフが高級化粧品の原料になるって言ってたでしょ?ちょっと興味があって塗ってみたの。そしたらこれ、すっごいんだよ。肌が綺麗になってビックリしちゃった!」

「……!!!はぁ……」

 ロルフは絶句した後小さく溜め息をつくと、意を決したように話し出した。

「リリア、いいか。あの粘液には強力な催淫物質が含まれていて、相手を惹きつけるフェロモンを強く撒き散らす効果がある。」

「ほぇ……?」

「今のお前は、全身から男を誘う香りを放ってるんだよっ!人間でもフラフラ引き寄せられる位の効果はあるが、匂いに敏感な獣人の場合、思いっきり発情して誘っていると思われる。その場で押し倒されても文句いえねーぞ!」

「そ、そんなっ!」

「化粧品には、極々微量、ほんの一滴入れる程度なんだ。主に、貴族の夫人が閨の前に肌に塗って使っているらしい。原液は媚薬として使われている」

「そんな大事なこと、なんで教えてくれなかったのよ!は、早くいってよー!」

「ごめん、昨日はその、俺もちょっといっぱいいっぱいだったから」

 そう言えば昨日はその粘液に体中まみれていたのだ。

「でも、昨日はまだ粘液自体の匂いがきつくて、それほど催淫効果は感じなかった。リリアのフェロモンと混じり合ってる今日の方がヤバい。」

「えっ?大丈夫?私、どうなっちゃうの?実は、街で知らない男の人たちから声とかかけられて、変だなって……」

「……風呂、使っていいから。んで、その服も匂いが移ってるかもしれねーから、ちゃんと洗うまで着ない方がいい。服、適当に着てていいから。風呂はいってる間、俺は外にいるから。」

「あ、ありがと」

 言うなりロルフはさっさと出て行ってしまった。
 リリアはすっかり落ち込んだ気分でトボトボとバスルームに向かうのだった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?

白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。 「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」 精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。 それでも生きるしかないリリアは決心する。 誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう! それなのに―…… 「麗しき私の乙女よ」 すっごい美形…。えっ精霊王!? どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!? 森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜

楠ノ木雫
恋愛
 病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。  病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。  元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!  でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

俺の番が見つからない

Heath
恋愛
先の皇帝時代に帝国領土は10倍にも膨れ上がった。その次代の皇帝となるべく皇太子には「第一皇太子」という余計な肩書きがついている。その理由は番がいないものは皇帝になれないからであった。 第一皇太子に番は現れるのか?見つけられるのか? 一方、長年継母である侯爵夫人と令嬢に虐げられている庶子ソフィは先皇帝の後宮に送られることになった。悲しむソフィの荷物の中に、こっそり黒い毛玉がついてきていた。 毛玉はソフィを幸せに導きたい!(仔猫に意志はほとんどありませんっ) 皇太子も王太子も冒険者もちょっとチャラい前皇帝も無口な魔王もご出演なさいます。 CPは固定ながらも複数・なんでもあり(異種・BL)も出てしまいます。ご注意ください。 ざまぁ&ハッピーエンドを目指して、このお話は終われるのか? 2021/01/15 次のエピソード執筆中です(^_^;) 20話を超えそうですが、1月中にはうpしたいです。 お付き合い頂けると幸いです💓 エブリスタ同時公開中٩(๑´0`๑)۶

【完結】死の4番隊隊長の花嫁候補に選ばれました~鈍感女は溺愛になかなか気付かない~

白井ライス
恋愛
時は血で血を洗う戦乱の世の中。 国の戦闘部隊“黒炎の龍”に入隊が叶わなかった主人公アイリーン・シュバイツァー。 幼馴染みで喧嘩仲間でもあったショーン・マクレイリーがかの有名な特効部隊でもある4番隊隊長に就任したことを知る。 いよいよ、隣国との戦争が間近に迫ったある日、アイリーンはショーンから決闘を申し込まれる。 これは脳筋女と恋に不器用な魔術師が結ばれるお話。

処理中です...