夏空〜星空の異世界転生物語〜

星の世界へ

初日の終わり

「そろそろ焼けたかな、いただきまーす。」

将樹は焼けた魚に塩を少量掛けて1口食べる。

「どうだ将樹♪美味いだろ？」

ピスケはそう言って得意のグッジョブポーズをした。

「ん…美味しい…ピスケ、この魚めちゃくちゃ美味しいよ！」

将樹は初めて食べるこの世界の食材に少しの不安はあったが、1口食べるとその不安も何処かへいってしまった。

そして将樹は焼き魚を、1口…また1口と頬張った。

「そりゃそうだ！魚座の星獣であるこのピスケ様が厳選して獲った魚だからな♪少しは元気が出たか？」

ピスケは安定のドヤ顔で笑って言った。

「ピスケあのさ…本当にありがとうね、長い旅になるかもしれないけど、これからも宜しくね。」

照れている表情を隠す様に、将樹は少し俯きながらお礼を伝える。

「まかせろ、俺が居ればきっと大丈夫だ！将樹、お前の気持ちは痛い程伝わってるぜ、必ず星の祈りと祝福を手に入れようぜ！！俺がそれまでずっと、そばにいるからよ。」

そう、ピスケは魚座の星獣。

魚座の特徴として〝溢れる愛情〟と〝高い感受性〟を持っており、人の痛みや感情に敏感なのだ。

ピスケは将樹と星約を交わした事もあり、将樹の感情が手にとるように分かっていた。

それから2人は時間を気にする事なく、楽しく話をした、現世の事やピスケの面白い体験談話など。

「ピスケがいると心強いよ、ふぁ～なんか眠くなってきちゃった。」

ピスケの優しさに安心したのか、それともお腹が満たされたからなのか、将樹を睡魔が襲ってくる。

「将樹、さすがに今日は疲れただろ、そろそろ寝るか！今後の事は明日一緒に考えようぜ！」

眠そうにしている将樹にピスケがそう言った。

「そうだね、流石に今日は疲れたよ…少し休もうかな。」

将樹はメニューから寝具セットを表示し、テントと寝袋を召喚した。

「ピスケおやすみ、また明日ね。」

就寝準備を終えた将樹は、隣で丸まっているピスケにそう言って、寝袋に入り横になった。

余程疲れていたのか、あっという間に将樹は深い眠りについた、スースーと静かな寝息をたてながら。

ピスケはそんな将樹の姿を見て優しく微笑み、同じ様に休む事にした。

「将樹…お前は最高のパートナーだ、必ずお前の家族を取り戻そう…」