9 / 45
襲撃6
しおりを挟む
だが男はそんな叶真の声にも臆さない。むしろ信じられないものでも見るように目を丸くさせている。
「……ちゃんと良くしてやっただろ?」
「は? てめぇ……頭沸いてんじゃねぇか」
言い逃れでなく本気で叶真がなぜ怒っているのか分からないようだ。そんな男に叶真は更に怒りを増幅させていく。
「バリタチだっつたろうが! ケツ掘られて喜ぶバリタチがいるわけねぇだろ!」
怒りにまかせて身体を起こそうとするが、重苦しい痛みを腰に感じ叶真は再び地面に倒れこむ。
「そのツラ二度と忘れねぇ……」
今ここで男を殴ることは出来なかったが、せめて憎しみを込めた目で男を射抜くように見つめ続ける。
男は叶真の憎しみを一身に受けながらも余裕な態度で衣服を整えた。叶真の憎しみなど男にとっては痛くも痒くもないようだ。それ以上にどこか楽しんでいるようにすら見える。
衣服を整えた男はゆっくり叶真に近づくと、叶真のポケットから転び出ていた携帯電話に手を伸ばす。
「お、おいっ。なに勝手に人の弄ってんだよ」
まるで自分のものだと言わんばかりに堂々と携帯を操作する男に叶真は焦る。男が何をしようとしているのかまるで分からなかった。
叶真の携帯と男自身の携帯を操作すると、男は投げるように携帯を叶真に返す。何をしていたのか、その痕跡を探すように叶真はけだるい指で携帯を操作した。そんな叶真を揶揄するように男は言った。
「気に入ったからまた抱いてやる」
「は……はぁ?」
聞き間違いかと叶真は自分の耳を疑ったが聞き間違いではない。聞きたくもない最悪の言葉を男は確かに言い放った。
「また抱いてやるって言ったんだ。俺の気が向いたら連絡してやる」
「ってお前……まさか俺の番号……!」
登録済みだと言わんばかりに男は叶真の目の前に己の携帯を掲げる。
「勝手に登録してんじゃねぇよ! 個人情報だろうが! 今すぐに消せ!」
「ぎゃんぎゃん吼えるな。お前の携帯に俺の番号を登録してやったんだからそれで相殺だろうが」
「はぁっ? お前の番号って……」
叶真は慌ててアドレスを開く。少なくない人数が登録されているが、憎らしい男のものだからか、それはすぐに目についた。
「キョウスケ……?」
見知らぬ男の名前。それは先程までは確かに登録されていないものだった。
「抱かれたくなったらそこに連絡してこい。気分次第で抱いてやる」
「連絡なんざするわけないだろうがっ。俺の番号をすぐに消せ……っておい! 待ちやがれ、こらっ」
未だに下半身を露出した状態で地面にへたれこむ叶真とは対照的に男……キョウスケの身支度は整っていた。何事もなかったようにその場から立ち去ろうとするキョウスケに、叶真はここで逃がすものかと引きとめようとする。だが無理やり叶真を犯したキョウスケが、叶真の言葉程度で止まるわけがなかった。
それでもしつこく吼える叶真に、男は呆れながら一度だけ振り返る。
「……ちゃんと良くしてやっただろ?」
「は? てめぇ……頭沸いてんじゃねぇか」
言い逃れでなく本気で叶真がなぜ怒っているのか分からないようだ。そんな男に叶真は更に怒りを増幅させていく。
「バリタチだっつたろうが! ケツ掘られて喜ぶバリタチがいるわけねぇだろ!」
怒りにまかせて身体を起こそうとするが、重苦しい痛みを腰に感じ叶真は再び地面に倒れこむ。
「そのツラ二度と忘れねぇ……」
今ここで男を殴ることは出来なかったが、せめて憎しみを込めた目で男を射抜くように見つめ続ける。
男は叶真の憎しみを一身に受けながらも余裕な態度で衣服を整えた。叶真の憎しみなど男にとっては痛くも痒くもないようだ。それ以上にどこか楽しんでいるようにすら見える。
衣服を整えた男はゆっくり叶真に近づくと、叶真のポケットから転び出ていた携帯電話に手を伸ばす。
「お、おいっ。なに勝手に人の弄ってんだよ」
まるで自分のものだと言わんばかりに堂々と携帯を操作する男に叶真は焦る。男が何をしようとしているのかまるで分からなかった。
叶真の携帯と男自身の携帯を操作すると、男は投げるように携帯を叶真に返す。何をしていたのか、その痕跡を探すように叶真はけだるい指で携帯を操作した。そんな叶真を揶揄するように男は言った。
「気に入ったからまた抱いてやる」
「は……はぁ?」
聞き間違いかと叶真は自分の耳を疑ったが聞き間違いではない。聞きたくもない最悪の言葉を男は確かに言い放った。
「また抱いてやるって言ったんだ。俺の気が向いたら連絡してやる」
「ってお前……まさか俺の番号……!」
登録済みだと言わんばかりに男は叶真の目の前に己の携帯を掲げる。
「勝手に登録してんじゃねぇよ! 個人情報だろうが! 今すぐに消せ!」
「ぎゃんぎゃん吼えるな。お前の携帯に俺の番号を登録してやったんだからそれで相殺だろうが」
「はぁっ? お前の番号って……」
叶真は慌ててアドレスを開く。少なくない人数が登録されているが、憎らしい男のものだからか、それはすぐに目についた。
「キョウスケ……?」
見知らぬ男の名前。それは先程までは確かに登録されていないものだった。
「抱かれたくなったらそこに連絡してこい。気分次第で抱いてやる」
「連絡なんざするわけないだろうがっ。俺の番号をすぐに消せ……っておい! 待ちやがれ、こらっ」
未だに下半身を露出した状態で地面にへたれこむ叶真とは対照的に男……キョウスケの身支度は整っていた。何事もなかったようにその場から立ち去ろうとするキョウスケに、叶真はここで逃がすものかと引きとめようとする。だが無理やり叶真を犯したキョウスケが、叶真の言葉程度で止まるわけがなかった。
それでもしつこく吼える叶真に、男は呆れながら一度だけ振り返る。
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。

【完結】催眠なんてかかるはずないと思っていた時が俺にもありました!
隅枝 輝羽
BL
大学の同期生が催眠音声とやらを作っているのを知った。なにそれって思うじゃん。でも、試し聞きしてもこんなもんかーって感じ。催眠なんてそう簡単にかかるわけないよな。って、なんだよこれー!!
ムーンさんでも投稿してます。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる