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田中ライコフ

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ハンティング

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夜の自然公園は緑のむせかえるような匂いがした。だが江藤叶真がそう感じたのは緑のせいではないかも知れない。
「ねぇ……もっと激しく動いて」
「そう焦んなって。簡単にイっちまったら長く楽しめないだろうが」
 叶真の目の前で下半身を露出した男が尻を突き出し、ねだるように腰を振っていた。男の双丘の中心には叶真のペニスがずっぽりと突き刺さっている。
「僕なら何回も出来るから……ね、早く」
「……しかたねぇなぁ」
 叶真は自分より細い男の腰を両手でがっしりと掴むと少し乱暴に男の中を掻き乱した。途端に男は甲高い嬌声を漏らし、それを聞いて叶真は自分が男を支配しているのだと優越感を満たす。
 叶真がこの男と出会ったのはゲイ専用の出会い系掲示板だった。叶真自身はゲイではなくバイなのだが、身体だけの関係を求めるのならば女ではなく男が良いと、その掲示板をよく利用していた。女が相手だと後々面倒なことも多かったが、男相手ならば一夜限りの身体の関係でも後腐れなく終わることが出来る。日本男性の平均身長よりも十センチ近く背の高い、屈強な身体を持つ叶真の性欲について来られるのも男だけだ。セーフセックスさえ気を付けていれば、男相手のセックスは叶真にとって良いこと尽くめだった。
「あんっ、あ、あ」
「もうちょいケツ締めろって。お前の中すんげぇ緩い」
 そう言い叶真が男の尻を叩くと、夜の公園にぱんっと軽快な音が響く。
 叶真の目の前で淫らに腰を振っている男も掲示板で知り合った。掲示板ではナオトと名乗っていたが恐らく偽名だろう。叶真もわざわざ本名を晒したりはしない。一夜限りの男を求めるのに必要なのは名前ではなく性癖や身体の相性だ。ぐちゃぐちゃに犯されたいと書かれていたのを見てナオトを選んでみたが、少々失敗だったかなと叶真は小さく舌打ちをする。普段から激しいセックスを好んでしているのだろう。ナオトの穴は緩く、叶真の身体はなかなか満たされそうにもない。
「自分ばっかよがってんじゃねぇぞ」
 叶真はもう一度ナオトの尻を叩く。快感に溺れながらもナオトはようやくきゅっと叶真を締め付けた。
「そうそう。いい子にしてりゃ一晩可愛がってやるから」
 気をよくした叶真は更に苛烈にナオトを攻めたてる。ナオトの女のような嬌声が次第に大きくなっていき、さすがにまずいと叶真は片手でナオトの口を塞いだ。
 叶真とナオトが待ち合わせたのは掲示板でもよく使われている自然公園……いわゆるハッテン場だ。公園にいるほとんどがゲイだったが、稀になにも知らない人間が紛れ込んでくることがある。面倒なことになるのは出来るだけ避けたかった。
「壁に手をついて踏ん張ってろよ。出来るだけ声も殺してな」
 ナオトは素直に頷くと片手を公衆便所の壁につき、空いた片方で自身の口を塞ぐ。穴が緩いのはいただけなかったが、素直に言うことをきく分可愛くも思える。叶真は言うことをきいた褒美だと言わんばかりにナオトを激しく揺さぶった。その激しさにナオトの口から押さえきれない喘ぎが漏れたが、大きく喘がれるよりも余程そそられる。
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