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熱帯夜6 *性描写あり

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 熱い塊にグッと力が籠ったのを感じた。
「っ……!」
 指で慣らされていたとはいえ、流石に大きさが違う。最初のうちは想像以上に辛い。限界まで拡がった穴から全身が引き裂かれそうな痛みがあり、下っ腹には中から突き破られるのでは思うような痛みが走っている。体内に熱が侵入してくる感覚は、焼かれているようだ。
 それでも慶は歯を食いしばり、泣き言一つ漏らさなかった。弱音を吐けば、兵藤は必ず身を引こうとするだろう。それだけはなんとしても阻止したかった。自分は壊れてしまってもいい。それよりも兵藤と一つになることのほうが大切だった。
「全部入った。……大丈夫か?」
 兵藤が慶の頬を撫でる。なにかを拭うような仕草で、慶ははじめて自分が涙を流していることに気が付いた。
「……やっぱり止めよう。お前に無理をさせるくらいなら……」
 兵藤が自分の中から出ていってしまう。慶はそれだけは嫌だと兵藤の腰に足を絡ませ、身動きを取れないようにした。
「何をするんだ」
「せっかく繋がったのに、止めるなんて寂しいこと言うなよ。抱き潰すって言ってくれたじゃん」
「だが無理はさせたくないんだ」
「無理してない。そりゃ痛いし身体は辛いけど……ここで止められる方がもっと辛いよ。それに……」
 自分でも気付かないうちに流れていた涙は、きっと苦痛で溢れたものではない。
「俺、今すっげー幸せなの」
 今までたくさん恋をした。セックスだってしてきた。だが恋は実らないものばかりだったし、そもそも本当の恋ではなかった気がする。皆んな自分の理想を当て嵌めた、実在しない幻想の人物だった。大人の真似事でしてきたセックスも、身体は満たされても心は満たされず、勝手に所詮はこんなものかとどこか冷めた気持ちを抱いていたのも確かだった。
 だから慶は今初めて知ったのだ。好きな男に抱かれる幸せと、その相手からもたらされるものは快楽も苦痛も全て愛おしいのだと。
「清正、好き。好きだよ」
 愛で満たされた心は、自然と愛を口にさせた。
「ちょっ……清正、お前……!」
 慶の中にいる殿様サイズの兵藤が、中にいても分かるほど硬さを増していく。とうに最大サイズだと思っていたが、まだ余力があったことに驚きを隠せない。
「初めて名前を呼ばれたからな……」
「俺はお前の殿様が末恐ろしいよ……」
 二人は見つめ合い、少し照れたように笑った後にキスをした。それは好きだと言った慶へ、兵藤からの返事のようだった。
 兵藤はもう止めるとは言わない。こうしている間にも慶の身体は兵藤の形を覚え、少しずつ己に馴染ませていた。身体の痛みなど満たされた心の前ではないのと同じだ。
 慶は絡ませた足を解き、自ら腰を揺らす。慶は一度達していたが、兵藤はまだだ。好きな男に少しでも気持ち良くなってもらいたいと、必死だった。
 兵藤が小さく呻く。眉根を寄せて快楽に堪える表情がたまらなく興奮する。
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