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第4話
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屋上にやってくると、久遠寺さんは語り出す。
「いい? 単刀直入に言うけれど、私はこの世界の人間はないわ」
突如、そんな意味不明なことを言われて困る。
ポカンとした顔をしていると、それに気づいたのか。
「あ~、そうね。その顔になるのも無理はないわよね。もっと詳しく話すわ、まず、この世界には人間や犬などの生き物に紛れて生きている異世界の生き物……異物と呼ばれるというものがいるの。ほら、スライムとか……」
なるほど、現実味が一切ないが俺のこの力を前にすると信じるしかなさそうだ。
「異物は夜の間は姿を変えることができずに元の姿に戻るの。その間に異物は人間の栄養を吸い取ることで栄養補給をしているわけなんだけど……そんな異物を駆除するために私は異世界からやってきたってわけ。異物の正体がなんなのかわからないけれど、大体の目星はついているわ」
これを素直に信じられない自分にはまだ普通の感覚がある。
よかった。
「それはね、異物を使って栄養補給している魔王という生き物ね。私には、というかこの世界にいる私みたいな異世界からやってきた者には元の姿に戻った時にしか魔力を感じることができないの」
となると、朝の小学生もその異世界からやってきた者ということなのか?
……そういうことだよな。
ポンと手を叩く久遠寺さん。
「そうだわ、いいことを思いついちゃったの! 岸川くんって私を魔法使いだって見破ったのはその……『鑑定』の力よね?」
どうやら、俺の力はバレバレだったようだ。
コクリと首を縦に振った。
すると、久遠寺さんは目をキラキラと輝かせて。
「そう! それなら、そのあなたの力を詳しく教えてちょうだい!」と俺の手を強く握る。
顔が近い……。
まさか久遠寺さんにそんな秘密があるなんて驚きである。
しかし、今日は色々とありすぎた。
そのせいか、全然驚かないのだが。
俺は久遠寺さんに自分の力について詳しく教えた。
まず、今日の朝、この力に目覚めたこと。
この力には一日三回という回数制限があり、今日はもう使い終わっているということ。
この力には、名前、年齢、性別、レベル、職業、属性、性格が映し出されるということだ。
うんうんなるほど、と腕を組みフェンスに寄りかかりながら呟く久遠寺さん。
「やはり、私の目に狂いはなかったわね」
なんだろうか、何か企んでいる顔に見えるのだが。
嫌な予感がするのだが。
「ねえ、岸川くん。私とコンビを組まない?」
ほら、やはりそうだった。
俺の間は間違っていないようだ。
「ほら、私だけじゃあ夜にしか異物かどうか判断できないし、たまに元の姿に戻らないで通り過ぎる異物もいるわけだし……夜以外とかそういう時にあなたの『鑑定』で異物かどうか見分けて欲しいの。どう?」
冗談じゃない、異物……それが一体どんな生き物かわからかいのに、いい、だなんて言えるものか。
もしかしたら命をかけることになってしまうかもしれないのに。
「嫌──」
と、その時だった。
「危ない──」と気づけば俺の目の前に久遠寺さんが立っていた。
そして、俺を引っ張りその場からどかす。
……?
「な……っ!」
視界を先程俺のいた方向に向けると、そこには──。
プニプニっとした、青い液体状の。
「スライム? なのか」
「ええ、そうよ。多分、鳥か何かに変化してたけどちょうど真上で元の姿になったのね」
……ははは、ガチかよ。
ガチでスライムじゃねえかよ。
スライムはこちらを見て、きゅん? 、と可愛らしく鳴いた。
「いい? 単刀直入に言うけれど、私はこの世界の人間はないわ」
突如、そんな意味不明なことを言われて困る。
ポカンとした顔をしていると、それに気づいたのか。
「あ~、そうね。その顔になるのも無理はないわよね。もっと詳しく話すわ、まず、この世界には人間や犬などの生き物に紛れて生きている異世界の生き物……異物と呼ばれるというものがいるの。ほら、スライムとか……」
なるほど、現実味が一切ないが俺のこの力を前にすると信じるしかなさそうだ。
「異物は夜の間は姿を変えることができずに元の姿に戻るの。その間に異物は人間の栄養を吸い取ることで栄養補給をしているわけなんだけど……そんな異物を駆除するために私は異世界からやってきたってわけ。異物の正体がなんなのかわからないけれど、大体の目星はついているわ」
これを素直に信じられない自分にはまだ普通の感覚がある。
よかった。
「それはね、異物を使って栄養補給している魔王という生き物ね。私には、というかこの世界にいる私みたいな異世界からやってきた者には元の姿に戻った時にしか魔力を感じることができないの」
となると、朝の小学生もその異世界からやってきた者ということなのか?
……そういうことだよな。
ポンと手を叩く久遠寺さん。
「そうだわ、いいことを思いついちゃったの! 岸川くんって私を魔法使いだって見破ったのはその……『鑑定』の力よね?」
どうやら、俺の力はバレバレだったようだ。
コクリと首を縦に振った。
すると、久遠寺さんは目をキラキラと輝かせて。
「そう! それなら、そのあなたの力を詳しく教えてちょうだい!」と俺の手を強く握る。
顔が近い……。
まさか久遠寺さんにそんな秘密があるなんて驚きである。
しかし、今日は色々とありすぎた。
そのせいか、全然驚かないのだが。
俺は久遠寺さんに自分の力について詳しく教えた。
まず、今日の朝、この力に目覚めたこと。
この力には一日三回という回数制限があり、今日はもう使い終わっているということ。
この力には、名前、年齢、性別、レベル、職業、属性、性格が映し出されるということだ。
うんうんなるほど、と腕を組みフェンスに寄りかかりながら呟く久遠寺さん。
「やはり、私の目に狂いはなかったわね」
なんだろうか、何か企んでいる顔に見えるのだが。
嫌な予感がするのだが。
「ねえ、岸川くん。私とコンビを組まない?」
ほら、やはりそうだった。
俺の間は間違っていないようだ。
「ほら、私だけじゃあ夜にしか異物かどうか判断できないし、たまに元の姿に戻らないで通り過ぎる異物もいるわけだし……夜以外とかそういう時にあなたの『鑑定』で異物かどうか見分けて欲しいの。どう?」
冗談じゃない、異物……それが一体どんな生き物かわからかいのに、いい、だなんて言えるものか。
もしかしたら命をかけることになってしまうかもしれないのに。
「嫌──」
と、その時だった。
「危ない──」と気づけば俺の目の前に久遠寺さんが立っていた。
そして、俺を引っ張りその場からどかす。
……?
「な……っ!」
視界を先程俺のいた方向に向けると、そこには──。
プニプニっとした、青い液体状の。
「スライム? なのか」
「ええ、そうよ。多分、鳥か何かに変化してたけどちょうど真上で元の姿になったのね」
……ははは、ガチかよ。
ガチでスライムじゃねえかよ。
スライムはこちらを見て、きゅん? 、と可愛らしく鳴いた。
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