鑑定スキルに目覚めたけど、周りの奴らが超人すぎた件について

山形 さい

文字の大きさ
上 下
5 / 5

第4話

しおりを挟む
 屋上にやってくると、久遠寺さんは語り出す。

「いい? 単刀直入に言うけれど、私はこの世界の人間はないわ」

 突如、そんな意味不明なことを言われて困る。

 ポカンとした顔をしていると、それに気づいたのか。

「あ~、そうね。その顔になるのも無理はないわよね。もっと詳しく話すわ、まず、この世界には人間や犬などの生き物に紛れて生きている異世界の生き物……異物と呼ばれるというものがいるの。ほら、スライムとか……」

 なるほど、現実味が一切ないが俺のこの力を前にすると信じるしかなさそうだ。
 
「異物は夜の間は姿を変えることができずに元の姿に戻るの。その間に異物は人間の栄養を吸い取ることで栄養補給をしているわけなんだけど……そんな異物を駆除するために私は異世界からやってきたってわけ。異物の正体がなんなのかわからないけれど、大体の目星はついているわ」

 これを素直に信じられない自分にはまだ普通の感覚がある。
 よかった。

「それはね、異物を使って栄養補給している魔王という生き物ね。私には、というかこの世界にいる私みたいな異世界からやってきた者には元の姿に戻った時にしか魔力を感じることができないの」

 となると、朝の小学生もその異世界からやってきた者ということなのか?
 ……そういうことだよな。

 ポンと手を叩く久遠寺さん。

「そうだわ、いいことを思いついちゃったの! 岸川くんって私を魔法使いだって見破ったのはその……『鑑定』の力よね?」

 どうやら、俺の力はバレバレだったようだ。

 コクリと首を縦に振った。

 すると、久遠寺さんは目をキラキラと輝かせて。

「そう! それなら、そのあなたの力を詳しく教えてちょうだい!」と俺の手を強く握る。

 顔が近い……。

 まさか久遠寺さんにそんな秘密があるなんて驚きである。
 しかし、今日は色々とありすぎた。
 そのせいか、全然驚かないのだが。


 俺は久遠寺さんに自分の力について詳しく教えた。
 まず、今日の朝、この力に目覚めたこと。
 この力には一日三回という回数制限があり、今日はもう使い終わっているということ。
 この力には、名前、年齢、性別、レベル、職業、属性、性格が映し出されるということだ。

 うんうんなるほど、と腕を組みフェンスに寄りかかりながら呟く久遠寺さん。

「やはり、私の目に狂いはなかったわね」

 なんだろうか、何か企んでいる顔に見えるのだが。
 嫌な予感がするのだが。

「ねえ、岸川くん。私とコンビを組まない?」

 ほら、やはりそうだった。
 俺の間は間違っていないようだ。

「ほら、私だけじゃあ夜にしか異物かどうか判断できないし、たまに元の姿に戻らないで通り過ぎる異物もいるわけだし……夜以外とかそういう時にあなたの『鑑定』で異物かどうか見分けて欲しいの。どう?」

 冗談じゃない、異物……それが一体どんな生き物かわからかいのに、いい、だなんて言えるものか。
 もしかしたら命をかけることになってしまうかもしれないのに。

「嫌──」

 と、その時だった。

「危ない──」と気づけば俺の目の前に久遠寺さんが立っていた。

 そして、俺を引っ張りその場からどかす。

 ……?

「な……っ!」

 視界を先程俺のいた方向に向けると、そこには──。

 プニプニっとした、青い液体状の。

「スライム? なのか」
「ええ、そうよ。多分、鳥か何かに変化してたけどちょうど真上で元の姿になったのね」

 ……ははは、ガチかよ。
 ガチでスライムじゃねえかよ。

 スライムはこちらを見て、きゅん? 、と可愛らしく鳴いた。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...