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第3話
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「はあ……やっぱりそうよね。朝のあの感じ……そういうことだものね」
「はい……」
そのあとは一言も喋ることはなく、久遠寺さんはご飯を食べ終えるとお盆を持ち席を立ち上がる。
「じゃあ、私はこれで失礼するとするわね。放課後、教室に残っててもらってもいいかしら?」
「は、はい」
これは本当に今日が最後の日なのかもしれない。
放課後、俺は消されてしまうのか。
「何よ、そんなに固い顔……」
「いや、久遠寺さんが魔法使いだってわかったから殺されると……」
すると、久遠寺さんは驚いた表情をして。
「ななな、何言ってんのよ!? 私が岸川くんを殺す!? 一体なんでよ!」
周りが俺たちの会話に注目している。
多分、いや、絶対内容が意味不明だと感じているだろう。
「そんなことしたって何もならないわよ。ただ、岸川くんの力を詳しく知りたいから……あとは私のこともね。じゃあ、おいとまするとするわね」
久遠寺さんが去っていくと、俺は大きくため息を吐く。
はあ……よかった。
殺される心配はなさそうだな。
久遠寺さんが魔法使い……か。
未だに信じられない。
けれど信じるしかない。
俺のこの力も、全て現実世界での出来事だ。
とりあえず、ご飯を急いで食べてしまおうとしよう。
○
「それじゃあ、みんな気をつけて帰るようにな」
時は過ぎ、放課後がやってきた。
クラスメイトたちは荷物をスクールバッグに詰め、部活やら帰宅やらとどんどんと教室から人が減っていく。
そんな中、俺はスマホをいじる。
適当にソシャゲをやる。
チラリと久遠寺さんの方を向くと大判小説を読んでいた。
「喜一、帰ろうぜ」と俺のところへとやってきた春馬。
「いや、すまん……今日は無理だ」
すると、春馬は何かに気づいたのかニヤリと微笑み。
「ほほ~ん、なるほどな。二人の邪魔はしねえ。じゃあ、一人で帰るとするわ」と教室を去っていくと春馬。
あ、勘違いだなこれ。
と察してしまった。
こうして教室の中には俺と久遠寺さんだけになると、久遠寺さんが俺のところへとやってきた。
「……みんないなくやったわね。それじゃあ、屋上へと移るとしましょ?」
「屋上……だったら、ここでみんながいなくなるのを待つ必要はなかったんじゃ」
「いいえ、岸川くんは馬鹿ね。ほら、私ってこんなに可愛いでしょ? だから、ストーカーなんて日常茶飯事なの」
ストーカー……。
自分のことを可愛いと認めているのには少し好感が持てる。
「そうなんすね」
「ええ、そうよ。だから、人がいなくなるのを待ってたの。放課後の屋上は人はいないしね、それじゃあ、屋上に行くとしましょう」
「わかった……」
「そんなに警戒しなくて大丈夫よ、別に何も岸川くんにしないから」
「ほんとだな?」
久遠寺さんはパアッと髪を払い。
「約束するわ」
その一言で、少し緊張が解けた。
「はい……」
そのあとは一言も喋ることはなく、久遠寺さんはご飯を食べ終えるとお盆を持ち席を立ち上がる。
「じゃあ、私はこれで失礼するとするわね。放課後、教室に残っててもらってもいいかしら?」
「は、はい」
これは本当に今日が最後の日なのかもしれない。
放課後、俺は消されてしまうのか。
「何よ、そんなに固い顔……」
「いや、久遠寺さんが魔法使いだってわかったから殺されると……」
すると、久遠寺さんは驚いた表情をして。
「ななな、何言ってんのよ!? 私が岸川くんを殺す!? 一体なんでよ!」
周りが俺たちの会話に注目している。
多分、いや、絶対内容が意味不明だと感じているだろう。
「そんなことしたって何もならないわよ。ただ、岸川くんの力を詳しく知りたいから……あとは私のこともね。じゃあ、おいとまするとするわね」
久遠寺さんが去っていくと、俺は大きくため息を吐く。
はあ……よかった。
殺される心配はなさそうだな。
久遠寺さんが魔法使い……か。
未だに信じられない。
けれど信じるしかない。
俺のこの力も、全て現実世界での出来事だ。
とりあえず、ご飯を急いで食べてしまおうとしよう。
○
「それじゃあ、みんな気をつけて帰るようにな」
時は過ぎ、放課後がやってきた。
クラスメイトたちは荷物をスクールバッグに詰め、部活やら帰宅やらとどんどんと教室から人が減っていく。
そんな中、俺はスマホをいじる。
適当にソシャゲをやる。
チラリと久遠寺さんの方を向くと大判小説を読んでいた。
「喜一、帰ろうぜ」と俺のところへとやってきた春馬。
「いや、すまん……今日は無理だ」
すると、春馬は何かに気づいたのかニヤリと微笑み。
「ほほ~ん、なるほどな。二人の邪魔はしねえ。じゃあ、一人で帰るとするわ」と教室を去っていくと春馬。
あ、勘違いだなこれ。
と察してしまった。
こうして教室の中には俺と久遠寺さんだけになると、久遠寺さんが俺のところへとやってきた。
「……みんないなくやったわね。それじゃあ、屋上へと移るとしましょ?」
「屋上……だったら、ここでみんながいなくなるのを待つ必要はなかったんじゃ」
「いいえ、岸川くんは馬鹿ね。ほら、私ってこんなに可愛いでしょ? だから、ストーカーなんて日常茶飯事なの」
ストーカー……。
自分のことを可愛いと認めているのには少し好感が持てる。
「そうなんすね」
「ええ、そうよ。だから、人がいなくなるのを待ってたの。放課後の屋上は人はいないしね、それじゃあ、屋上に行くとしましょう」
「わかった……」
「そんなに警戒しなくて大丈夫よ、別に何も岸川くんにしないから」
「ほんとだな?」
久遠寺さんはパアッと髪を払い。
「約束するわ」
その一言で、少し緊張が解けた。
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