鑑定スキルに目覚めたけど、周りの奴らが超人すぎた件について

山形 さい

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第2話

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 いや、そもそも『鑑定』スキルなんて俺の妄想なのではないのだろうか?

 ふとそんなことを思ってしまった昼休み。

 そうだ。
 そうに決まっている。
 だってこの世界に冒険者も魔法使いも存在しないのだから!
 うんうん。
 だな!

 そんなことを考えながら、俺は昼ごはんを食べるために席を立ち上がり、親友の櫻井春馬と食堂へと向かう約束をしているため話しかける。

「よし、行くか……」と立ち上がる春馬。

 こいつとは中学一年からずっと同じクラスだという仲だ。
 頭がとんでもないほどによく、二年生ながら生徒会長をやっている者だ。
 本人曰くIQ180らしい。

「あの……ちょっといいかしら岸川くん」

 聞き覚えのある女子の声がした。
 一体だれだ。

 俺は春馬からその女子へと視線を変えると。

 そこには腕を組み、ニコリと微笑んでいる久遠寺さんがいた。

 な……っ。
 魔法使い!?

「おいおい、喜一。久遠寺となんかいい関係だったりするのか? なんか俺がいるのはわりーよな。じゃっ、俺は一人で行ってくるわ……」

 さすがIQ180この状況を一瞬にして理解……できてねーよ。
 普通ならその気の使い方が正しいんだけど!
 今じゃないんだ。
 俺たちそういうのじゃなくて、なんならほぼ初対面なんだよ。
 まずい、これは久遠寺さんが魔法使いであることを知ったことがバレてしまったのかもしれない。
 消されるとか……だよな。

「待てっ」と手を伸ばすが春馬は去っていった。

 まずい、非常にまずいぞ。
 
「は、はい、久遠寺さん?」
「名前を知っているのね」

 そりゃー有名人ですからね。
 むしろ俺の名前を知っている方が驚きですよ。

「は、はあ……」
「とりあえず、食堂でお話しの続きをしましょ?」

 何故だろうか表情が笑っている笑っていないのだが。

「は、はあ……」



 さすが有名人なだけあり、廊下を歩いているとチラチラと周りの人たちが久遠寺さんを見ていた。

「そ、それでお話とは」

 お互い、昼ごはんを頼み席につくと俺は久遠寺さんにそう問う。

 ちなみに俺はうどんと天ぷらのセット。
 久遠寺さんはご飯とサラダと味噌汁と焼肉が付いている焼肉定食だ。

 足を組みながら俺を見る久遠寺さん。

「ねえ、朝から私のことを見てたよね?」

 どうやらバレてしまっていたらしい。

「は、はい」

 でも、これは『鑑定』スキルを使ったことはバレていないのではないのか?

「やっぱりね、次……岸川くんのその目は魔眼の類いだよね?」

 魔眼……あ、これ完全にバレてますね。

 俺は全てを悟った。

 まずい、殺されるのか、俺は。

「魔眼……?」
「はあ……なんでもないわ。とりあえず、単刀直入に言うけど、岸川くん」
  
 ドキドキと心臓がうるさい。

「──あなたは私が魔法使いであることを知ってるわよね?」

 ほら、やはりバレてましたね。

 俺は小声で、身体をモジモジと丸くして。

「はい……」と答えた。
 
 全部見破られている。
 嘘をついたら逆にもっと怒りを買ってしまうのかもしれない。
 だから、俺は正直に答えた。
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