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第2話 テレパシー(後編)
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ということで、俺と石川さんは学校から近くにある公園へとやってきた。
遊具はブランコと滑り台しかなく、あとは自販機とトイレがある。
そんな小さなところだ。
「小倉くん……? あそこのベンチに座ろ!!」
石川さんはひとつのベンチを指さす。
「そうだね」
わざわざ、公園にやってきたのだ。
多分、周りに聞かれたくないことだろう。
そして、俺と石川さんはベンチへと座った。
次の瞬間だった──。
『よし、言うんだ!!』
そんな石川さんの声が聞こえた。
「ん? なんか言ったか?」
「え? いや、別に……」
「そ、そっか」
──あれ、今、石川さんの声がしたのだが。
でも、その反応。
ほんとに何も言ってなさそうだ。
なら、なんだ? 今の声は?
まぁ、あれだ。多分気のせいだろう。
今はそんなことより──。
「それで話って?」
『言うんだ……』
まただ。
また、石川さんの声が聞こえた。
どうなってんだよ?
「なんか喋りました?」
すると、ううんと首を横に振る石川さん。
やっぱり、何も喋っていないらしい。
なら、なんなんだ?
全く検討がつかない。
何の声なんだろうか。
いや、ひとつだけ検討がつくかもしれない。
『あたし、言うんだ!!!!』
やはり、そうなのか……?
ひとつの確信に気づくと、俺は冷や汗をかく。
おいおい、ほんとにそんなことあるのか?
『あ、小倉くん今、あたしの胸見た……』
いや、見ていないのだが……いや、たしかになかなかなものだけども。
なんでだよ……。
そういうことか……この声は……。
なんで、悪夢が再び起こるんだよ……。
『よし、あたしの胸に注目しているうちに!! 石川詩織、行くんだ!!』
どうやら、なんでか俺は再び、【テレパシー】が使えるようになったらしい。
といっても、一方的な声しか聞こえず、こちらの声なんて聞こえやしない。
そして、何より、この能力の怖いところは人の裏が見えることだ。
そして、覚悟を決めて石川さんは俺に言った──。
「好きです!! 私と付き合ってください──ッ!!」
それどころではなかった。
実際、こんな美少女に告白なんてされると思ってはいなかった。
でも、そんなことより……。
『私の太もも見てる……もしかして、私で……でも、小倉くんがそれがいいって言うなら……』
なんで、このタイミングだ。
もう起こらないと思っていた。
起こらないで欲しいと願っていた。
だって、この能力は怖いからだ。
『長い……緊張するぅ~』
次の瞬間、心臓がドクンドクンと鳴り徐々に胸が痛くなる。
「うっ──」
俺はベンチから倒れて地面に胸を押さえるように倒れた。
なんで、なんで、なんで、なんで、なんだ……。
『え……』
俺を心配するように石川さんはベンチから立ち上がり、しゃがみ、俺の背中をよしよしと撫でる。
そして、ちょうど俺の目線には白いパンツが見えた。
『こ、興奮する///好きな人にパンツ見られてる!! ち、違う!! 今それどころじゃない!!』
こんな声……聞きたくねぇよ……。
大体の人間が裏の顔がある。
この女もその一人だ。
清楚系見えて……。
『何このシチュエーション!!』
変態だ……。
こんな姿を見たくはなかった。
なんでだよ……なんで、聞こえるんだよ。
「大丈夫ですか!? 小倉くん、小倉くん……」
あ……胸が痛い……。
きっと、過去のトラウマのせいだ。
そして、これから新しくできるトラウマのせいだ。
人の裏なんて見たくない……。
そして、俺は目を閉じて倒れた──。
○
「う、うん……」
目を開けると……。
「やっと、起きましたね!! 小倉くん!!」
「あ、ああ……」
この柔らかいものは……。
俺は手で触るとムニッとしていた。
『はぁん///』
その声が聞こえた瞬間、俺は慌てて、立ち上がった。
やっぱりそうだ、どうやら、石川さんの膝枕だったらしい。
『小倉くんって案外責めなのね……』
くそ、夢とかそんな美味しい展開ではなさそうだ。
空は紅色に染まっていた。
ざっと、一時間ほど寝ていたのか?
「いきなり倒れて……あたし、心配でした」
「いや、ごめんよ……寝不足でよ」
「まぁ!!」
『だったら、あたしの膝枕でもう少し寝てもいいのに……それにしても寝顔可愛かったな……あれで五回はイけるわ』
なんだ……この人……清楚系だと思っていたのに、変態かよ。
多分誰も気付かないことだろう。
この彼女の裏の顔のことを──。
「大丈夫ですか?」
「ああ、すまん……」
「それで……告白の方は……」
『今日は別に振られてもいい、だって、小倉くんの写真も手に入ったし小倉くんの唾液も勝手に綿棒で取ったし!!』
おいおい、飛んだ変態だよ。
これが、デレというやつか?
いや、行きすぎてる気がするのだが。
「すまん、まだ石川さんのこと知らないしさ……」
『で、ですよね……それでも……』
「そ、そうですよね……なら、LINEだけでも……」
「お、おう」
少し、地雷女の気がするのは気のせいか?
少し心配だ。
「これでいいか?」
すると、石川さんは笑顔で。
「はい!! ありがとうございます!!」
さて………俺はまたこの悪夢と正面で立ち会うのかよ。
「おう、いいってことよ!!」
『やった、これで……四六時中小倉くんと一緒!!』
くそ……まじで、この人の裏の顔を見たくないんだけど──。
遊具はブランコと滑り台しかなく、あとは自販機とトイレがある。
そんな小さなところだ。
「小倉くん……? あそこのベンチに座ろ!!」
石川さんはひとつのベンチを指さす。
「そうだね」
わざわざ、公園にやってきたのだ。
多分、周りに聞かれたくないことだろう。
そして、俺と石川さんはベンチへと座った。
次の瞬間だった──。
『よし、言うんだ!!』
そんな石川さんの声が聞こえた。
「ん? なんか言ったか?」
「え? いや、別に……」
「そ、そっか」
──あれ、今、石川さんの声がしたのだが。
でも、その反応。
ほんとに何も言ってなさそうだ。
なら、なんだ? 今の声は?
まぁ、あれだ。多分気のせいだろう。
今はそんなことより──。
「それで話って?」
『言うんだ……』
まただ。
また、石川さんの声が聞こえた。
どうなってんだよ?
「なんか喋りました?」
すると、ううんと首を横に振る石川さん。
やっぱり、何も喋っていないらしい。
なら、なんなんだ?
全く検討がつかない。
何の声なんだろうか。
いや、ひとつだけ検討がつくかもしれない。
『あたし、言うんだ!!!!』
やはり、そうなのか……?
ひとつの確信に気づくと、俺は冷や汗をかく。
おいおい、ほんとにそんなことあるのか?
『あ、小倉くん今、あたしの胸見た……』
いや、見ていないのだが……いや、たしかになかなかなものだけども。
なんでだよ……。
そういうことか……この声は……。
なんで、悪夢が再び起こるんだよ……。
『よし、あたしの胸に注目しているうちに!! 石川詩織、行くんだ!!』
どうやら、なんでか俺は再び、【テレパシー】が使えるようになったらしい。
といっても、一方的な声しか聞こえず、こちらの声なんて聞こえやしない。
そして、何より、この能力の怖いところは人の裏が見えることだ。
そして、覚悟を決めて石川さんは俺に言った──。
「好きです!! 私と付き合ってください──ッ!!」
それどころではなかった。
実際、こんな美少女に告白なんてされると思ってはいなかった。
でも、そんなことより……。
『私の太もも見てる……もしかして、私で……でも、小倉くんがそれがいいって言うなら……』
なんで、このタイミングだ。
もう起こらないと思っていた。
起こらないで欲しいと願っていた。
だって、この能力は怖いからだ。
『長い……緊張するぅ~』
次の瞬間、心臓がドクンドクンと鳴り徐々に胸が痛くなる。
「うっ──」
俺はベンチから倒れて地面に胸を押さえるように倒れた。
なんで、なんで、なんで、なんで、なんだ……。
『え……』
俺を心配するように石川さんはベンチから立ち上がり、しゃがみ、俺の背中をよしよしと撫でる。
そして、ちょうど俺の目線には白いパンツが見えた。
『こ、興奮する///好きな人にパンツ見られてる!! ち、違う!! 今それどころじゃない!!』
こんな声……聞きたくねぇよ……。
大体の人間が裏の顔がある。
この女もその一人だ。
清楚系見えて……。
『何このシチュエーション!!』
変態だ……。
こんな姿を見たくはなかった。
なんでだよ……なんで、聞こえるんだよ。
「大丈夫ですか!? 小倉くん、小倉くん……」
あ……胸が痛い……。
きっと、過去のトラウマのせいだ。
そして、これから新しくできるトラウマのせいだ。
人の裏なんて見たくない……。
そして、俺は目を閉じて倒れた──。
○
「う、うん……」
目を開けると……。
「やっと、起きましたね!! 小倉くん!!」
「あ、ああ……」
この柔らかいものは……。
俺は手で触るとムニッとしていた。
『はぁん///』
その声が聞こえた瞬間、俺は慌てて、立ち上がった。
やっぱりそうだ、どうやら、石川さんの膝枕だったらしい。
『小倉くんって案外責めなのね……』
くそ、夢とかそんな美味しい展開ではなさそうだ。
空は紅色に染まっていた。
ざっと、一時間ほど寝ていたのか?
「いきなり倒れて……あたし、心配でした」
「いや、ごめんよ……寝不足でよ」
「まぁ!!」
『だったら、あたしの膝枕でもう少し寝てもいいのに……それにしても寝顔可愛かったな……あれで五回はイけるわ』
なんだ……この人……清楚系だと思っていたのに、変態かよ。
多分誰も気付かないことだろう。
この彼女の裏の顔のことを──。
「大丈夫ですか?」
「ああ、すまん……」
「それで……告白の方は……」
『今日は別に振られてもいい、だって、小倉くんの写真も手に入ったし小倉くんの唾液も勝手に綿棒で取ったし!!』
おいおい、飛んだ変態だよ。
これが、デレというやつか?
いや、行きすぎてる気がするのだが。
「すまん、まだ石川さんのこと知らないしさ……」
『で、ですよね……それでも……』
「そ、そうですよね……なら、LINEだけでも……」
「お、おう」
少し、地雷女の気がするのは気のせいか?
少し心配だ。
「これでいいか?」
すると、石川さんは笑顔で。
「はい!! ありがとうございます!!」
さて………俺はまたこの悪夢と正面で立ち会うのかよ。
「おう、いいってことよ!!」
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