【モテたい、好感度鑑定の覚醒者】あれ?「ネタ魔法」ってバカにしてたよね??最強と気付いたところでもう遅い。

山形 さい

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序章II

最終試験!

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 一度大きく深呼吸をした後、勢いよく俺は扉を開けた。

 開けたと同時に「グアァアア」と言う鳴き声が、ダンジョン中に鳴り響く。

 俺たちは、急いで耳を塞ぐ。

(鑑さん、何のモンスターだ?)

『今の鳴き声からすると、ドラゴンね! まぁ、姿を見てないから名前までは分からないけど……』

(なるほどな、ほんと鑑さんって何者!?)

『うーん、内緒!』

(あっそ)

『えっ、ちょっと!? 気にならないの!?』

 鑑さんの言葉を無視して、鳴き声がやむと下を向いていた視界を前にする。

 俺の視界に映ったドラゴンは、三つ首のドラゴンだった。皮膚が少し剥けていてグロい。
 いや、グロすぎる!

「ギル」

 シロは、俺の手を握った。
 かなり、ブルブルと揺れている。女の子が、こんな恐ろしいドラゴンを見たらそうなるに決まっている。
 モモも……。

「うわぁあ! 超かっこいいです!!」と、モモは目をキラキラ光らせながらはしゃいでいる。

 うわぁーと少し引きつつ見守ると。

「なんですか! その、可哀想な人を見る目は」

「いや、だってさ? 普通、こんなグロテスクで恐ろしい生き物見て『かっけー!』なんて、思うか?」

 モモは、このこのと俺の頭をぽこぽこと叩く。

 なんか、少し俺への警戒が無くなったような気がする。
 好感度鑑定をすると52とかなり、上がっていた。よし、この調子!

(鑑さん、あのドラゴンは?)

『あれは、スリーネックスドラゴンね。まぁ、そこまで強くないけど、初心者殺しって呼ばれてるわね♪』

(『わね♪』じゃねェーよ!! 初心者殺しって絶賛俺たち、初心者なんですけど!!)

 すると、「グォオオ」とスリーネックスドラゴンはもう一度鳴く。

「このまま居てもやられるだけだぞ! 行くぞシロ……と、モモ」
「だから、そんな可哀想な人を見るまでこっちみるなー!」

 シロは、俺から手を離して両手を前に出し、詠唱を唱えだす。

「青き、恵みよ! 今こそ私の力を! ………」

 シロの両手から徐々に水が集まり大きな雫出来てきている。

「行くわよー!!」

 シロは、両手から集まった大きな雫をスリーネックスドラゴンに向かって発射した。

 そして、それと同時にモモはその大きな雫を固めてひとつの大きな氷柱にする。

「えっ!?」と、シロは驚いている様子だ。

 俺も、いきなりだったため空いた口が塞がらない。
 きっと、水を氷にする魔法とかそこら辺だろう。

 その巨大氷柱は、スリーネックスドラゴンの首を目掛けて行き良いよく飛んでいく。
 そして、スリーネックスドラゴンの首ひとつが巨大な氷柱とともに、壁に向かって飛んでいった。

「マジですかぁあ……」

 スリーネックスドラゴンの右首はなくなり、そこからは血飛沫が勢いよく飛んでいる。例えるなら、噴水の様だ。

「キャあああおああ!」と、シロは下を向きながらしゃがんで「何もない何もない、ほら、シロ!」と、もう一度スリーネックスドラゴンを見るとすぐにもう一度下を見て。
「いやいやいやいや、やばいやばい……」と、混乱状態に陥っている。

 モモはというと……。

「キャはーい!! 血の雨だぁああ!!」と両手を広げて踊っている。

 今までの性格が嘘だったかの様に、まるで別人格だった。 
 てか、マジでグロい! やるなら、腹狙って一撃で仕留めてほしかった。

 すると、「グォオオオオオオオオオオ!!」とスリーネックスドラゴンは、更に大きな鳴き声をダンジョン内に響き渡す。
 その鳴き声によって、バンっと壁やら天井やら地面に少しヒビが生える。

 こんなグロいをもう見てられねーな。
 よし、行くとするか。

「シロ、水でスリーネックス あドラゴンいつの首の高さまで、階段を作ってくれ。それを、モモ! 固めろ!」

「了解です!」

「もう、グロいのは嫌だよぉ」

「グロくしない。大丈夫だから、安心してくれ」

 俺は、シロの手を握る。

「わかった!」

 シロは、詠唱を唱えてもう一度両手に水を集中させる。
 そして、勢いよく放つ。
 そして、その水をスリーネックスドラゴンの前まで来たところでモモが凍らせる。

「ナイス!」

 俺は、その道を登る。

 すると、「グォ!」とスリーネックスドラゴンは尻尾で道先を粉々に潰す。

「うわっ!」と、道が徐々に崩れていく。

 しかし、俺はそれを踏ん張り「シロ、モモ、足場を頼む」と言ったと同時に俺は、道のない先へ飛ぶ。

「えーい!」

「頼みます!」

 すると、次の瞬間道がなかったところに足ひとつ分ほどの足場ができる。

 俺は、それに乗る。

 すると、次々にその足場は現れていくため、俺はそれをどんどんと踏み上っていく。

「ググォ!」と、スリーネックスドラゴンは更に勢いよく尻尾を振り足場を壊していく。

「やばい、間に合わない!」

「いや、大丈夫ぅううう!!」

 俺は、足場がないところへもう一度跳び地面に向かって剣を振る。

 すると、勢いよく地面から振った衝撃による風で宙へ浮く。

 よし! 同じ高さになった!

 俺は、剣を両手で構えて思いっきりスリーネックスドラゴンの顔を真上から斬りつける。

 ただしくは、頭が硬く叩きつけると言った方がいいかもしれない。

「うぉおおおおおおお! なるように、なれェエエエエ!!」

 俺は、精一杯の力で叩きつける。
 すると、ビシビシっとスリーネックスドラゴンの地面にはヒビが生える。

 よし行ける! 

 最後の力を振り絞って叩きつけた。

 そして、勢いよくスリーネックスドラゴンは地面へと埋まった。

「よし! やったか!? っ!?」

 俺は、かなり高いところから勢いよく落ちた。「うわぁああ!」


■■■


 そのあと何があったのかは、わからないが。
 目を覚ますと、マシュマロの枕の様な柔らかさの上にいることがわかった。

「ぅ、う~ん?」

 あれ? シロか……ってことは、これは膝枕か!?

「ほんと、ギルのバカぁ」と、シロは少し泣きそうな声で言った。

「いや、ごめんよ」

「許さない、ふんだ!」

「ほんと、ごめんよ……」

 モモはというと、埋まっているスリーネックスドラゴンを見て興奮していた。
 なんて、ヴァイオレンスな子だろうか……。

 こうして、俺たちはダンジョンを攻略した。
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