【モテたい、好感度鑑定の覚醒者】あれ?「ネタ魔法」ってバカにしてたよね??最強と気付いたところでもう遅い。

山形 さい

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序章I

やばい、魔力増やさなきゃ!

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「う、う、う~ん……」

「起きたか、ギル」

 優しいお父さんの声がした。ボヤけて微かに見える景色は、家のベットだった。

 あれ? 僕はギルドにいたはずなのに……どういうことだ? もしかして、夢だったとかか? な、はずないよな。じゃぁ……。

「お前は、魔力切れで倒れたんだ。あまり、無茶するな」

 あ、心の声がなぜ聞こえたんだ? まぁ、いい。そういうことか。

「は、はは。そうなんですか……」

「まぁ、命に別状はない。無茶するなよ? 魔力切れは、最悪命を落とす可能性があるからな」

「わ、わかりました………」

 さて、どうするべきだろうか。
 今のままでは、好感度鑑定をしている場合ではない。まずは、魔力を増加させなければ………でも、どうやってだ? 
 ここ8年間生きてきてどうやって上げるのか知らない。みんなは、どうやって増やしてるのかな?

「お父さん……魔力を増やしたいです………」

 数々の冒険をしてきたことだし、お父さんに頼るのが良さそうだ。

 しかし、お父さんは困ったような顔をしている。

「どうしたのですか? そんな顔をして………?」

「ん? いやっ、なぁ? 俺さぁ………魔力より攻撃力に特化しててよ、そんなに魔力のこと考えたことないんだわ……」

「………」

 困った、どうしようか。自分で特訓する? 
 いやいや、そんなの無理だろ………僕は、何をすれば良いのかわからない。

「でもな、お母さんならどうだ?」

 その手があった!

「なるほど、そうですね! ですが……お父さん。僕に、剣術を教えてください」

「え? いきなりどうしたんだ?」

「一応、念のために少しでも剣術を覚えて置いた方が良いと思いまして」

「まぁ、そうだな。お前も大人になったら、男なら絶対に攻撃系もできるようにしておく必要があるしな」

「はい」

 この先何があるかわからない。
 好感度鑑定を、鍛える分なるべく他の魔法を覚えないようにしておこうーーそこで、僕は剣術を習うことにした。そうすれば、別に魔力を使うわけでもない。
 まぁ、お父さんみたいにボアッって、火をまとわせたりできないけど。

 それは、仕方がない。


■■■


 次の日………早速、お母さんに魔力増加訓練をすることになった。

「いい? ギルちゃん。魔力を増加させたいなら、手っ取り早いところレベル上げがいいわ!」

「え? ………」

「私の経験値増加魔法を使って、魔力経験値豊富なハニースライムを、倒すのよ」

 まじか………ってことは、剣術必須ッ! ってことか? ちなみに、魔力経験値とはレベルが上がるごとに、魔力が増えるという感じだ。
 なるほど、たしかにそれが手っ取り早い。

「ですが、ハニースライムなんて滅多にいませんよ?」

「私の魔法にかかれば、そんなの朝飯前よ」

 まじか、この人。ここまで、すごいなんて。

「ですが、剣術は少ししかできませんし」

 そう、僕は昔お父さんに憧れて一時期、少しだけ剣術を習ったことがある。

「だから、まずはお父さんに剣術を習うことね!」

「え、はーい!」

 仕方なく、僕は早い段階から、お父さんから剣術を学ぶことにした。


■■■


「よし、もっと思いっきり振ってみろ!」

「は、はい」

 いつものお父さんとは、違い優しい目はいくつもの戦場を潜り抜けてきただけあり、鋭い目をしていた。

 僕は、思いっきり剣を振る。

「いいか? もっとこう? 振るんだ!」と、お父さんは剣を振る。

 すると、庭に生えていた一本の木が一瞬にして、跡形もなく吹き飛んだ。

「なぁ? こんな感じだ」

 お父さんは、清々しい顔で「お前もできるだろ?」みたいな、感じだったため「こんな感じじゃねぇーよ!」と突っ込んだ。

「仕方ねぇなぁ~~。だったら、もっと力を入れてみろ! 魂を剣に集中させてみろ!」

「はいはい」

 僕は、言われるがまま剣に魂? とやらを、集中させてみた。
 実際は、ただ力を集中させているだけのため、本当にこれで合ってるのかわからない。

 すると、次の瞬間僕の握っている剣が、ブワッと光出す。

「うわっ、なんですか、なんですかぁあ! これ! 大丈夫なんですか!?」

「驚いたなぁ……まさか、まじで出来るなんてな……」

 お父さんは、ガチで驚いていた。って、そんなこと言ってる場合じゃないだろ!

「ど、どうすればいいんですかぁああ!」

「ん? そのまま、思いっきり振ってみろ!」

「は、はい!」

 僕は、思いっきり剣を振る。

 すると、衝撃で吹き飛ぶと共に、バゴーンと大きな音を立てた。

「こりやぁー驚いたなぁ」と、お父さんは山を見ている。

 僕も、お父さんが見ている山を見てみる。すると、なんと真っ二つに割れていた。

「大丈夫? なんか、すごい音したけど?」と、そこに心配そうにお母さんが来た。

「おい、サフィ! ギルの野郎、もしかしたらすごい逸材だぞ!」

 と、両親はめちゃくちゃはしゃいでいる。その中僕はというと………。

 握っている剣をブルブルと震わせながら、驚いている。まじで僕がやったのか? なはずないよなぁ……夢だよな?

「すごいわ! ギルちゃん!」と、お母さんが抱きついてくる。

 く、苦しいぃ。

「ギル………」

「………ん?」

「お前、道を間違えたな」

「……………」

 返す言葉がない……。



  
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