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中編
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「ーーという訳なんです。お父様、お母様」
「ほほほほほほ。」
「うん。お望み通りにして差し上げ様ね」
お2人のお顔が大惨事ですね。そりゃあそうよ。国王陛下からは王命で日に日に酷くなる第3王子を無理矢理押し付けられ、側妃からは息子を婿入りさせてあげるんだからとお金を催促されて、たまに物騒な事呟いてるもんね。
「私はこの事を陛下に伝えて解消してくるから。2人は裁判の準備を進めてね」
「「はい」」
▪️▪️▪️▪️▪️▪️▪️▪️▪️▪️
裁判の結果は勿論大勝利ですよね。
あの女にしっかりと名誉毀損で勝利をもぎ取ってやりましたとも。予想通りの自作自演でした。更には婚約者にちょっかいを出された家、獣以下娘に誑かされた家からも損害賠償裁判を起こされたようで。
お父様は王家有責の婚約の破棄に損害賠償、今までの側妃によって不当に巻き上げられたお金の返還と賠償、そして宰相を辞職をもぎ取ってきたそうだ。もう我慢の向こう側まで超えてたのね、お父様も。
さてあのすっとこ馬鹿殿下とあの女はどうなるのか楽しみね。
「さてグラツィア。やっとさっぱりした所悪いんだけどね。君にお見合いの申し込みが来ているんだ」
「はい、勿論分かっております」
貴族ですし嫡子は私だけですものね。もうあれに比べれば大概の男性が素敵でしょうよ。
でもいくら殿下のこれまでとトドメの不貞での破棄とはいえ、この貴族社会では私だって多少の悪評が流れていると思ったのに…。こんなに早くお見合い出来るだなんて思わなかったわ。
優秀な次男3男はもう売約済みでしょうから中々厳しいわ。それもこれも…。ハゲろ、ハゲ散らかしてしまえぇえ!っは、ダメよグラツィア。過ぎた時間は戻らないのだから。
目下に迫るお見合いでなるべく良い方を見定めてお婿に来ていただかなくては。
▪️▪️▪️▪️▪️▪️▪️▪️▪️▪️
「テフラータ辺境伯の次男、ヴァレンゾ・テフラータと申します。この様なお時間を頂きありがとうございます。お会いできて光栄です」
「レピエトラ侯爵の嫡子、グラツィア・レピエトラと申します。テフラータ様とお会いできた事嬉しく思いますわ」
辺境伯は領地に善政を敷き、公明正大にて人格者との噂を聞いている。御子息達もその背中を見て育ったお陰か素晴らしい方達だそうだ。家の歴史もあり未婚女性にとってかなりの優良物件。それなのに兄弟揃って婚約者探しに苦労しているって聞いたけど納得した。
失礼だけど一般受けしなそうなのよね。
中性的な顔立ちが好まれるから男臭いと敬遠されちゃうのよ。それにテフラータ様って顔コワ!圧強!!
相対した時にどこの猛将なのって震えたわよ。男性に免疫のない貴族子女なんて見た瞬間ぶっ倒れてそうよね。
そしてさっきから話弾まないし困ったわね。やっぱりいくら切羽詰まってても傷物は嫌なのかしら。
「レピエトラ嬢その…申し訳ございません」
いきなりのお断り!?ま、まずいなんか態度に出てたかしら。唸れ私の淑女力!
「まぁ、一体どうなさったの?私何か失礼をしてしまったかしら」
「いえ!その、恥ずかしながら口下手で女性と接する機会が少なく、気の利いた会話も出来ず…。それにその、あの」
言葉に詰まってどうしたの?ん?なんか首元までピンク色にないってない?え。
「レピエトラ嬢の様な可憐な女性と、この様に長く話したことも無くて」
思わず扇子で口元隠しちゃったけど今絶対顔赤いわ私。
やだ、素手で何十人も殴り倒した様な厳つすぎるお顔を赤らめて私に、か、可憐って…!
言われた事なら沢山あるけど、勿論容姿の賛美は沢山受けているけど何これ。胸がキュンキュンするんですけど。
テフラータ様可愛らし過ぎない?
「あ、そのもし宜しければ庭をご覧になりません事?見頃を迎える花がございまして…」
「はい、是非」
そっと手を取りエスコートしてくれる。私の歩幅に合わせゆっくりと進んでくれるから歩きやすい。
ちらりと伺うとバチっと視線が合わさる。また慌てて案内しようとする進行方向へと視線を戻すという行為を幾度も繰り返した。
うううう~、なにこれむず痒い、そして恥ずかしい!どうすればいいのか分かんない。
「当家の庭を任せている者は腕が素晴らしく…」
なんて話してはいるけどもちゃんと説明出来てるか分からないわ。恥ずかしくてお顔を正面切って見れないのにチラチラ見ちゃうし。テフラータ様どんどん赤くなっていくから、私まで釣られて赤くなっちゃうのよー!
「その、もし良ければ私の事はどうかヴァレンゾと」
「はい、ヴァレンゾ様。私の事もグラツィアとどうかお呼び下さい」
お互いの手取り合って見つめ合う。
ヴァレンゾ様のお顔は真っ赤。きっと私の顔もそう。
「ほほほほほほ。」
「うん。お望み通りにして差し上げ様ね」
お2人のお顔が大惨事ですね。そりゃあそうよ。国王陛下からは王命で日に日に酷くなる第3王子を無理矢理押し付けられ、側妃からは息子を婿入りさせてあげるんだからとお金を催促されて、たまに物騒な事呟いてるもんね。
「私はこの事を陛下に伝えて解消してくるから。2人は裁判の準備を進めてね」
「「はい」」
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裁判の結果は勿論大勝利ですよね。
あの女にしっかりと名誉毀損で勝利をもぎ取ってやりましたとも。予想通りの自作自演でした。更には婚約者にちょっかいを出された家、獣以下娘に誑かされた家からも損害賠償裁判を起こされたようで。
お父様は王家有責の婚約の破棄に損害賠償、今までの側妃によって不当に巻き上げられたお金の返還と賠償、そして宰相を辞職をもぎ取ってきたそうだ。もう我慢の向こう側まで超えてたのね、お父様も。
さてあのすっとこ馬鹿殿下とあの女はどうなるのか楽しみね。
「さてグラツィア。やっとさっぱりした所悪いんだけどね。君にお見合いの申し込みが来ているんだ」
「はい、勿論分かっております」
貴族ですし嫡子は私だけですものね。もうあれに比べれば大概の男性が素敵でしょうよ。
でもいくら殿下のこれまでとトドメの不貞での破棄とはいえ、この貴族社会では私だって多少の悪評が流れていると思ったのに…。こんなに早くお見合い出来るだなんて思わなかったわ。
優秀な次男3男はもう売約済みでしょうから中々厳しいわ。それもこれも…。ハゲろ、ハゲ散らかしてしまえぇえ!っは、ダメよグラツィア。過ぎた時間は戻らないのだから。
目下に迫るお見合いでなるべく良い方を見定めてお婿に来ていただかなくては。
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「テフラータ辺境伯の次男、ヴァレンゾ・テフラータと申します。この様なお時間を頂きありがとうございます。お会いできて光栄です」
「レピエトラ侯爵の嫡子、グラツィア・レピエトラと申します。テフラータ様とお会いできた事嬉しく思いますわ」
辺境伯は領地に善政を敷き、公明正大にて人格者との噂を聞いている。御子息達もその背中を見て育ったお陰か素晴らしい方達だそうだ。家の歴史もあり未婚女性にとってかなりの優良物件。それなのに兄弟揃って婚約者探しに苦労しているって聞いたけど納得した。
失礼だけど一般受けしなそうなのよね。
中性的な顔立ちが好まれるから男臭いと敬遠されちゃうのよ。それにテフラータ様って顔コワ!圧強!!
相対した時にどこの猛将なのって震えたわよ。男性に免疫のない貴族子女なんて見た瞬間ぶっ倒れてそうよね。
そしてさっきから話弾まないし困ったわね。やっぱりいくら切羽詰まってても傷物は嫌なのかしら。
「レピエトラ嬢その…申し訳ございません」
いきなりのお断り!?ま、まずいなんか態度に出てたかしら。唸れ私の淑女力!
「まぁ、一体どうなさったの?私何か失礼をしてしまったかしら」
「いえ!その、恥ずかしながら口下手で女性と接する機会が少なく、気の利いた会話も出来ず…。それにその、あの」
言葉に詰まってどうしたの?ん?なんか首元までピンク色にないってない?え。
「レピエトラ嬢の様な可憐な女性と、この様に長く話したことも無くて」
思わず扇子で口元隠しちゃったけど今絶対顔赤いわ私。
やだ、素手で何十人も殴り倒した様な厳つすぎるお顔を赤らめて私に、か、可憐って…!
言われた事なら沢山あるけど、勿論容姿の賛美は沢山受けているけど何これ。胸がキュンキュンするんですけど。
テフラータ様可愛らし過ぎない?
「あ、そのもし宜しければ庭をご覧になりません事?見頃を迎える花がございまして…」
「はい、是非」
そっと手を取りエスコートしてくれる。私の歩幅に合わせゆっくりと進んでくれるから歩きやすい。
ちらりと伺うとバチっと視線が合わさる。また慌てて案内しようとする進行方向へと視線を戻すという行為を幾度も繰り返した。
うううう~、なにこれむず痒い、そして恥ずかしい!どうすればいいのか分かんない。
「当家の庭を任せている者は腕が素晴らしく…」
なんて話してはいるけどもちゃんと説明出来てるか分からないわ。恥ずかしくてお顔を正面切って見れないのにチラチラ見ちゃうし。テフラータ様どんどん赤くなっていくから、私まで釣られて赤くなっちゃうのよー!
「その、もし良ければ私の事はどうかヴァレンゾと」
「はい、ヴァレンゾ様。私の事もグラツィアとどうかお呼び下さい」
お互いの手取り合って見つめ合う。
ヴァレンゾ様のお顔は真っ赤。きっと私の顔もそう。
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