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盛大な認識の事故現場でしてよ
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それだけではないぞと、殿下がビシっとペルピナル公爵令嬢を指差し話を続けた。
人に向かって王族の方が指をさすだなんて…。と私だけでなくあまりのマナーの悪さに周りも引いたのかざわりとした。
「この清純で慎み深く、優しく健気で、頑張り屋で、愛らしいアメリ嬢に嫉妬したお前は亡き者にしようとし、裏稼業の人間を雇い襲わせたのだろう!」
「私がその様な事をするはずがありません!何かの間違いですわ!」
アメリ嬢はぐすぐす涙ぐみながら殿下に縋り付いていた。
腕に胸が当たったのか一瞬デレっとした顔を殿下は見せた。うわあ、無理。
「殿下の抱くアメリ嬢の印象って私の抱く彼女と正面衝突しているわね。大事故よ。清純で慎み深い令嬢が普段お胸の谷間が見える様にボタンは外さないでしょうし、スカートもあんなに短く改造していなかったと思うわ。今着ているドレスも加減を間違えてただ露出の高い下品な印象しかないもの」
「そうねぇ。殿下のアメリ嬢を指していると思われる言葉は玉突き事故を起こしているわね。何せ日替わりイケメンですものねぇ。普段の行動言動も何故か殿下達と共にしている時は狂ってるとしか思えなかったわね。あら、彼女の着ているドレスって殿下からのプレゼントかしら。殿下の人間性の出ているセンスね。でも頑張り屋さんだとは思うわ。他人の相手を横取りする事に関しては。」
そうよね。殿下も側近候補の方々も皆婚約者がいるのに、横から手を伸ばして全員の心をガッチリ掴んだ様ですしね。確かに頑張り屋さんかもしれないわね。必要ない努力だと思うけど。
そんな事を考えていると側近候補の方々が、わーわー何事かをペルピナル公爵令嬢に向かって言葉を投げつけている。
いくら殿下の側近候補とはいえ爵位の下の者が公爵令嬢にあんな無礼を働くだ何て。
王太子殿下の側にいると思考回路が似てくるのかしら。
元を辿れば王妃の思考回路がうつったと言うべき?王妃菌怖いわ。
「アリアンナ・ペルピナル!心のままに権力を振りかざし、相手が自分より身分が低いからと何をしても許されるわけがない!お前の様な女は私の横に立ち、慈しみ導く国母たるに相応しくない。よって婚約を破棄する!」
あーあ。死んだわ。
婚約破棄宣言をした今完全に社会的には勿論だけれど、よりによってペルピナル公爵家に喧嘩売るだなんて下手をしたら物理的に死んだわ。
それにしても。
「こんな盛大な社会的自害現場初めて見たわ…」
「シャルロットったら呆然としすぎて心の声が駄々漏れているわよ。それに社会的な自傷行為ならいつもの事でしょ。あら、王妃派に属している家の方々から口から魂がこんにちはしているようよ」
「まぁ、このまま天に召されたくなるでしょうね」
〝王太子劇場〟が開幕された辺りからプルプルしたり、酷い顔色の方が多かったけどトドメになってしまったのね。
動力の切れかけたおもちゃ的な動きををしている方、凍り付いた様にピクリとも動かない方の多い事…。
我が家はペルピナル公爵家とも王妃とも疎遠にしてはいるけれど、国が大混乱しそうだしのんびりしている場合ではないのよね。
あ、ペルピナル公爵が乱入してきた。
「殿下なんと言う事を…!」とかなんとか言って何事かを言っている。公爵が現れて殿下達は若干顔色を悪くしているけど言い合いは続くのね。
こんな状況なのに、給仕を務めている者から飲み物を受け取り、未だ繰り広げられている劇を見つめていた。
扉が開く音がし、何者かが静かに入室してきた様だ。
良く見えないけど人波をかき分けてあの催し物に近づいていく人物がいる様だ。
人に向かって王族の方が指をさすだなんて…。と私だけでなくあまりのマナーの悪さに周りも引いたのかざわりとした。
「この清純で慎み深く、優しく健気で、頑張り屋で、愛らしいアメリ嬢に嫉妬したお前は亡き者にしようとし、裏稼業の人間を雇い襲わせたのだろう!」
「私がその様な事をするはずがありません!何かの間違いですわ!」
アメリ嬢はぐすぐす涙ぐみながら殿下に縋り付いていた。
腕に胸が当たったのか一瞬デレっとした顔を殿下は見せた。うわあ、無理。
「殿下の抱くアメリ嬢の印象って私の抱く彼女と正面衝突しているわね。大事故よ。清純で慎み深い令嬢が普段お胸の谷間が見える様にボタンは外さないでしょうし、スカートもあんなに短く改造していなかったと思うわ。今着ているドレスも加減を間違えてただ露出の高い下品な印象しかないもの」
「そうねぇ。殿下のアメリ嬢を指していると思われる言葉は玉突き事故を起こしているわね。何せ日替わりイケメンですものねぇ。普段の行動言動も何故か殿下達と共にしている時は狂ってるとしか思えなかったわね。あら、彼女の着ているドレスって殿下からのプレゼントかしら。殿下の人間性の出ているセンスね。でも頑張り屋さんだとは思うわ。他人の相手を横取りする事に関しては。」
そうよね。殿下も側近候補の方々も皆婚約者がいるのに、横から手を伸ばして全員の心をガッチリ掴んだ様ですしね。確かに頑張り屋さんかもしれないわね。必要ない努力だと思うけど。
そんな事を考えていると側近候補の方々が、わーわー何事かをペルピナル公爵令嬢に向かって言葉を投げつけている。
いくら殿下の側近候補とはいえ爵位の下の者が公爵令嬢にあんな無礼を働くだ何て。
王太子殿下の側にいると思考回路が似てくるのかしら。
元を辿れば王妃の思考回路がうつったと言うべき?王妃菌怖いわ。
「アリアンナ・ペルピナル!心のままに権力を振りかざし、相手が自分より身分が低いからと何をしても許されるわけがない!お前の様な女は私の横に立ち、慈しみ導く国母たるに相応しくない。よって婚約を破棄する!」
あーあ。死んだわ。
婚約破棄宣言をした今完全に社会的には勿論だけれど、よりによってペルピナル公爵家に喧嘩売るだなんて下手をしたら物理的に死んだわ。
それにしても。
「こんな盛大な社会的自害現場初めて見たわ…」
「シャルロットったら呆然としすぎて心の声が駄々漏れているわよ。それに社会的な自傷行為ならいつもの事でしょ。あら、王妃派に属している家の方々から口から魂がこんにちはしているようよ」
「まぁ、このまま天に召されたくなるでしょうね」
〝王太子劇場〟が開幕された辺りからプルプルしたり、酷い顔色の方が多かったけどトドメになってしまったのね。
動力の切れかけたおもちゃ的な動きををしている方、凍り付いた様にピクリとも動かない方の多い事…。
我が家はペルピナル公爵家とも王妃とも疎遠にしてはいるけれど、国が大混乱しそうだしのんびりしている場合ではないのよね。
あ、ペルピナル公爵が乱入してきた。
「殿下なんと言う事を…!」とかなんとか言って何事かを言っている。公爵が現れて殿下達は若干顔色を悪くしているけど言い合いは続くのね。
こんな状況なのに、給仕を務めている者から飲み物を受け取り、未だ繰り広げられている劇を見つめていた。
扉が開く音がし、何者かが静かに入室してきた様だ。
良く見えないけど人波をかき分けてあの催し物に近づいていく人物がいる様だ。
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