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第一章⓪ 『遺書編』
第一章⓪-2 『服も買えないって本当ですか?』
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今までゲームなんてこれっぽっちも興味なかった俺だが、急に興奮してきた。新しく自分の名前が決まる瞬間がこんなにもウキウキすることだとは思いもしなかったからだ。
期待に胸を膨らませて俺は言われるがままにボタンを押した。
ボタンを押した途端、俺の身体全体が青い光に包まれた。
「おぉ!なんだこれは!」
それはとてつもなく眩しい光だった。そして命名機が片言ではあるがしゃべりだしたのだ。
「アナタノナマエハ、『ナイユフ』デス」
命名機がそう言い放つと、今まで身体を覆っていた光がスンッと消えた。
「俺の名前は……『ナイユフ』か!」
何だか変わった名前な気はしたが、素直に嬉しかった。
そして命名機から何やらカードらしき物が出てきた。
「フルーラ、このカードはなんだ?」
「はい、こちらは『個人カード』と言ってナイユフ様の身分を証明するカードになっています」
「なるほどな」
日本でいうところのマイナンバーカードのような物なのだろう。
俺は興奮のあまり役所の扉を勢い良く開け、カードを両手で持ち上げて太陽に翳した。ちょうど昼ご飯を食べるくらいの時間だろうか。燦々と降り注ぐ陽光をみて、ナイユフの心が躍りだした。
「じゃぁ、俺そろそろ出発するよ!」
「いったいどこに向かうのですか?」
「まぁ、こういうのって歩いてたら誰かしら声をかけてくれるだろ」
「はあ?まぁ、そう、ですかね」
「そうだそうだ」
「分かりました。ではナイユフ様が役割を全うできることを心から願っております」
そう言ってフルーラはナイユフが見えなくなるまで頭を下げ続けたのだった。
これから俺の冒険が始まるのか。
それにしても今から冒険だっていうのにフルーラはなぜ「良い旅を」とか「楽しい冒険になるといいですね」みたいなありきたりな言葉をかけてくれないのだろう。あいつなんて言ったっけ。忘れちゃった。
名前を付けてもらったはいいが、次は何をすればいいんだろうか。
「くそっ、フルーラに聞いときゃよかったな~。でもあいつどこか胡散臭いんだよな、本当のこと教えてくれるかわかんないし聞かずに正解だったかもな」
お面で顔を隠したピエロみたいな奴のことを信じるのはどうかと思う、そんな奴とは俺は仲良くできないかもな。
その後、しばらくほっつき歩いていたのだが道に迷ってしまった。ここら辺は住宅街らしく複雑に入り組んでいて方向音痴の俺にはまさに迷路だった。
そしてなんとか大通りに出た。しかし、またさっきの役所の目の前に出てきてしまった。このままでは誰にも会えないかもしれない。
「はぁ、仕方ねーか」
俺はそうつぶやき、しぶしぶ役所に入った。
「あのーすみませーん?」
「お、ナイユフ様じゃありませんか。どうなされました?まさか名前がやっぱり気に食わなかったとかですか?すみません、改名は先ほども申しましたが不可能でして……」
「まだ何も言っちゃーいねーよ」
「ではどのようなご用件で?」
「いやそれがさ」
俺がここに来た要件を話そうとした瞬間だった。
カランカラン。
「あ、あのーさっきも来たんですけど」
なんと、役所の扉を開けそこに現れたのは俺が一目惚れした西高のトップオブトップの相澤夢乃だったのだ。彼女は暗い紫の光沢のあるロングワンピースを着ていた。
「な、なんでこんなところに……」
俺はいきなり現れた彼女に驚き、そのまま固まってしまった。
だがそんな俺を放置し、フルーラは彼女と話し始めた。
「ま~たあなたですか。今度はどうなされましたか?」
フルーラはなぜかあきれた態度だった。
「あなたの言った通りに道を進んだはずなのだけれど、一向にパン屋に着きません!」
パン屋……だと。
ゲームとはおそらく敵を倒したり宝を集めたりする物のはず。それなのに彼女はパン屋を探しているだと。一体この子は何がしたいんだ。
「パン屋への行き方なら先ほど事細かに説明したじゃありませんか、しかも私は丁寧に地図まで渡したはずですよ。それなのにあなたはなぜ辿り着けないんですか」
しばらく間が空いて、彼女はもじもじと恥ずかしそうにしていた口が漸く開いた。
「んーもう!私地図が読めないんです!フルーラさんが唯一の頼りなんです!」
えーなにこの子、かわいい。さっきのは前言撤回だ、俺もフルーラを頼ろっ。おまけにこの美少女ときたら俺と同じく生粋の方向音痴だったのだ。
いきなりの共通点に俺はホワホワしていると
「あ、もしかしてお取込み中でしたか?」
と彼女は俺らが先に話していた事に気付き、申し訳なさそうな表情でこちらを伺ってきた。それに対して俺は間髪入れずに
「あ、いえ大丈夫ですよ。そのまま続けてください。俺も一緒にお話聞きたいので」
と言った。
そうして俺は相澤夢乃とフルーラの会話を聞くことにした。
「そもそもなぜこんなところに来てまでパンを食べたいんですか?」
とフルーラはとても不思議そうに質問した。それに対して相澤夢乃は謎のドヤ顔で語り始めた。
「それはですね――このゲームがいかに細部までこだわっているかを確かめるためです!」
「パンでそんなのが分かるのか?」
「はい!私は普段から色々なゲームをしているのですが、面白いゲームは必ずと言っていいほどパン屋さんで焼いたパンがめちゃくちゃ美味しいんです!その中でも特にメロンパンが!メロンパンの肝は何といっても周りのあのサクサクしたビスケット生地ですよね。ここのメロンパンも早く食べたいのに!」
「確かにメロンパンって美味しいよな!」
俺は彼女が話していることにそれなりに共感していたのだがフルーラだけは違った。
「あの、そのメロンパンって何ですか?聞いたことないですし、おそらくこの世界にはないですよそのようなパンは。それにまずこの世界はゲームではないですからね」
「えっ?」
俺と彼女はシンクロした。そして俺はすかさず聞いた。
「今なんて言った」
「ですからメロンパンなんて聞いたことも見たことも」
「じゃなくてその後だよ!」
「ああ、この世界がゲームじゃないって話ですか?」
「そう、それそれ」
相澤夢乃は隣で激しく頷いていた。
「ええ、もちろんこの世界はゲームじゃなくて現実世界ですよ。君達からしたら異世界ってことになりますかね」
「じゃ俺らは、まさか異世界転移したってことか……」
「そうなりますね」
「ほ、本当に言っているんですか?」
「えぇ本当ですよ。実はですね、どうも地球という星からたまに来るんですよ。あなた方みたいな人達がね」
なんと俺たちはゲームを始めたはずなのに異世界に転移されてしまっていたのだ。
「ちょ、ちょっと待てよ。全然理解できないし、ちょっ、えぇー。あっ、だから俺は病衣のままなのか」
「あ、あの先にあなたのお名前を伺ってもよろしいですか?」
「え、今!?なぜ今」
「と、とりあえず先に聞いておこうかなと思いまして」
「あーそういうことか。俺の名前は、みやな……じゃなくてナイユフです。どうぞよろしく」
「ナイユフさんですね。あ、私の名前はふ、フラッカです。どうぞよろしくお願いします」
「あのーお二人ともまずは、そこの椅子に腰を掛けてから話しませんか?」
「そ、そうですよね」
俺とフラッカは冷静になるために椅子に座ることにした。
「ささっ、お二人とも水を」
2人は出された水をグイっと体に流し込んだ。そして、しばらくすると二人はだいぶ落ち着きをみせた。
「お二人とも先ほどよりは落ち着きましたね。それではまずこの世界について話しましょうか。この世界はゲームといった物ではなくちゃんとした現実世界です。そしてこの星の名前は『水球』です。あなた達が暮らしている星は地球といわれるものでしょう。そしてここは水球にあるニガレオス大陸といわれる大陸に位置する『ワイト王国』なのです」
「ワイト王国か」
「王国ということは王様がいるんですね」
「えぇ、もちろん王がいます。王の名はアルバ=フォーティス国王です。ちなみに政権はアルバ国王が握っています」
「それで終わり?」
「いいえ、まだございます。この国は島国ですが国土面積が約769万平方キロメートルもあると云われているため、州が四つに分かれています。第1州は『ブルス州』、第2州は『グリス州』、第3州は『バーナー州』、そして最後の第4州は『ローゼ州』です。さらに、その州一つ一つに王様がおられます。第1王子の『ブレイブ=シス』、第2王子の『レイヤー=ビート』、第3王子の『マルスル=モンク』、そして第4王子の『ザーファ=ペリッシュ』です」
「なかなか、多いな」
「私はもう頭がパンクしそうです」
「ちなみにここは第4州のローゼ州にあるカラルナの街です。これで一通りの説明は終わりましたが――」
一瞬フルーラが固まったがまた話し始めた。
「そういえば君達はお知り合いか何かだったわけではないんですか?フラッカ様もこの世界に来たときはナイユフ様と同様の服装でしたよね」
「あっ、やはりナイユフさんのこの服装って病衣ですよね?もしかして同じ病院でしたか?」
「フラッカも病衣を着ていたのか?」
「はい。鬼丸病院という名前の病院でしたけどー」
「鬼丸病院って、じゃあ同じじゃんかよ。てことはフラッカも入院しててあの院長にゲームを勧められたってことか」
「そうですそうです!」
「でもじゃ、なんで今、病衣を着ていないんだよ」
「ああ、これですか。これはですね、パン屋さんを探している最中に古着屋を見つけましてね。病衣のままじゃ恥ずかしかったので着替えたんです!」
「お金は?俺らはまだこの世界のお金持ってないはずだろ」
「あーお金はですね、もちろん持っていませんよ。だから病衣と交換という形で古着屋のおじいさんにもらったんです!」
「なんだかそれ、危ないにおいがするんだが……」
「そ、そんなことないですよ!とても親切なおじいさんでしたよ」
「ならいいけどさ。なら俺もそこで交換してもらおうかな」
そんなこんなで、異世界に飛ばされた者同士仲良くしていこうということになった。
この世界についての説明が終わり、フルーラにお礼を言った2人は役所を出た。
期待に胸を膨らませて俺は言われるがままにボタンを押した。
ボタンを押した途端、俺の身体全体が青い光に包まれた。
「おぉ!なんだこれは!」
それはとてつもなく眩しい光だった。そして命名機が片言ではあるがしゃべりだしたのだ。
「アナタノナマエハ、『ナイユフ』デス」
命名機がそう言い放つと、今まで身体を覆っていた光がスンッと消えた。
「俺の名前は……『ナイユフ』か!」
何だか変わった名前な気はしたが、素直に嬉しかった。
そして命名機から何やらカードらしき物が出てきた。
「フルーラ、このカードはなんだ?」
「はい、こちらは『個人カード』と言ってナイユフ様の身分を証明するカードになっています」
「なるほどな」
日本でいうところのマイナンバーカードのような物なのだろう。
俺は興奮のあまり役所の扉を勢い良く開け、カードを両手で持ち上げて太陽に翳した。ちょうど昼ご飯を食べるくらいの時間だろうか。燦々と降り注ぐ陽光をみて、ナイユフの心が躍りだした。
「じゃぁ、俺そろそろ出発するよ!」
「いったいどこに向かうのですか?」
「まぁ、こういうのって歩いてたら誰かしら声をかけてくれるだろ」
「はあ?まぁ、そう、ですかね」
「そうだそうだ」
「分かりました。ではナイユフ様が役割を全うできることを心から願っております」
そう言ってフルーラはナイユフが見えなくなるまで頭を下げ続けたのだった。
これから俺の冒険が始まるのか。
それにしても今から冒険だっていうのにフルーラはなぜ「良い旅を」とか「楽しい冒険になるといいですね」みたいなありきたりな言葉をかけてくれないのだろう。あいつなんて言ったっけ。忘れちゃった。
名前を付けてもらったはいいが、次は何をすればいいんだろうか。
「くそっ、フルーラに聞いときゃよかったな~。でもあいつどこか胡散臭いんだよな、本当のこと教えてくれるかわかんないし聞かずに正解だったかもな」
お面で顔を隠したピエロみたいな奴のことを信じるのはどうかと思う、そんな奴とは俺は仲良くできないかもな。
その後、しばらくほっつき歩いていたのだが道に迷ってしまった。ここら辺は住宅街らしく複雑に入り組んでいて方向音痴の俺にはまさに迷路だった。
そしてなんとか大通りに出た。しかし、またさっきの役所の目の前に出てきてしまった。このままでは誰にも会えないかもしれない。
「はぁ、仕方ねーか」
俺はそうつぶやき、しぶしぶ役所に入った。
「あのーすみませーん?」
「お、ナイユフ様じゃありませんか。どうなされました?まさか名前がやっぱり気に食わなかったとかですか?すみません、改名は先ほども申しましたが不可能でして……」
「まだ何も言っちゃーいねーよ」
「ではどのようなご用件で?」
「いやそれがさ」
俺がここに来た要件を話そうとした瞬間だった。
カランカラン。
「あ、あのーさっきも来たんですけど」
なんと、役所の扉を開けそこに現れたのは俺が一目惚れした西高のトップオブトップの相澤夢乃だったのだ。彼女は暗い紫の光沢のあるロングワンピースを着ていた。
「な、なんでこんなところに……」
俺はいきなり現れた彼女に驚き、そのまま固まってしまった。
だがそんな俺を放置し、フルーラは彼女と話し始めた。
「ま~たあなたですか。今度はどうなされましたか?」
フルーラはなぜかあきれた態度だった。
「あなたの言った通りに道を進んだはずなのだけれど、一向にパン屋に着きません!」
パン屋……だと。
ゲームとはおそらく敵を倒したり宝を集めたりする物のはず。それなのに彼女はパン屋を探しているだと。一体この子は何がしたいんだ。
「パン屋への行き方なら先ほど事細かに説明したじゃありませんか、しかも私は丁寧に地図まで渡したはずですよ。それなのにあなたはなぜ辿り着けないんですか」
しばらく間が空いて、彼女はもじもじと恥ずかしそうにしていた口が漸く開いた。
「んーもう!私地図が読めないんです!フルーラさんが唯一の頼りなんです!」
えーなにこの子、かわいい。さっきのは前言撤回だ、俺もフルーラを頼ろっ。おまけにこの美少女ときたら俺と同じく生粋の方向音痴だったのだ。
いきなりの共通点に俺はホワホワしていると
「あ、もしかしてお取込み中でしたか?」
と彼女は俺らが先に話していた事に気付き、申し訳なさそうな表情でこちらを伺ってきた。それに対して俺は間髪入れずに
「あ、いえ大丈夫ですよ。そのまま続けてください。俺も一緒にお話聞きたいので」
と言った。
そうして俺は相澤夢乃とフルーラの会話を聞くことにした。
「そもそもなぜこんなところに来てまでパンを食べたいんですか?」
とフルーラはとても不思議そうに質問した。それに対して相澤夢乃は謎のドヤ顔で語り始めた。
「それはですね――このゲームがいかに細部までこだわっているかを確かめるためです!」
「パンでそんなのが分かるのか?」
「はい!私は普段から色々なゲームをしているのですが、面白いゲームは必ずと言っていいほどパン屋さんで焼いたパンがめちゃくちゃ美味しいんです!その中でも特にメロンパンが!メロンパンの肝は何といっても周りのあのサクサクしたビスケット生地ですよね。ここのメロンパンも早く食べたいのに!」
「確かにメロンパンって美味しいよな!」
俺は彼女が話していることにそれなりに共感していたのだがフルーラだけは違った。
「あの、そのメロンパンって何ですか?聞いたことないですし、おそらくこの世界にはないですよそのようなパンは。それにまずこの世界はゲームではないですからね」
「えっ?」
俺と彼女はシンクロした。そして俺はすかさず聞いた。
「今なんて言った」
「ですからメロンパンなんて聞いたことも見たことも」
「じゃなくてその後だよ!」
「ああ、この世界がゲームじゃないって話ですか?」
「そう、それそれ」
相澤夢乃は隣で激しく頷いていた。
「ええ、もちろんこの世界はゲームじゃなくて現実世界ですよ。君達からしたら異世界ってことになりますかね」
「じゃ俺らは、まさか異世界転移したってことか……」
「そうなりますね」
「ほ、本当に言っているんですか?」
「えぇ本当ですよ。実はですね、どうも地球という星からたまに来るんですよ。あなた方みたいな人達がね」
なんと俺たちはゲームを始めたはずなのに異世界に転移されてしまっていたのだ。
「ちょ、ちょっと待てよ。全然理解できないし、ちょっ、えぇー。あっ、だから俺は病衣のままなのか」
「あ、あの先にあなたのお名前を伺ってもよろしいですか?」
「え、今!?なぜ今」
「と、とりあえず先に聞いておこうかなと思いまして」
「あーそういうことか。俺の名前は、みやな……じゃなくてナイユフです。どうぞよろしく」
「ナイユフさんですね。あ、私の名前はふ、フラッカです。どうぞよろしくお願いします」
「あのーお二人ともまずは、そこの椅子に腰を掛けてから話しませんか?」
「そ、そうですよね」
俺とフラッカは冷静になるために椅子に座ることにした。
「ささっ、お二人とも水を」
2人は出された水をグイっと体に流し込んだ。そして、しばらくすると二人はだいぶ落ち着きをみせた。
「お二人とも先ほどよりは落ち着きましたね。それではまずこの世界について話しましょうか。この世界はゲームといった物ではなくちゃんとした現実世界です。そしてこの星の名前は『水球』です。あなた達が暮らしている星は地球といわれるものでしょう。そしてここは水球にあるニガレオス大陸といわれる大陸に位置する『ワイト王国』なのです」
「ワイト王国か」
「王国ということは王様がいるんですね」
「えぇ、もちろん王がいます。王の名はアルバ=フォーティス国王です。ちなみに政権はアルバ国王が握っています」
「それで終わり?」
「いいえ、まだございます。この国は島国ですが国土面積が約769万平方キロメートルもあると云われているため、州が四つに分かれています。第1州は『ブルス州』、第2州は『グリス州』、第3州は『バーナー州』、そして最後の第4州は『ローゼ州』です。さらに、その州一つ一つに王様がおられます。第1王子の『ブレイブ=シス』、第2王子の『レイヤー=ビート』、第3王子の『マルスル=モンク』、そして第4王子の『ザーファ=ペリッシュ』です」
「なかなか、多いな」
「私はもう頭がパンクしそうです」
「ちなみにここは第4州のローゼ州にあるカラルナの街です。これで一通りの説明は終わりましたが――」
一瞬フルーラが固まったがまた話し始めた。
「そういえば君達はお知り合いか何かだったわけではないんですか?フラッカ様もこの世界に来たときはナイユフ様と同様の服装でしたよね」
「あっ、やはりナイユフさんのこの服装って病衣ですよね?もしかして同じ病院でしたか?」
「フラッカも病衣を着ていたのか?」
「はい。鬼丸病院という名前の病院でしたけどー」
「鬼丸病院って、じゃあ同じじゃんかよ。てことはフラッカも入院しててあの院長にゲームを勧められたってことか」
「そうですそうです!」
「でもじゃ、なんで今、病衣を着ていないんだよ」
「ああ、これですか。これはですね、パン屋さんを探している最中に古着屋を見つけましてね。病衣のままじゃ恥ずかしかったので着替えたんです!」
「お金は?俺らはまだこの世界のお金持ってないはずだろ」
「あーお金はですね、もちろん持っていませんよ。だから病衣と交換という形で古着屋のおじいさんにもらったんです!」
「なんだかそれ、危ないにおいがするんだが……」
「そ、そんなことないですよ!とても親切なおじいさんでしたよ」
「ならいいけどさ。なら俺もそこで交換してもらおうかな」
そんなこんなで、異世界に飛ばされた者同士仲良くしていこうということになった。
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