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〇03 ノゾキアナの恐怖

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 壁に開いた二、三センチほどの穴。
 ノゾキアナ。

 これが僕の世界を広げてくれる。

 ノゾキアナから今日も見る。
 大好きな隣人の彼女をずっとみる。

 片時も目を離さずに24時間ながめまわす。

 君のどんな事も知りたい。
 全てを知り尽くしたいから。

 どんな瞬間も、どんな表情も、

 ここから離れる?
 そんな事想像できないよ。

 だって、目を離したすきに君がいなくなっていたら、たぶん気が狂ってしまう。
 こんなにも好きなのに。
 こんなにも惚れているのに。

 この瞳が彼女以外を移すなんて耐えられない。

 だから今日も、明日も、明後日も、ノゾキアナを使って監視を続けていこう。

 あれ?
 でも。
 何だか変だ。

 ずっとずっと彼女を眺めまわしていた僕は気が付いた。
 とっくの昔におかしいと気が付くべきだった。

 ソファーに座ってくつろく、無防備な彼女をながめる。

 何で24時間以上経っても動かないんだろう。
 
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