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エピローグ

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 それからは割とすんなり逃げる事が出来た。
 ジークフリートが待ち構えていたらどうしようかと思ったが、ナナキの知り合いのエアリ特士長が暴れまわって引き付けてるというようだ(エルンから聞いた)。そして肝心の敵勢力であるキースは、どういう事かあっさりとルオン達を見逃してくれたのだった。

 どうしてアイツらがこんな事を……と思うが、なんでも飛空艇から放り投げなかった恩と守りの聖樹フォレスト・ヒースに引き渡すときに「あんまり手荒に扱ってやるなよ」とか言っておいた恩とからしい(敵に情けをかけるとか馬鹿ですか、と二回ぐらい去り際に言われたが)。

 まあ、ナナキを牢屋に放り込んだって話があったから、割と厳しい組織なんじゃないかって思ったから、ついな。後で聞いた話だがフレアの事も一度は逃げ出す機会を作ってくれたみたいだし。(もちろん結果はいわずもがな、だ)

 そんなわけで、結構派手に暴れまわったのだから当然この辺の使徒達の耳には情報が入ってしまったわけで、コロセアムの町に滞在し続けるわけにもいかず、ルオン達は早々に次の町へ向かう事になった。




「じゃあねー、お姉ちゃん達」
「そっちも元気でな」
「助けてくれてありがとうね、エルン君」

 そんな風に町の入り口までエルンをおくった後、ルオン達は街道を歩いて行く。

「それにしても、今考えてもびっくりだよね。フレアちゃんが神様だったなんて」
「ほんとだよな」

 出会った時は本当思いもしなかった。
 どっか抜けてて危なっかしい、猫好きだし、魚好きだし。どこにでもいる……とまではいかないけど普通の人間の女の子だと思ってた。
 今もまだやっぱり信じられないくらいだし。

 そんな風に思われているとは知らないフレアはあたしの横で歩きながら、抱き上げたネコの毛づくろいをしている。

「艶々毛並みにゃー。あ、毛玉発見にゃ」

 ……うん、ほんと思えない。
 
 そんな毛づくろいを興味深そうに見ていたモカが声を上げる。

「ねぇねぇ、フレアちゃん。フレアちゃんは神様だったけど今は人間なんだよね。それならどうしてモカ達を巫女様に選んだとか理由が聞いてもいいのかな」
「あ、それは駄目にゃ」

 思い付いたようなモカの質問に一瞬ドキッとしたが、すぐさまフレア自身に速攻で否定されてガクッとなる。

「どうして?」

 モカは聞きつつも、笑顔だ。
 なんだかどんな理由なのか分かってるみたいだ。

「そういうのは自分で考えて答えを出すのが成長というものだからにゃ、フレアが言うのは簡単だけど、それじゃルオン達の為にはならないのにゃ。答えは教えてもらう物じゃなくて、自分で掴み取るものにゃ。納得できるまで悩んで、考えて走り回って、そうして手に入れたものにこそ、価値は宿るはずなのにゃ」

 ……お、おおう。油断してたらいきなり小難しいこと言い出したな。
 ……やっぱフレア、神様かも。

 だが、言われてみれば確かにそうだ。
 安易に得られる答えなんて、自分の為になるわけないだろうし。

「でも、これだけは言えるにゃ、ルオンやモカを巫女にしたことは間違ってない。これは自信を持って言える事にゃ」
「そっか……」
「えへへ……」

 フレアの言葉にルオンもモカも、目を丸くした後、それぞれ照れくさそうに、嬉しそうに言葉をもらした。
 答えは分からずじまいだけど、今はその言葉だけで良いかもな。

「よしっ、フレアを助けるために頑張るぞ。えーとナナキ、次の町はどんなとこだっけ、手掛かりになるようなのがあればいいんだけどな……」
「モカも張り切って頑張るよ。誉めれられて延びるタイプだもん。たくさん頑張らないとね」
「そうですね。そうですけど、お二人共、あまりはしゃいで先日みたいに、転んだ利、物をなくしたり、道に迷いそうになったりしないでくださいね」
「にゃー、何だかナナキは毎日苦労してそうだにゃあ」

 そんな風に今までよりは少しだけ賑やかになって、まだ見ぬ町や村々に思いをはせながら、ルオン達は新しい目的地を目指して歩き続けていく。

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