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〇22 もう取りに行けない忘れもの
しおりを挟む忘れ物をしてしまった。
取りに戻りたいけど。
もう戻らないかもしれない。
ずっと後悔してるんだ。
でも、どんなに後悔してもそれは戻ってこない。
夢の中だ。見飽きた景色が広がっている。
ああ、また置き去りにしてしまうんだ。
きっと今回も。
「そんな事を言うんだったら、おうちに連れて帰ってやらないからな!」
俺はわが子にそう言って、背中を向ける。
たしかあいつは、遊園地で限定販売されているおもちゃがほしいとか言い出したんだっけ。
でも、数十分前におもちゃはもう買い与えていたし、買うのは一つだけだと約束していたから。
二つほしいなんてわがままをいうなと、腹を立てたんだ。
周囲は楽しそうな親子ばかり。
明るく陽気な音楽が流れてて、逆にそれが俺の不機嫌を強めさせていた。
遠くでジェットコースターがごうっと音を立てる。
あの子と一回だけ乗って、それきりだったアトラクションの音。
「せっかく休みをとって付き合ってやったのに、わがままばかりなんだから」
歩き出す俺の袖を引くのは、かつて妻だった女性。
「あなた。あの子は一週間前から楽しみにしていたのよ」
「それがどうした、俺なんて一か月以上も前から休みを入れるために、がんばってきたんだぞ」
ああ、どうしてあのときあんな事をしてしまったんだろう。
声が届くなら、立ち止まって今すぐ戻れと、伝えたい。
休日の朝。
いつもの夢から覚めた俺は、つかれた体を引きずりながら車に乗った。
昼食は途中で立ち寄るコンビニで買う予定だ。
同乗者などいない。一人だった。
行き先は遊園地。と、その周辺。
あの子がかつて乗っていた車の助手席には、行方不明者の情報を求めるビラがのっていた。
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