ザ・ライト文芸(男性向け) 短編まとめ場所

透けてるブランディシュカ

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〇18 数字 書き方

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 学校の授業の合間。
 数学のテキストを用意していたら、隣の席のあいつが話しかけてきた。

「なあ、数字って不思議だよな」
「いきなりなんだよ」

 こいつは、子供っぽいというか無邪気というか、アホっぽいとうか。

 よく、他の人間が目にとめないような事に気が付く。

 今回もそうなんだろうか、と思いながらあいつの言葉を待った。

「普通に数字を書くと、スタイリッシュでスマートな感じがするよな。機能美? 的な?」

 喋るあいつは、ノートに「1」とか「2」とか書いた。

「で、漢字で書くとなんか強そうな感じがするよな。耐久度とか上がってそう」

 何の頑丈さだよ、と心の中で突っ込みながら、ノートに「壱」とか「弐」とか記されていくのを見る。

「でも、普通に分かりやすく書く漢字って、平凡な感じがして……弱そう」

 さらさらさら。

 続いて、ノートに綴られていくのは、子供でも書けそうな「一」とか「二」とかの簡単な漢字だ。

「まあ、数字に限った話じゃないんだけどさ」
「書き方が複数あるっていうのは珍しくないようだしな」

 あいつの言いたい事は分かった。
 確かに、そういった事に直面するとたまに不思議だなと思う。

 学生の身からすると、テストの回答が心配だから、漢字のテストの時なんかは、そういうった物を一つに統一すれば良いのにって思うが。

「続きは?」という視線を向けると。あいつは、「まあ、それだけの話だけどな」とおしゃべりを終わらせた。

 本当にそれだけの話だったらしい。

 ただの雑談だったな。

「数学も、算数とか言ってたよな。子供の頃」

 いや、また続きを見つけたらしい。

 そういえば、みたいに教室の天井を見上げながら、どうでも良い事を語ってくる。

「なあなあ。小さな頃は色んな事が不思議だったな。皆大きくなると、そういう事気にしなくなるけど」
「そうだな。興味ないっていうより、他に楽しい事があるからなんじゃないか? 部活とか遊びとか」
「みんな、そう言うよなー。不思議な事って、つまんないのかな」
「さあな。お前が面白いって考えるなら、それが面白いんじゃねぇの?」
「そういうもんかな」

 授業開始のチャイムが鳴って、生徒達が席に着き始める。

 隣り合った席で授業を受ける俺達だけど、隣のあいつの頭にはそれどころじゃないものが、存在しているのだろう。
 俺達のような平凡な人間には見えない色々な事が見えているのかもしれないな。

 それはたぶん孤独なものなんだろうけれど、そういうのをちょっとだけ好ましいと思う奴もいるんだってこと、忘れないでいてほしい。


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