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第3話 悪役令嬢の失敗
しおりを挟む人に貶され蔑まれていた私の中にも、良心が育っていたらしい。
捨てられた犬を秘密裏に飼い、育てるくらいの事はしていた。
貴族の社交界でいじめられる少女をかばい、手を差し伸べる事くらいはしていた。
けれど気が付くと、助けた捨て犬はいつの間にか再び捨てられていて、私がかばった少女はいじめていた者達と一緒になってこちらをなじる側になっていた。
これが良心にさよならを告げた出来事、私の転機だったのだろう。
だから、それからは自分だけの幸せを追い求めようと思った。
そして、二つ目の転機が訪れる。
私と婚約してくれた人がいた事だ。
この国の王子様。
その人だけが私をしっかりと見てくれた。
当たり前の事だけど私にとっては大切な事。
そんな人があらわれたのは、初めてだった。
他の令嬢に対する露払いだったとしても、可哀そうな私に手を差し伸べる事で良い人アピールをしたかったのだとしても、誰かから求められる事が嬉しかった。
王子様は、私を必要としてくれる。
だから、なんとしてでも奪われたくないと思った。
だって、私にとっては王子様一人しかいなかったから。
世界中で、私を必要としてくれたのは王子様一人だけ。
他の大勢に嫌われたって、平気だった。
けれど、やりすぎた。
失敗した。
私は王子様から切り捨てられた。
王子様に近づく平民の女に、嫌がらせをしてばかりいた。
だから、誰よりも大切だった王子様に疎まれた。
利用する価値がなくなったのだ。メリットより、デメリットが上回ってしまった。
だから、断罪されたのだ。
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