?かつて善人だった悪役令嬢は、復讐の道を突き進む

透けてるブランディシュカ

文字の大きさ
上 下
2 / 11

第2話 悪役令嬢の少女時代

しおりを挟む


 思い返せば、自分に悪の芽が出たのはほんの五歳頃の事だった。

 私の上には数人の姉がいた。

 可愛がられて育つ姉が。

 みな、容姿美しく、賢く、礼儀正しい。

 理想の淑女といえる姉達。

 そんな姉に比べて私は平凡で、鈍くさかった。
 頭も良くなくて、見る者が思わず見とれてしまうような美しい容姿でもなかった。

 だから両親が、そんな私より姉達を贔屓してしまうのは仕方のない事だったのかもしれない。

 けれど、そこでほんの少しでも、その贔屓を申し訳ないと思っている家族がいたならば、まだマシだっただろう。

 悪の芽が出たとしても、それはほんの小さなものだったに違いない。

 けれど、そこには贔屓を当然のように思う家族がいるだけだった。

 孤独を感じた私は、順調に悪の芽を育んでいった。

 私は、家族の傍に居場所を求めなくなった。

 勉強の為につけられた家庭教師も、ことあるごとに姉達と自分を比べてくる。

 どうしてできない。
 姉はすばらしいのに、どうして同じ血を引いている妹はできない。

 できないのは、才能がないからだ。努力してないからだ。

 なまけもの。やくたたず。できそこない。

 時間をかけるだけ無駄だ。

 無駄な事に、手を煩わせないで

 その分、姉達に時間を使った方がまだまし。

 そう事あるごとになじってきた。

 家の者はみんな姉贔屓。
 使用人もだ。

 だから、その頃の私に相談できるものなどいなかった。

 最初は一生懸命に努力していたけれど、すぐに諦めるようになった。

 だから、貴族の社交界に居場所を求めた。

 友達を作ろうとした。
 でもそこは、できそこないである私をなじって、優越感を味わいたい者達ばかりだった。

 結局、そこでも同じことの繰り返しだった。

 姉と比べられる毎日だった。

 私は、孤独な少女時代を過ごした。

 そんな私に転機が訪れた

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢が可愛すぎる!!

佐倉穂波
ファンタジー
 ある日、自分が恋愛小説のヒロインに転生していることに気がついたアイラ。  学園に入学すると、悪役令嬢であるはずのプリシラが、小説とは全く違う性格をしており、「もしかして、同姓同名の子が居るのでは?」と思ったアイラだったが…….。 三話完結。 ヒロインが悪役令嬢を「可愛い!」と萌えているだけの物語。 2023.10.15 プリシラ視点投稿。

気が付けば悪役令嬢

karon
ファンタジー
交通事故で死んでしまった私、赤ん坊からやり直し、小学校に入学した日に乙女ゲームの悪役令嬢になっていることを自覚する。 あきらかに勘違いのヒロインとヒロインの親友役のモブと二人ヒロインの暴走を抑えようとするが、高校の卒業式の日、とんでもないどんでん返しが。

婚約破棄された悪役令嬢ですが、闇魔法を手に聖女に復讐します

ごぶーまる
ファンタジー
突然身に覚えのない罪で、皇太子との婚約を破棄されてしまったアリシア。皇太子は、アリシアに嫌がらせをされたという、聖女マリアとの婚約を代わりに発表。 マリアが裏で手を引いたに違いないと判断したアリシアは、持ち前の闇魔法を使い、マリアへの報復を決意するが……? 読み切り短編です

破滅を逃れようとした、悪役令嬢のお話

志位斗 茂家波
ファンタジー
‥‥‥その恋愛ゲームは、一見するとただの乙女ゲームの一つだろう。 けれども、何故かどの選択肢を選んだとしても、確実に悪役令嬢が破滅する。 そんなものに、何故かわたくしは転生してしまい‥‥‥いえ、絶望するのは早いでしょう。 そう、頑張れば多分、どうにかできますもの!! これは、とある悪役令嬢に転生してしまった少女の話である‥‥‥‥ ――――――― (なお、この小説自体は作者の作品「帰らずの森のある騒動記」中の「とある悪魔の記録Ver.2その1~6」を大幅に簡略したうえで、この悪役令嬢視点でお送りしています。細かい流れなどを見たいのであれば、どちらもどうぞ)

これぞほんとの悪役令嬢サマ!?

黒鴉宙ニ
ファンタジー
貴族の中の貴族と呼ばれるレイス家の令嬢、エリザベス。彼女は第一王子であるクリスの婚約者である。 ある時、クリス王子は平民の女生徒であるルナと仲良くなる。ルナは玉の輿を狙い、王子へ豊満な胸を当て、可愛らしい顔で誘惑する。エリザベスとクリス王子の仲を引き裂き、自分こそが王妃になるのだと企んでいたが……エリザベス様はそう簡単に平民にやられるような性格をしていなかった。 座右の銘は”先手必勝”の悪役令嬢サマ! 前・中・後編の短編です。今日中に全話投稿します。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

第三王子の「運命の相手」は追放された王太子の元婚約者に瓜二つでした

冬野月子
恋愛
「運命の相手を見つけたので婚約解消したい」 突然突拍子もないことを言い出した第三王子。その言葉に動揺する家族。 何故なら十年前に兄である王太子がそう言って元婚約者を捨て、子爵令嬢と結婚したから。 そして第三王子の『運命の相手』を見て彼らは絶句する。 ――彼女は追放され、死んだ元婚約者にそっくりだったのだ。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

【完結】捨てられ令嬢は皇太子のお気に入り

怜來
ファンタジー
「魔力が使えないお前なんてここには必要ない」 そう言われ家を追い出されたリリーアネ。しかし、リリーアネは実は魔力が使えた。それは強力な魔力だったため誰にも言わなかった。そんなある日王国の危機を救って… リリーアネの正体とは 過去に何があったのか

処理中です...