駄目な教師と優等生 妄想箱

透けてるブランディシュカ

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01 「学校生活」オリ設定 オリ世界観

男は狼

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 私は今目隠しをされて、椅子にくくりつけられて、分厚いカーテンで仕切られた部屋に閉じ込められているようです。

 これだけ聞けば、事件発生の匂いしかしないけど、今日のこれは少しだけ事情が違う。

 私の目の前にいるのは友人のニオの言う、ドエスで鬼畜で変態とかいう人間らしい。

「よぉ、優等生、これでお前の中にある絶滅危惧種の危機感は働くそうになったか?」
「そうは、言われましても」

 私の中には戸惑いの感情しかない。
 先生は私の事を思って、これをしてくれているらしいのだが今いち何を伝えたいのか分からなかった。

 なぜこんな事になったのだろう。
 ふしぎでたまらなかった。

 文化祭でメイドを極めようとした私の態度が先生の気に障ったらしいが、どこがどうかは分からなかった。

「俺の得意技、知ってるか。ショック療法だ。曲がったもんを治す為なら、ある程度ひどい事はする。そういう人間だ。どうだ、怖いか」
「いえ、そんなには。無理がありますよ、他の人達ならともかく先生にこんな事されても。そのあんまり怖くないです」
「怖がれよな、はぁぁ。大丈夫か、こいつ。これから生きてけるか? 野郎どもに黙らさたりして身ぐるみはがされても知らんぞ」

 そんな呆れた声をされてもこちらも困る。

 何でだか、分からないが先生は私に怖がってほしいらしい。
 だが私には先生を怖がるという気持ちがまるで湧かなかった。

「なあ?」

 先生の息が耳にかかった。

「んっ」

 くすぐったさに身をよじる。

「俺はお前を好きにできるんだぞ。お前はそれに碌に抵抗できない。これでもか?」
「ふぁ、先生は怖く、ないです」
「そうかよ」

 くすぐったく感じていた息が離れた。

「なら、これはどうだ」

 先生のおおきくて固い手が体をそっとなでた。
 腰あたりだろうか。

「人に無遠慮に体を触られて嫌な気持ちにならないか」
「ん、ん、そんな事、ないです」

 詳しく言うとちょっとくすぐったいが。

「こっちは」
「ひゃんっ」

 ふとともを触られて変な声が出た。

 くすぐったいとは別の感覚が背筋を駆け抜けていって、頭がぼうっとしそうになる。

 視界が閉ざされているせいか、いつもより肌が感じやすくなっているのかもしれない。

 手つきが昇って来る。

 ふともものつけねに向かって。
 スカート越しに伝わって来て、何故だかか体がぞくぞくしてきた。

 声が震えそうになる。

「そ、それ以上は」
「嫌なのか?」
「だめ、です」
 
 手が止まった。
 安堵するような気配が伝わって来る。

「でも、あの別に怖いとかじゃなくって、変な感じがしたから。先生の事が嫌いになったわけじゃないですから」
「はぁー」

 長い溜息を疲れた。

 先生はそのまま何も言わずに、部屋を去ってしまった。

「え、あの、待ってください」

 このまま放置?

 信じれらないが、先生はそのまま部屋を出て行ってしまったようだ。

 何か怒らせてしまったのかもしれれない。

 早めに機嫌を直して、戻ってきてくれればいいのだが。

 そう思っていたら、窓が動く気配。
 誰かが部屋に入って来る。

「誰?」

 声をかけても返事がない。

「誰なの」

 誰か分からないその人物は近づいてきて、私の近くになった。

「貴方は?」

 返答はやはりなかった。

 正体不明の誰かがこの部屋の中にいる。
 それを考えると、なぜだか先程までまったく考えなかった恐怖が、心に湧き上がって来た。

 怖い。
 とても怖かった。

 正面に立った誰かが乱暴にこちらの肩を掴んできた。

「いや、離して!」

 私は碌に抵抗もできない。

 気配が近づいてくる。

「助け、むぐっ」

 声を出そうとしたら、口をふさがれてパニックになりかけた。
 頭に手をそえられて何をされるのかと思って、恐怖に視界が濡れてきた頃に、それが外された。

 目隠しだ。
 先生のか顔が目の前にあった。

「ったく、これで少しは懲り」
「せ、せんせぇーっ!」
「うおっ、おっ、お前っ」

 私は何も考えずに泣きじゃくっていた。

「そ、そんなにだだったか。や、やり過ぎちまったか、俺。まじかよ」
「ひっく、ぐすっ。怖かったんですから。ばかっ。うっ、ぐす」

 椅子から解放されたら、子供の様に先生にしがみついて大泣きしてしまう。

「わ、悪かった。だから、おい、泣くな。ばか野郎」
「ばかは先生です、ひどいです、すっごく怖かったんですから。ひぐっ」
「悪かったっていってんだろ、あーもう」

 頭をなでられたり、背中をささすられたり、面倒を見られっぱなしで普段とはまったく逆だった。

 後でそんな光景をニオに見られて「ステラちゃんが変態鬼畜ドエス教師に襲われてるー!」と叫ばれるのだが、その時はまだ知らない事だった。


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