駄目な教師と優等生 妄想箱

01 「学校生活」オリ設定 オリ世界観

文化祭のお化け屋敷

　学校で文化祭が行われた。

　私のクラスはメイド・執事喫茶をやるらしいけど、私の出番は午後からだ。

　せっかくなので、ベンチで面倒くさそうに眠っていた先生をつれて見て回る事にした。
　午前の教室は、他の先生が監督しているで、ツヴァイ先生がいなくても大丈夫だった。





「で、何でお前はお化け屋敷に入ろうと思ったんだ。そんな有様なのに」
「きゃー！　いやー！　先生っ。お化けがっ、お化けがたくさん！　助けてください！」
「そらいるだろ、お化け屋敷なんだから」

　文化祭の最中、ステラををストーカーしてくる生徒が校内を徘徊していた為、手短にあった教室に逃げ込んだのが失敗だった。

　ステラの口からは悲鳴しか出てこない。

「いやーっ！」
「おい、歩きにくいだろ。しがみつくな」
「無理です！」

　入り口から逆走しようと思ったが、外から声がしてきた。

「○○たんがいない、いないでござる」
「探せ、我らがアイドル。○○たん、草の根かき分けでも探し出しすのだー」
「そして、俺の手をにぎにぎしてもらうんだ」

　お化けも怖いが、そちらも怖い。

「先生、早く出ましょう。いえ、まだだめだ。もっとここにいましょう。離れて下さい。おいてかないでーっ！」
「お前、さっきから支離滅裂だぞ。壊れたか？　大丈夫かよ」

　近くから、ガサゴソという音が響いて。私は「きゃあああっ！」と叫びながら先生にしがみついて、精一杯の力で現実逃避する。

　ここはお化け屋敷ではないと思い込もうとするが、失敗した。

「助けてぇ、せんせぃ、無理です」

　震えながら震え声を発する、哀れな生き物と化すのみだった。

　しがみついた先生が嘆息をもらす。

　自分で歩けない程の恐怖だった。
　今にもそこらへんの闇から、お化けが出てくるのではないかと思うと、いてもたってもいられない。

「ったく、しょうがねぇな」
「えっ？」

　先生は、私を抱きかかえて、おばけやしきの中を移動していく。

「怖ぇ、なら目でもつぶってろ」
「あ、あのこれって」

　お姫様だっこだった。

「文句あるかよ、俵かつぎの方が良かったってぇなら、そっちの方にするけどな」
「それは嫌です」
「だろ」

　あれは肩がお腹に食い込んでとても痛いから嫌だった。

　だが、

「あ、あの恥ずかしいんですけど」
「我慢しろ、それくらい」

　恐怖とは別の感情に困らされる事になった。