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〇05 豆腐メンタル
しおりを挟む私は豆腐メンタルだ。
豆腐の様に心がやわらかくもろいから、ちょっとした事ですぐへこむ。くずれる。
他の人からしたら大した事ない事でも、けっこうダメージを受ける。
こんなんじゃいけないと思って頑張ろうとするけれど、無理をした反動が後からどさっとやってくる。
失敗するたびに、このまま一生かわらないのでは、と思ってしまう。
けれど、そんな私にもどうしてもやりたい事があった。
それは料亭の料理人になる事だ。
見た目もよくて、美味しい。
そんな料理を作って、お客さんに美味しいと言ってもらいたい。
色々ダメな所ばっかりだけど、こればかりは人に褒めてもらえるから、自信が多少あった。
けれど豆腐メンタルだから、やる前にあれこれ悩んでしまう。
もし、人から文句を言われたら。
もし、自分が思っているほど美味しくなかったら。
もし、お客さんの前で何か失敗してしまったら。
考えだしたら、きりがない。
そんな夢なんてなかった事にして、あきらめてしまおうと何度も思った。
でも、それでもやりたい。
がんばりたい。
私はそのたびに包丁を握り、料理と、いや、己の心と向き合った。
そして。
「いらっしゃい」
「久ぶりに来たよ。今日もいつもの出しとくれ」
「はいはい、三十分くらいでできるから席について待っててね」
「ほんと楽しみだな。新しい店が出ても、ついついこの店の味を思い出して、戻ってきちゃうんだよ」
十数年後。私は自分のお店でお客さんの前で包丁をふるっていた。
ちなみに得意料理は豆腐料理である。
ちょっと複雑だけど、メニューに困った時は助けられてる。
相性が良かったのかな。
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