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〇27 時計の上の少年
しおりを挟む時計の上で少年は歩く。
時計の針の上だけ歩けるから、その狭い場所だけを歩く。
けれど、文字盤の上も歩きたくなってきた。
だから少年は、まだ歩いたことのない場所へ足をずらそうとした。
しかし文字盤の上は茨で棘だらけだったため、無理だった。
少年ははだしだったからだ。怪我をしてしまう。
靴がない少年では、つるつるの針の上しか歩けない。
少年はこれまでと同じように針の上だけで過ごしていた。
しかしある時、文字盤の上に炎をまとった少女がやってきた。
少年と同じようにはだしだったけれど、少女は痛みを我慢して歩いた。
なぜなら少女には、文字盤の上の文字が必要だった。
見かねた少年は、針の上から降りて、少女の代わりに文字をとってあげた。
そして、お礼を言う少女を背負って、そこから出ていくまで自分が茨の上を歩くことにした。
少年は、痛みを我慢すれば、文字盤の上を歩けることを学んだ。
険しい場所でも、我慢をすれば歩くことができるのだと。
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