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〇24 あるスライムの成長選択
しおりを挟むとある冒険者ギルドの一画の、そのやりとり。
「最近モンスターが大量に発生しているようだな」
「そうね。近々隊規模な駆除が行われるみたい」
「その時は俺達の出番だな。連中に群れる習性がないのが救いだ」
彼らが口にするのは、未来に関する話題。
その会話をモンスター達は知らない。
やぁ、僕はスライムのスラム。
どんな形にもなれる変幻自在の生き物だよ。
でも、どんな形にもなれるから、逆にどんな形になろうか迷ってるんだよね。
選択肢がありすぎるのも、考えものさ。
仲間達の間では雫的形は人気らしいけど。
僕は僕らしい形を選びたいんだ。
ボールみたいに丸くなってみるのも面白そうだし。
あえて、四角くなってみるのも良さそうだけど。
それとも、動きづらそうだけど三角錐とか円柱あたりはどうかな。
うーん、悩みどころだ。
皆は自分の形を決めて、色とか模様とかを決める段階に入ってるのに。
僕だけ、まだちっとも決められていないよ。
一体どうすればいいんだろうな。
この成長選択は、将来を決める重要な一歩になるから、慎重に決めなくちゃいけないけど。
だからこそ、いつまでも決められないんだよな。
そんな僕の前に金ぴかの鎧をまとったクマ型のモンスター、ワイルドグレートベアーがやって来た。
あれ、人間の鎧なんじゃないかな。
ひょっとして、冒険者から倒してはぎ取ったのかも。
すごいなぁ。
しかもあのワイルドグレートベア、僕達じゃさわれないハリネズミ型モンスターのかぶりものを頭にしてる。
あの生き物、とげとげしてて近寄れないのにどうやって倒したんだろう。
まだ僕達、レベルが低いからかぷっとやって吸収できないし、どうやっても倒せないんだよな。
すごいなぁ、あんなふうに強くなりたいなぁ。
よーし、決めた。
一つに決める必要なんてないんだ。
どうせなら、色んな形になっちゃえばいいんだ。
そのためには、強そうなモンスターの形を全部真似てみる?
ううん、もっといい方法がある。
あれしかないね。
――僕は頭に思い浮かべたすごい形に従って、自分の体を変化させていった。
「やぁ、スラム君! ……スラム……君? スラム君!? スラム君なのかい!?」
あ、スケルトンのスケさんだ。
こんにちは。
「ああ、この時期スライムたちは大量に変形してるって話だから見にきたけど、スラム君はその形を選んだのかい」
うん、色々悩んだけど、一つに決められなくって。
「そんな形、よく決断したね。下手したら同類から攻撃されるんじゃないかい?」
そうかもね。でも、色々な形になりたかったらこの形が手っ取り早いと思ったんだ。
「まあ、君が決めたならそれでいいさ。確かに手っ取り早いと思うし」
――僕は人間の形になって、ワイルドベアのかぶりものをしながら、黄金の鎧を身に着けて、ハリネズミの棘で作った武器を手にしていた。
あ、人間の仲間が呼んでるからもう行ってくるね。
「人間にまじって生活してるんだ……」
うん、だって考えたら、集団で狩りをした方が効率いいし。一人で頑張る必要もないんだもんね。
「スラム君は、モンスターとしてはすっごく変わり者だなぁ」
さて。そろそろ、急がなくちゃ。
またね!
近々大きな狩りがあるって言ってたけど、どんなのなんだろうな。たくさん素材手に入るかな。
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