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〇19 ゴールド&シルバー ーいれかわりの運命ー

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 とある国に双子が生まれた。
 その双子は、対照的な存在だった。
 一人は聡明だけれど病弱な少女。
 もう一人は頭を使うのが苦手だけれども、逞しく生命力にあふれた少年だった。

 国民達はみな……、

 聡明で病弱な少女は「守られる役目」である金の姫になるだろう。
 頭を使うのが苦手なかわりに、逞しく生命力にあふれた少年は「戦う役目」である金の王になるだろう。

 そう思っていた。




 けれど、彼等はいつからか入れ替わってしまっていた。

 だから、「守られる役目」であるはずだった少女は、金の姫にならず銀の王になった。
 だから、「戦う役目」であるはずだった少年は、銀の王にならず金の姫になった。

 彼等は、踊るべきでない舞台で踊らされなければならない。

 その舞台劇は、遠からず破綻するのは目に見えていた。

 だから彼らは、舞台の方を変える事にしたのだ。

 金の姫は自らの体を捨てて、数多の実験の末に「永遠の命」を手に入れた。
 銀の王は人の魂に細工を施し、数多の頭脳を借りて「知恵」を手に入れた。

 結果、舞台は矛盾も隙も無く回り続ける。

 けれどその舞台を見る、観客がいないままに。



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