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〇41 殺撃天使ノエルちゃん
しおりを挟む雲の上に存在する天界。
大勢の天使達がすむその場所のあるところに、天使の女の子がいました。
その天使はそれはそれは可愛い女の子です。
「こんちくしょー」
と叫ぶ血気盛んな女の子の名前は、ノエルちゃん。
ちょっと言葉使いは荒いですが、見た目は可愛いのでオッケーです。
そんなノエルちゃんは、他の天使たちに毎日イジメられていたのですが、持ち前の精神力があったので、あまり深刻に考えていませんでした。
靴を隠されたり、ハンカチを引き裂かれたりしましたが、やられた分だけ同じことをしたので無問題です。
そんなノエルちゃんには、うるわしいお兄様と弱々しいお兄様がいたのですが、二人は虐められていません。
それどことか、他の天使たちに一目おかれるようなすごい存在でした。
頭の良い切れ者のお兄様と、多くの人から好かれ人徳のあるお兄様。
ノエルちゃんは、そんなお兄様達と比較されるたびに、思います。
「もっと、強い天使になってやらぁ」
虐めの仕返しのために、武術の師匠に弟子入りしていたノエルちゃんは、もっともっと修行に精を出すことにしました。
すると、そんなノエルちゃんを気に入ったのか、神様が特別な力を分け与えました。
ノエルちゃんは「よっしゃー」と言いながら、その力を使いこなす訓練をはじめます。
どすどすどす。
訓練用の藁人形が、ボロボロになるまで練習に明け暮れる日々が続きます。
訓練を重ねに重ねた、ノエルちゃん。その拳は真っ赤に燃え上がる紅蓮の炎をまとうようになりました。殺撃の加護です。
その必殺パンチを繰り出せば、どんな生物もすべてイチコロ。
ノエルちゃんは、殺撃の天使と呼ばれるようになりました。
やがて、ノエルちゃんの殺撃力に恐れをなしたのか、ちょっかいをかけてくる子達はいなくなりました。
それからもどんどん強くなったノエルちゃんは、上のお兄様達二人に並ぶ有名人として、天使界の間で名をはせるようになりました。
ケンカのあるところに、殺撃の名あり。
ノエルちゃんは今日も天界のどこかで、真っ赤な拳をふるっているでしょう。
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