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〇10 悪役令嬢が百人いる乙女ゲームの世界に転生してしまったら、数の暴力しかなかった。

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 乙女ゲームの悪役令嬢って、基本的には一人ってイメージですよね。

 ちょっと凝った複数ルートがあるゲームだと、各ルートに一人って感じかと思います。

 で、ちょっと人数が多くなってくると、そのとりまきが何人かいる、と。

 でも、私がやっていたゲームは違います。

 悪役令嬢が百人。

 ヒロインや攻略対象の邪魔をする、不埒な人間がなんと百人。

 制作陣の正気を疑いました。

 ついでに狂気も感じましたね。

 ともかく私は、転生する機会があったら、そんな世界にいくのはまっぴらごめんだと、そう思いました。

 あっ、いつもそんな事考えてるわけじゃありませんよ。

 たまに、ごくたまに暇なときに、そういうちょっと現実離れした事考えちゃいません?

 そういうあれですってば。

 痛い子を見るような目でみないで!

 ごほん、ともかく、そういうわけですから、私はそんな世界は嫌だったんです。

 なのに。

「「「おーっほっほっほ。ざまぁないですわね!」」」

 目の前には高笑いする悪役令嬢軍団!

 ヒロイン(身分は庶民)に転生した私は、たぶん神界なり天国なり次元のはざまなり、どこかにいるだろう神様の仕業でこんな世界に転生させられてしまったんです。

 現状を再認識した私は、思わず天に向かって、恨み言を吐きました。

「この――(※自主規制)!」

 一対百ってなんですか!
 ご令嬢がよくふりかざしている権力かの力がかすむほどの、圧倒的な暴力ですよ。!

 数の力が途方もないんですけど。

 嫌がらせのアリバイは口裏あわせまくりますから、物を隠される・壊される時も簡単。

 必要な道具は、お仲間が貸して下さりますしね!

 必要な場所も、右に同じくですしね!

 逃げ場のない孤島に招待されて嫌がらせされるわ、罠だらけのパーティー会場に招待されて罵倒されまくるわ。

 なら、行かなければ良い?

 色々な付き合いとかがあるんですって。この世界にも。

 まったくとんでもない世界ですよ。

 嫌味とか悪口とか言われたら、もうほとんどみんなの総意になってますし!

 百人も同じことほざいてたら、味方になってくれる人も、勢いよく自分の意見ひっこめるわ!

 え?

 ゲームのヒロイン、これどうやって対処してた?

 転生の影響なのか、最後の方は詳しく覚えていないんだよね。

 前世の知識が仕事しない!

 目の前でまだ悪役令嬢軍団が、高笑いしています。

「「「おーっほっほっほ!」」」

 あぁぁぁ!

 もう、おほおほうるさい!

 なんて頭をかかえていたら、攻略対象が話しかけてきた。

 それに伴って、さっと存在感を消してモブと化す悪役令嬢。

 やる事えげつないけど、空気は読むんですよね、この人達。

「実はこの学校は、今度、別の学校に吸収される事になったよ。そちらの学校では君と同じ境遇の子達がいるから、困った時はきっと味方になってくれるだろうね」

 あっ、こちらも数の力で解決する流れなんですか。






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 主人公のコミュニケーション能力をあげて、攻略対象とともに悪役令嬢を倒して無双しましょう!

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 学校帰りに何となくゲームショップに寄った私は、ワゴンの中に乱雑に入れられていたそのゲームをみて「うわぁ」と声を出した。

 こんなゲーム誰も買ったりしないって。

 何このツッコミどころ多そうなゲーム。

 よくある異世界転生ものでもチョイスされない舞台設定だ。
 私だったらまっぴらごめん。

 私はそんなゲームから視線をはずして、家へ帰る。

「まあ、でも最近面白い事ないから、そんな世界に転生なんてしちゃったら退屈しなさそうだな」

 その時の私はまさか、そんなゲームの世界に転生させられるとは思ってもみなかった。


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