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41-2.昨日の敵は
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これは現実なのか。
目の前に現れた巨大な姿を、クロスは茫然と仰ぐ。
その姿は話に聞く「竜」そのものだった。
人間にとっては、その存在はもはや伝説となって久しい。かつては確かに存在したのだと、大部分の人間は知識として知っている。古い文献の中で、昔語りの中で、そしておとぎ話の中で。生物としての竜から悪の象徴としての竜に至るまで、あらゆる場所にその情報は散らばっていた。
けれど、竜が人の前から姿を消して長い時が流れていた。魔物に比べ寿命も短い人間にとって、それは竜という生物が伝説となるには十分な時間だった。だから竜という言葉を前にした人々の反応は、恐怖や畏怖よりももっと遠く、物語の中を覗き見るそれになってしまうのも仕方なかった。
クロスも当然ながらその例に漏れず、突如現れた「伝説」の姿に圧倒され、棒立ちになった。
事前に得た情報により、竜はどうやら伝説どころかしっかり生きているということはクロスも理解している。とはいえ、聞くと見るとではやはり何もかもが違うことで。
目にした竜の威容に、クロスの脳は処理を放棄してしまっていた。
そのため、繰り出された炎の攻撃を避けたのも、その後に熱風をやり過ごすために身体を伏せたのも、完全に意識の外だった。戦いで培った勘と本能が、反射で回避させたに過ぎない。
幸いも、竜の注意はエルを始めとした魔物たちに集中していたらしく、執拗な攻撃を受けることはなかった。
騒がしい周囲を尻目に部屋の隅へと退避して、漸くクロスは竜の全貌を視界に入れた。
そうして改めて、信じがたい現実に震えた。
物語の中でしか知らなかったその魔物を、まさかこの目で見る日が来るなど想像もしなかった。存在そのものへの畏怖も驚きもあったが、何よりクロスの胸中に去来したのは場違いな感動だった。
「まさか、本当に……」
思わず漏れた己の声に、クロスは我に返る。
茫然と見上げている場合ではない。この場でクロスが取ることができる行動はふたつしかないのだ。留まるか、逃げ出すか。
しかし、このまま留まれば竜の攻撃対象に入ってしまう。かといって逃げても、クロスには正確な現在地が分からない。仲間の救出はおろか自分一人逃げることすらできないことは簡単に予想がつく。
どちらの決断をするにしろ、周囲が混沌としている今しか機会はないのだ。どうすべきかと考えを巡らせたところで、ふと、こちらに向かってくる人影に気づく。
赤い髪に黒衣の、魔物。
熱風に外套を靡かせて歩いてくるのは、城主であるエルだ。状況は切迫しているのだが、その様子はどこか悠然として見える。
クロスは静かに腰を引き、聖剣の柄に手をかけた。
この状況で「先ほどの続き」となるとは思えなかったが、どういう意図にしろクロスにとって得になることだとは思えない。
クロスの手元を一瞥したエルは、表情を変えることなくクロスの目の前で足を止めた。
睨みつけるクロスに対し、エルもまたひたりとクロスを見返す。その真紅の双眸には敵意どころか警戒の色すら見えない。
おもむろに開いた唇が、感情の篭らない音を吐き出した。
「その剣を寄越せ」
言われたクロスは、虚をつかれしばし呆然とエルを見上げる。何を言われたのか理解するのに数秒を要した。
「……え、」
「あいつは魔法では抑えきれんようだ。だが、その剣なら恐らく効く」
だから寄越せと差し出された手に、クロスは必死に頭を動かす。
「……何言ってるんだ。これは……聖剣だぞ、誰が貴様などに」
言葉の内容はともかく、困惑は本物だった。
竜も魔物の一種である。聖剣が効果をあげる可能性は非常に高い。だが、そもそも魔物である相手がこの剣に触れられるはずがないのだ。振り返ってみれば、一度はこの剣で傷を負っていたではないか。
差し出された手と真紅の双眸を交互に見ながらクロスがそんなことを思い返していると、相手はその視線の意味に気付いたらしい。己の手を見下ろしたエルは、納得したように頷く。
「ああ、そうだった……スノウ!」
振り向いて声をかける先には、同じく床に――こちらは完全にへたりこんでいる先代勇者の姿がある。頭から被ったぼろ布のせいもあって、頼りなさは倍増だ。腰が抜けたといわれても納得してしまいそうな様子である。
「……え? なに?」
エルに呼ばれたから、というよりはエルの視線が向いたことで、自分への言葉と判断したらしい。スノウが首を傾げて瞬きをした。
周囲は魔法の制御を解かれた風や炎が荒れ狂っている。竜を抑えようとする魔物と応戦する竜との間で激しい攻防が繰り広げられ、そのために嵐のような騒音が巻き起こっているのだ。距離が開いてしまえば、互いの声も聞き取りづらい。
「お前聖剣は!」
「持ってないよ! 言ったじゃん、ここに来る前に折れたって!」
悪びれもせず叫び返したスノウに、思わずクロスは状況も忘れて空を仰いだ。
下賜された聖剣を折るというまさかの事態に、クロスは眩暈を覚える。
確かに物である以上、聖剣とはいえ折れたり傷ついたりはするのだが、まさかここに乗り込む前から折れていたとは。
「だが扱えはするだろう?」
「扱え……? 無理だよ、俺が剣も弓もとにかく色々向いてないのは言った筈だけど!」
いっそ清々しい程にきっぱりとスノウは断った。
その勇者とは思えない発言に、再び空を仰いだのはクロスだけではなかった。エルもまた、深いため息と共に天を仰ぐ。
エルの双眸が、ちらりと竜を見遣った。
その先では竜が暴れている。自身にかけられる魔法を強引に振り払っては城壁へと炎を吐き続けている。魔物たちが揮う魔法も、当初よりは派手なものになってきていた。恐らく、比例して威力も増しているだろう。だが竜は己の体が傷つくのにも構わず、ただひたすらに壁へと攻撃を続けていた。
「……仕方ない。来てもらうぞ」
言いざま、エルはクロスの手首を掴んだ。
突然の行動に当惑のあまり、固まる。普通に触れてくるとは思いもしなかったのだ。
「っ、何すんだよ! 離せ!」
「取って食うわけじゃない、そう騒ぐな」
慌てて手を振り払い叫んだクロスに、眉間に皺を拵えたエルが視線だけで振り向いた。
うるさそうにクロスを見遣る目は、険呑ではあるが殺気立ってはいない。ちらりと映りこむ炎の色が、その揺れる内心を表しているようだ。
「状況はわかってるだろう、勇者。とにかくアイツが邪魔だ。このままでは城が崩壊する。お前たちも無事ではすまない」
「お前らが、だろ」
「ああ、城が壊れるからな。だが、敵を壊滅させたと、お前は喜べるのか」
「当然だ。おれの犠牲はあながち無駄でもないだろ」
そうでなくとも、最前まで死を覚悟していた身だ。城ごと道連れにできるならこれ以上の成果はない。
嘯くクロスに、けれどもエルは冷たい眼差しを寄こす。
「確かにな。お前たちの功績ではないが、結果だけは得られる。城の壊滅と、野放しの竜という結果を」
「……」
「竜というものがどれ程厄介か、分からない筈はないな? ……あれを敵に回して、お前たちがどこまで持ちこたえられるか見物だ」
想像して、クロスはぞくりと身を震わせた。
あれだけ巨大な魔物を相手にするにはどれだけの兵が必要になるだろう。炎を吐き、様々な魔法攻撃をかわす竜。この城を攻めた数では足りないかもしれない。目の前の魔物にすら勝てないというのに、あんな巨大な生き物、伝説の竜を相手取って対等に渡り合えるとは思えなかった。
「……敵に回るとは限らない」
精一杯の反論はクロス自身の耳にも、頼りなく聞こえた。
エルはその胸中を容易く読み取ったらしく「神とやらにでも祈れ」と鼻で笑う。
クロスにもわかっているのだ。
竜の「意思」など関係ないということを。人間に対し敵意があろうとなかろうと、あれだけの勢力が人の世界のすぐそばに存在する、それ自体が既に脅威なのである。今はその気がなくとも、いつか人に仇なすかもしれない。そしてその仮定だけで、人は剣を取る。
あるかないかの火種を、大火にしてしまう。
竜の存在が知れれば、竜討伐に兵が派遣されるだろうことは目に見えていた。
だが、とクロスは首を振る。
「そもそも、あの竜はお前たちの敵だろ。自分でどうにかしろよ」
詳しい経緯など分らないものの、竜とエルが敵対状態にあることは明白だ。つまり、今この時を限りに言えば、クロスは魔物同士の諍いに巻き込まれているだけに過ぎない。
そもそも本来、クロスが勇者として倒すべき相手は、目の前のエルである。いずれ敵となる「かもしれない」竜よりも、それは優先事項だ。
自分は無関係だろうと主張すれば、エルは緩く瞬きを返す。
「それが簡単にいけばお前の手など借りん。協力しろ、勇者。このまま我らと心中などしたくないだろう」
「当たり前だ。どっちも断る」
どんな状況であれ、敵は敵である。そこに共通の敵が存在しようと、協力して倒すいわれなどない。むしろ双方共に削りあって相討ちとなるのが理想だろう。竜と魔物、どちらに与したところで人間にとっての利はないのだ。
「お前らの道具にされるくらいなら、死んだ方がマシだ」
非力な人間の精一杯。そう、自嘲気味に笑ってクロスは啖呵を切る。
敵と刺し違えての死ならば甘受できようが、魔物同士の諍いに巻き込まれてなど、無駄死に以外の何物でもない。増して、魔物の捨て駒にされて落命などもっての他だ。
駒にされるくらいならば、死を選ぶ。
名誉ある死を。
クロスが聖剣に手をかけ、すらりと抜き放つ。鞘を投げ捨て、切っ先を正面に向ける。
睨み据える先は、竜ではなくエルだ。
竜どころかエルに敵わないことはクロスも承知している。エルが言うことも頭では理解できる。竜の暴走を止めないことには現状を切り抜けることはできず、もしかしたらエル以上の脅威を人々にもたらすかもしれない。だが、それでも魔物と共闘する気にはなれなかった。
その剣先を冷めた目で見返したエルは、ため息と共に言う。
「それで? お前の頭はからっぽなのか。あいつが暴れてる今、俺を倒して何になる。それともお前一人であいつまで倒せると?」
「黙れ! 協力などしない!」
エルの言葉はクロスにとってまさしく悪魔の囁きだった。
ただの甘言、戯言ならばクロスも簡単に退けられたかもしれない。だが、エルの言葉はそのどちらでもなかった。少なくとも、クロスの耳にはその言葉はとても理に適ってることのように感じられる。
だからこそ、クロスは殊更声高に拒絶した。
エルの言葉を認めてしまったら。その通りだと頷いてしまったら。
「貴様に何がわかる! おれは、」
突きつけた切っ先が惑うように揺れた気がした。
揺れるはずはないと冷静な部分が囁いて寄越す。敵前で剣先が鈍るような生易しい鍛え方はしてきていないつもりだった。だからこれはクロスの心が揺れているのだ。
城外の王国軍の存在を、クロスは絶望視していた。詳細は不明瞭ながらも、この状態で王国軍が城外に未だ展開しているとは思えなかった。人に構う暇がないと憚らない魔物たちが、邪魔な王国軍をいつまでも放置しているとは思えない。全滅、もしくは敗走しているのだろうとクロスは思った。
脳裏をよぎるのは夥しい数の骸。
城外に横たわっているだろう骸と、これまで見てきた多くの屍が激しく明滅する。
魔物との戦いで命を落とした仲間や兵士、魔物に襲われた村の男、女、子供。
錆びた鉄の匂い。
頭蓋の奥を揺さぶる、人々の慟哭。怨嗟。
「っ…おれは勇者だ!」
幻聴を振り切るように、半ば搾り出すようにあげた声は、空気をびりびりと揺らした。
エルが僅かに目を細める。
何気ない動作で、エルが一歩分の距離を詰めた。応じて、クロスが一歩退く。
「っ!」
不意に伸びたエルの手が、クロスの剣を鷲掴んだ。剥きだしの刃を掴む手から、焦げるような音が響く。
「勇者が、なんだと? 勇者とは何だ、6代目勇者クロス・エセル。名誉のために死を選ぶ者か。勇者の名を守るために仲間を見殺しにする者か」
「な、にを」
仲間、の単語にクロスの瞳が揺れる。
「それほど死にたいなら今すぐ殺してやる。だがお前の仲間たちはどうする、一人残らずアイツの餌にくれてやるとでも言うつもりか」
剣を握りこむエルの手がぎちりと軋んだ。白煙をあげ続ける手のひらから、赤い筋がいくつも流れ落ちていく。
「ふざけるな、そんなことさせるか」
勢い込んで言うクロスに、エルは冷えた眼差しを送る。
「ふざけているのはどちらだ。勝手な自己犠牲で死のうという人間が、どうやって仲間の命を守る? お前の命ひとつで仲間の命を贖えるとでも? お笑い種だな、お前が名誉ある死とやらを選んだ後は、全員まとめてアイツの口の中に放り込んでやる」
「なっ」
思わず柳眉を逆立てたクロスの言葉を遮るように、エルは畳み掛ける。
「よく頭を使え、勇者。なぜ『今』死を選ぶ必要がある?
お前が名誉の死を選ぶことを、お前が仲間の命共々死ぬことを誰が望む。王か、民か。ならばそんなもののために、なぜ命を捨てる必要がある。お前は何のために戦っているんだ」
クロスは息を呑む。
魔物の言うことなど、と反発する気持ちは強い。だがそれ以上に、その言葉が正面から胸に切り込んでくる。
何のために。
答えなど分りきっている。人類の平和と国のため。その一言に尽きるのだから。けれど、散々言い続けたはずの言葉は、喉の奥につかえた。
歴代勇者の死など、誰も望んでいなかった。勇者は魔物討伐に命を捧げるものだと暗黙のうちに誰もが思っていたが、それでもその死を望んだわけではない。できることなら魔物から勝利をもぎ取り、生還することを望んでいたはずだ。
喪失感に項垂れるメリルとフレイの姿が脳裏をよぎり、クロスは知らず眉間に皺を寄せた。
死は誰にとっても辛い。
だからそのために戦っているのだと。誰にもそれを味合わせることがないよう、自分が誓いを果たすのだと。それは揺ぎ無い決意だというのに。
「名誉や使命にどれほどの価値がある。仮にも勇者だというのなら、己や仲間の命と秤にかけるだけのものかどうか、判断できぬはずはあるまい」
エルの言葉が胸に薄い刃のように滑り込んでくる。
仲間の命より。
「おれ、は」
戸惑う気持ちが、声を奪う。
足元がぐらりと傾いた。
床に亀裂が走り、大理石の欠片が宙に舞う。
咄嗟にそれぞれが竜を振り仰いだ。魔物たちの善戦むなしく、度重なる応酬によって天井に激しい亀裂が生まれていた。炎の攻撃を受け続けた壁も、罅割れが生じ瓦解寸前である。事情に明るくないクロスの目にも、城の崩壊にいくばくも猶予がないことはすぐに見て取れた。
エルが鋭く舌打ちをする。
「時間がない。あいつを止めるのが先だ」
エルが勢い良く剣を引く。
そのこれまでにない強さに、クロスは咄嗟に抗った。聖剣を手放すわけにはいかないという、ほぼ無意識の行動だった。
エルが視線を戻す。空いた手が伸び、クロスの胸倉を掴んだ。
「仲間を死なせたいのか!」
至近距離で声を荒げたエルの真紅の双眸には、烈しい色が揺れている。冷徹な長の表情が剥がれ、はっきりとした怒りを覗かせる。
「ぐだぐだと悩むくらいなら、とっとと力を貸せ! 仲間と共に生きたくはないのか!」
苛烈な瞳同様、強い言葉がクロスの耳朶を打つ。
生きたい。
生きたいに決まってるじゃないか。
そう、言葉は浮かぶが、体は凍りついたように動かない。
瞬きもせずに見返すクロスに何を思ったか、エルはその手から聖剣を力ずくで奪い取った。クロスの手から力が抜けていたこともあったが、力での押し合いでは魔物相手に敵うはずもない。
その拍子に、床の上に赤い色がぱらぱらと散った。エルの、刀身の隙間から見える手のひらは惨憺たる有様だ。赤黒く焼け焦げ、爛れた皮膚。白煙と共に肉の焦げる異臭が漂う。
それにようやくクロスは我に返る。
「! っ、何を…」
「――もういい、埒が明かん。勝手は悪いが……なんとかなるだろう」
眉根を寄せ、やや辛そうな様子でエルが言う。
そのままクロスを一瞥もせず、踵を返して竜へと向かう。刀身を握っていた手から利き手に剣を持ち替えて、心持ち重そうな様子で歩いていく。その間も、赤い雫がぽつぽつと間断なく床に落ちていた。
遠ざかる後ろ姿に、ざわりとクロスの胸が騒いだ。
恐らく、現在進行形で聖剣はエルの手を焼き続けているはずだ。脳裏に爛れたエルの手のひらと、零れた赤い血が蘇る。
うるさく騒ぐ胸のうちが一体何を喚いているのか、クロス自身にもわからない。
分ることは竜を倒すために聖剣が必要であること。そして、それをエルが奪っていったこと。
それに対して、クロスが『苦しい』ということ。
クロスは唇を噛み締める。
迷っているだけの時間は、ない。
目の前に現れた巨大な姿を、クロスは茫然と仰ぐ。
その姿は話に聞く「竜」そのものだった。
人間にとっては、その存在はもはや伝説となって久しい。かつては確かに存在したのだと、大部分の人間は知識として知っている。古い文献の中で、昔語りの中で、そしておとぎ話の中で。生物としての竜から悪の象徴としての竜に至るまで、あらゆる場所にその情報は散らばっていた。
けれど、竜が人の前から姿を消して長い時が流れていた。魔物に比べ寿命も短い人間にとって、それは竜という生物が伝説となるには十分な時間だった。だから竜という言葉を前にした人々の反応は、恐怖や畏怖よりももっと遠く、物語の中を覗き見るそれになってしまうのも仕方なかった。
クロスも当然ながらその例に漏れず、突如現れた「伝説」の姿に圧倒され、棒立ちになった。
事前に得た情報により、竜はどうやら伝説どころかしっかり生きているということはクロスも理解している。とはいえ、聞くと見るとではやはり何もかもが違うことで。
目にした竜の威容に、クロスの脳は処理を放棄してしまっていた。
そのため、繰り出された炎の攻撃を避けたのも、その後に熱風をやり過ごすために身体を伏せたのも、完全に意識の外だった。戦いで培った勘と本能が、反射で回避させたに過ぎない。
幸いも、竜の注意はエルを始めとした魔物たちに集中していたらしく、執拗な攻撃を受けることはなかった。
騒がしい周囲を尻目に部屋の隅へと退避して、漸くクロスは竜の全貌を視界に入れた。
そうして改めて、信じがたい現実に震えた。
物語の中でしか知らなかったその魔物を、まさかこの目で見る日が来るなど想像もしなかった。存在そのものへの畏怖も驚きもあったが、何よりクロスの胸中に去来したのは場違いな感動だった。
「まさか、本当に……」
思わず漏れた己の声に、クロスは我に返る。
茫然と見上げている場合ではない。この場でクロスが取ることができる行動はふたつしかないのだ。留まるか、逃げ出すか。
しかし、このまま留まれば竜の攻撃対象に入ってしまう。かといって逃げても、クロスには正確な現在地が分からない。仲間の救出はおろか自分一人逃げることすらできないことは簡単に予想がつく。
どちらの決断をするにしろ、周囲が混沌としている今しか機会はないのだ。どうすべきかと考えを巡らせたところで、ふと、こちらに向かってくる人影に気づく。
赤い髪に黒衣の、魔物。
熱風に外套を靡かせて歩いてくるのは、城主であるエルだ。状況は切迫しているのだが、その様子はどこか悠然として見える。
クロスは静かに腰を引き、聖剣の柄に手をかけた。
この状況で「先ほどの続き」となるとは思えなかったが、どういう意図にしろクロスにとって得になることだとは思えない。
クロスの手元を一瞥したエルは、表情を変えることなくクロスの目の前で足を止めた。
睨みつけるクロスに対し、エルもまたひたりとクロスを見返す。その真紅の双眸には敵意どころか警戒の色すら見えない。
おもむろに開いた唇が、感情の篭らない音を吐き出した。
「その剣を寄越せ」
言われたクロスは、虚をつかれしばし呆然とエルを見上げる。何を言われたのか理解するのに数秒を要した。
「……え、」
「あいつは魔法では抑えきれんようだ。だが、その剣なら恐らく効く」
だから寄越せと差し出された手に、クロスは必死に頭を動かす。
「……何言ってるんだ。これは……聖剣だぞ、誰が貴様などに」
言葉の内容はともかく、困惑は本物だった。
竜も魔物の一種である。聖剣が効果をあげる可能性は非常に高い。だが、そもそも魔物である相手がこの剣に触れられるはずがないのだ。振り返ってみれば、一度はこの剣で傷を負っていたではないか。
差し出された手と真紅の双眸を交互に見ながらクロスがそんなことを思い返していると、相手はその視線の意味に気付いたらしい。己の手を見下ろしたエルは、納得したように頷く。
「ああ、そうだった……スノウ!」
振り向いて声をかける先には、同じく床に――こちらは完全にへたりこんでいる先代勇者の姿がある。頭から被ったぼろ布のせいもあって、頼りなさは倍増だ。腰が抜けたといわれても納得してしまいそうな様子である。
「……え? なに?」
エルに呼ばれたから、というよりはエルの視線が向いたことで、自分への言葉と判断したらしい。スノウが首を傾げて瞬きをした。
周囲は魔法の制御を解かれた風や炎が荒れ狂っている。竜を抑えようとする魔物と応戦する竜との間で激しい攻防が繰り広げられ、そのために嵐のような騒音が巻き起こっているのだ。距離が開いてしまえば、互いの声も聞き取りづらい。
「お前聖剣は!」
「持ってないよ! 言ったじゃん、ここに来る前に折れたって!」
悪びれもせず叫び返したスノウに、思わずクロスは状況も忘れて空を仰いだ。
下賜された聖剣を折るというまさかの事態に、クロスは眩暈を覚える。
確かに物である以上、聖剣とはいえ折れたり傷ついたりはするのだが、まさかここに乗り込む前から折れていたとは。
「だが扱えはするだろう?」
「扱え……? 無理だよ、俺が剣も弓もとにかく色々向いてないのは言った筈だけど!」
いっそ清々しい程にきっぱりとスノウは断った。
その勇者とは思えない発言に、再び空を仰いだのはクロスだけではなかった。エルもまた、深いため息と共に天を仰ぐ。
エルの双眸が、ちらりと竜を見遣った。
その先では竜が暴れている。自身にかけられる魔法を強引に振り払っては城壁へと炎を吐き続けている。魔物たちが揮う魔法も、当初よりは派手なものになってきていた。恐らく、比例して威力も増しているだろう。だが竜は己の体が傷つくのにも構わず、ただひたすらに壁へと攻撃を続けていた。
「……仕方ない。来てもらうぞ」
言いざま、エルはクロスの手首を掴んだ。
突然の行動に当惑のあまり、固まる。普通に触れてくるとは思いもしなかったのだ。
「っ、何すんだよ! 離せ!」
「取って食うわけじゃない、そう騒ぐな」
慌てて手を振り払い叫んだクロスに、眉間に皺を拵えたエルが視線だけで振り向いた。
うるさそうにクロスを見遣る目は、険呑ではあるが殺気立ってはいない。ちらりと映りこむ炎の色が、その揺れる内心を表しているようだ。
「状況はわかってるだろう、勇者。とにかくアイツが邪魔だ。このままでは城が崩壊する。お前たちも無事ではすまない」
「お前らが、だろ」
「ああ、城が壊れるからな。だが、敵を壊滅させたと、お前は喜べるのか」
「当然だ。おれの犠牲はあながち無駄でもないだろ」
そうでなくとも、最前まで死を覚悟していた身だ。城ごと道連れにできるならこれ以上の成果はない。
嘯くクロスに、けれどもエルは冷たい眼差しを寄こす。
「確かにな。お前たちの功績ではないが、結果だけは得られる。城の壊滅と、野放しの竜という結果を」
「……」
「竜というものがどれ程厄介か、分からない筈はないな? ……あれを敵に回して、お前たちがどこまで持ちこたえられるか見物だ」
想像して、クロスはぞくりと身を震わせた。
あれだけ巨大な魔物を相手にするにはどれだけの兵が必要になるだろう。炎を吐き、様々な魔法攻撃をかわす竜。この城を攻めた数では足りないかもしれない。目の前の魔物にすら勝てないというのに、あんな巨大な生き物、伝説の竜を相手取って対等に渡り合えるとは思えなかった。
「……敵に回るとは限らない」
精一杯の反論はクロス自身の耳にも、頼りなく聞こえた。
エルはその胸中を容易く読み取ったらしく「神とやらにでも祈れ」と鼻で笑う。
クロスにもわかっているのだ。
竜の「意思」など関係ないということを。人間に対し敵意があろうとなかろうと、あれだけの勢力が人の世界のすぐそばに存在する、それ自体が既に脅威なのである。今はその気がなくとも、いつか人に仇なすかもしれない。そしてその仮定だけで、人は剣を取る。
あるかないかの火種を、大火にしてしまう。
竜の存在が知れれば、竜討伐に兵が派遣されるだろうことは目に見えていた。
だが、とクロスは首を振る。
「そもそも、あの竜はお前たちの敵だろ。自分でどうにかしろよ」
詳しい経緯など分らないものの、竜とエルが敵対状態にあることは明白だ。つまり、今この時を限りに言えば、クロスは魔物同士の諍いに巻き込まれているだけに過ぎない。
そもそも本来、クロスが勇者として倒すべき相手は、目の前のエルである。いずれ敵となる「かもしれない」竜よりも、それは優先事項だ。
自分は無関係だろうと主張すれば、エルは緩く瞬きを返す。
「それが簡単にいけばお前の手など借りん。協力しろ、勇者。このまま我らと心中などしたくないだろう」
「当たり前だ。どっちも断る」
どんな状況であれ、敵は敵である。そこに共通の敵が存在しようと、協力して倒すいわれなどない。むしろ双方共に削りあって相討ちとなるのが理想だろう。竜と魔物、どちらに与したところで人間にとっての利はないのだ。
「お前らの道具にされるくらいなら、死んだ方がマシだ」
非力な人間の精一杯。そう、自嘲気味に笑ってクロスは啖呵を切る。
敵と刺し違えての死ならば甘受できようが、魔物同士の諍いに巻き込まれてなど、無駄死に以外の何物でもない。増して、魔物の捨て駒にされて落命などもっての他だ。
駒にされるくらいならば、死を選ぶ。
名誉ある死を。
クロスが聖剣に手をかけ、すらりと抜き放つ。鞘を投げ捨て、切っ先を正面に向ける。
睨み据える先は、竜ではなくエルだ。
竜どころかエルに敵わないことはクロスも承知している。エルが言うことも頭では理解できる。竜の暴走を止めないことには現状を切り抜けることはできず、もしかしたらエル以上の脅威を人々にもたらすかもしれない。だが、それでも魔物と共闘する気にはなれなかった。
その剣先を冷めた目で見返したエルは、ため息と共に言う。
「それで? お前の頭はからっぽなのか。あいつが暴れてる今、俺を倒して何になる。それともお前一人であいつまで倒せると?」
「黙れ! 協力などしない!」
エルの言葉はクロスにとってまさしく悪魔の囁きだった。
ただの甘言、戯言ならばクロスも簡単に退けられたかもしれない。だが、エルの言葉はそのどちらでもなかった。少なくとも、クロスの耳にはその言葉はとても理に適ってることのように感じられる。
だからこそ、クロスは殊更声高に拒絶した。
エルの言葉を認めてしまったら。その通りだと頷いてしまったら。
「貴様に何がわかる! おれは、」
突きつけた切っ先が惑うように揺れた気がした。
揺れるはずはないと冷静な部分が囁いて寄越す。敵前で剣先が鈍るような生易しい鍛え方はしてきていないつもりだった。だからこれはクロスの心が揺れているのだ。
城外の王国軍の存在を、クロスは絶望視していた。詳細は不明瞭ながらも、この状態で王国軍が城外に未だ展開しているとは思えなかった。人に構う暇がないと憚らない魔物たちが、邪魔な王国軍をいつまでも放置しているとは思えない。全滅、もしくは敗走しているのだろうとクロスは思った。
脳裏をよぎるのは夥しい数の骸。
城外に横たわっているだろう骸と、これまで見てきた多くの屍が激しく明滅する。
魔物との戦いで命を落とした仲間や兵士、魔物に襲われた村の男、女、子供。
錆びた鉄の匂い。
頭蓋の奥を揺さぶる、人々の慟哭。怨嗟。
「っ…おれは勇者だ!」
幻聴を振り切るように、半ば搾り出すようにあげた声は、空気をびりびりと揺らした。
エルが僅かに目を細める。
何気ない動作で、エルが一歩分の距離を詰めた。応じて、クロスが一歩退く。
「っ!」
不意に伸びたエルの手が、クロスの剣を鷲掴んだ。剥きだしの刃を掴む手から、焦げるような音が響く。
「勇者が、なんだと? 勇者とは何だ、6代目勇者クロス・エセル。名誉のために死を選ぶ者か。勇者の名を守るために仲間を見殺しにする者か」
「な、にを」
仲間、の単語にクロスの瞳が揺れる。
「それほど死にたいなら今すぐ殺してやる。だがお前の仲間たちはどうする、一人残らずアイツの餌にくれてやるとでも言うつもりか」
剣を握りこむエルの手がぎちりと軋んだ。白煙をあげ続ける手のひらから、赤い筋がいくつも流れ落ちていく。
「ふざけるな、そんなことさせるか」
勢い込んで言うクロスに、エルは冷えた眼差しを送る。
「ふざけているのはどちらだ。勝手な自己犠牲で死のうという人間が、どうやって仲間の命を守る? お前の命ひとつで仲間の命を贖えるとでも? お笑い種だな、お前が名誉ある死とやらを選んだ後は、全員まとめてアイツの口の中に放り込んでやる」
「なっ」
思わず柳眉を逆立てたクロスの言葉を遮るように、エルは畳み掛ける。
「よく頭を使え、勇者。なぜ『今』死を選ぶ必要がある?
お前が名誉の死を選ぶことを、お前が仲間の命共々死ぬことを誰が望む。王か、民か。ならばそんなもののために、なぜ命を捨てる必要がある。お前は何のために戦っているんだ」
クロスは息を呑む。
魔物の言うことなど、と反発する気持ちは強い。だがそれ以上に、その言葉が正面から胸に切り込んでくる。
何のために。
答えなど分りきっている。人類の平和と国のため。その一言に尽きるのだから。けれど、散々言い続けたはずの言葉は、喉の奥につかえた。
歴代勇者の死など、誰も望んでいなかった。勇者は魔物討伐に命を捧げるものだと暗黙のうちに誰もが思っていたが、それでもその死を望んだわけではない。できることなら魔物から勝利をもぎ取り、生還することを望んでいたはずだ。
喪失感に項垂れるメリルとフレイの姿が脳裏をよぎり、クロスは知らず眉間に皺を寄せた。
死は誰にとっても辛い。
だからそのために戦っているのだと。誰にもそれを味合わせることがないよう、自分が誓いを果たすのだと。それは揺ぎ無い決意だというのに。
「名誉や使命にどれほどの価値がある。仮にも勇者だというのなら、己や仲間の命と秤にかけるだけのものかどうか、判断できぬはずはあるまい」
エルの言葉が胸に薄い刃のように滑り込んでくる。
仲間の命より。
「おれ、は」
戸惑う気持ちが、声を奪う。
足元がぐらりと傾いた。
床に亀裂が走り、大理石の欠片が宙に舞う。
咄嗟にそれぞれが竜を振り仰いだ。魔物たちの善戦むなしく、度重なる応酬によって天井に激しい亀裂が生まれていた。炎の攻撃を受け続けた壁も、罅割れが生じ瓦解寸前である。事情に明るくないクロスの目にも、城の崩壊にいくばくも猶予がないことはすぐに見て取れた。
エルが鋭く舌打ちをする。
「時間がない。あいつを止めるのが先だ」
エルが勢い良く剣を引く。
そのこれまでにない強さに、クロスは咄嗟に抗った。聖剣を手放すわけにはいかないという、ほぼ無意識の行動だった。
エルが視線を戻す。空いた手が伸び、クロスの胸倉を掴んだ。
「仲間を死なせたいのか!」
至近距離で声を荒げたエルの真紅の双眸には、烈しい色が揺れている。冷徹な長の表情が剥がれ、はっきりとした怒りを覗かせる。
「ぐだぐだと悩むくらいなら、とっとと力を貸せ! 仲間と共に生きたくはないのか!」
苛烈な瞳同様、強い言葉がクロスの耳朶を打つ。
生きたい。
生きたいに決まってるじゃないか。
そう、言葉は浮かぶが、体は凍りついたように動かない。
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その拍子に、床の上に赤い色がぱらぱらと散った。エルの、刀身の隙間から見える手のひらは惨憺たる有様だ。赤黒く焼け焦げ、爛れた皮膚。白煙と共に肉の焦げる異臭が漂う。
それにようやくクロスは我に返る。
「! っ、何を…」
「――もういい、埒が明かん。勝手は悪いが……なんとかなるだろう」
眉根を寄せ、やや辛そうな様子でエルが言う。
そのままクロスを一瞥もせず、踵を返して竜へと向かう。刀身を握っていた手から利き手に剣を持ち替えて、心持ち重そうな様子で歩いていく。その間も、赤い雫がぽつぽつと間断なく床に落ちていた。
遠ざかる後ろ姿に、ざわりとクロスの胸が騒いだ。
恐らく、現在進行形で聖剣はエルの手を焼き続けているはずだ。脳裏に爛れたエルの手のひらと、零れた赤い血が蘇る。
うるさく騒ぐ胸のうちが一体何を喚いているのか、クロス自身にもわからない。
分ることは竜を倒すために聖剣が必要であること。そして、それをエルが奪っていったこと。
それに対して、クロスが『苦しい』ということ。
クロスは唇を噛み締める。
迷っているだけの時間は、ない。
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