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35-3.白の青年
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魔物たちの囲いの手前、エルから少し下がった場所で、アイシャは苦い表情を浮かべていた。
「あいつ……」
何考えてんだ、と舌打ちとともに呟く。
視線の先には、しきりと首を傾げるスノウの姿がある。己のふるった力に納得がいっていない様子だ。
周囲には真っ白な蒸気がたち込め、湿気を含んだ温い空気が充満していた。魔法の名残である。
スノウが放った攻撃は、水で作られた矢だ。帯電によって威力をあげたそれを、エルは単に障壁で防いだわけではなかった。ただ防ぐだけでは、弾かれた力が周囲に散り更なる被害を生むからだ。通常ならば力を吸収させる障壁を張るのだが、エルは火系の魔法によって互いに力を相殺する方法を取った。そのため、周囲にはその副産物である蒸気が充満している。
当然ながら、エルにとってこの程度の魔法は大した労でもない。ただ咄嗟に相殺する手段を取るあたりにエルの動揺が現れているのだが、そこに気づくのはアイシャくらいのものだろう。
スノウが現れたことか、それとも魔法を行使したことか。あるいはもっと別の何かに、エルは動揺しているようだった。
そんな主と勇者、そして不思議そうなスノウを眺め、アイシャは密かにため息をつく。
脳裏に蘇るのはつい先ほどのやりとりだ。スノウが乗り込んでくる、少し前のことである。
エルと勇者が激しい剣戟を繰り広げるのを、アイシャは大した心配もせずに眺めていた。
互いの力は拮抗しているように見えるが、それは意図してそうみせているだけだということは、アイシャの目からもわかりきっていた。
元々エルの剣の腕前は、そう強い方ではない。ここ最近ようやく重い腰をあげただけあって、力の方はまずまずだ。ただその技量だけは、アイシャも目を見張るほどの上達だった。技量に筋力が追いつけば強くなる。もしかしたら魔法を使わずとも剣一本で勝てるようになるかもしれない。
そんなことをつらつらと考えながら眺めていたアイシャの感覚に、それはひっかかった。
咄嗟に足をだすと、真横を通り過ぎようとしていた白い体が跳ねた。
「わ、アイシャ……」
驚いたらしく、思わずといった様子で口走るのは、白いネコだ。
「たく、あぶねぇな。何してんだお前」
見上げてくる青い目にそう問えば、白いネコ――スノウは、二、三度と瞬きした。首元で赤いリボンが揺れている。それに何とはなしに違和感を覚えて、ついまじまじとリボンを凝視する。
「うん、仲裁にきたんだけど」
「は?」
「だってこのままじゃ話もできないじゃない?」
アイシャの目をひたと見据えたまま、スノウは不思議そうに首を傾げた。
その思考のほうが不思議だとアイシャは突っ込みたい気持ちを抑える。違和感を彼方へ放り投げ、混乱する頭を収集しようと眉間を揉んだ。
「時間もないし、いくね」
悩むアイシャを暫く見上げて、スノウは軽く断りを入れた。
するりと脇を抜けようとする白い体に、アイシャは慌てる。
スノウの言わんとすることはわからなかったが、どうやらあの剣戟の間に割り込むつもりであることは理解できた。
激しい戦闘のど真ん中。危険だ。危険すぎる。
何より、エルの邪魔をさせるわけにはいかない。そう口にするよりも先に、再び足が出た。
「何言ってんだ、とにかく今は危ないからすっこんでろ!」
あの様子でわかんないのか、とアイシャは叱る。示す先には、激しく斬り結ぶエルと勇者の姿がある。スノウはそれを目で追って、頷いた。
「ああ……大丈夫だよ」
「いやいや! どうみても危ないだろうが! 防御ひとつできないくせにちょろちょろすんなって!」
なんとも呑気な答えを返すスノウに、アイシャは呆れる。いくらなんでも、危機意識が低すぎやしないだろうか。己が無力なネコであることをわかっているのか。
こいつ本気で馬鹿なのか? と睨みつけると、そんなアイシャを見上げて何を思ったのか、スノウは再びこてんと首を傾げた。
「……アイシャって、面倒見いいよなぁ」
「ああ?」
「ううん、何でも。本当に大丈夫だと思うんだ。……でも、そうだね。せっかくだから心配されないようにしようかな」
独り言のようなスノウの言葉に、アイシャが眉を顰める。
するとどこからともなく柔らかな風が流れてきた。はっと周囲に視線を走らせたアイシャの耳に、小さく笑う声が聞こえる。
「ちょっと借りるよ」
聞き慣れたスノウの声。どこか余裕を感じさせるそれが、アイシャのすぐ耳元で聞こえた。
「……っ!」
ありえない事態に、勢いよく振り向く。
すると、すぐ傍に見慣れない青年がいた。白金の髪に青玉の双眸。端正な顔に浮かぶのは、どこか面白がるような笑みだ。
咄嗟に突き飛ばそうとして、それよりも早く相手が体を離した。その手にはいつの間に握られたのか、アイシャ愛用の剣がある。
アイシャの背筋に戦慄が走る。
相手が何者かという疑問よりも、自分がここまでの接近を許したことが信じられなかった。その上、己の愛剣まであっさりと奪われてしまっている。
「そう怖い顔しないでよ。ちゃんと返すから」
柄に嵌った魔法石を撫でながら、相手が言った。薄く色づいた唇は相変わらず笑みを浮かべている。
何者だ、と投げかけようとしてアイシャは気づく。
彼の鋭い聴覚が拾ったのは、聞き慣れた声だった。視覚以外の感覚は、相手が何者かを正確に弾き出している。
そうしてよくよくみてみれば、この顔は見覚えがある。
かつてエルの部屋で。
人の姿を取り戻したスノウを見て、アイシャは納得した。
以前からスノウの行動が怪しいことには気づいていた。ネコのままでは無理なはずの鍵をはずしていた時から、確信めいたものはあったのだ。
だから己の愛剣を『借りて』いったスノウの意図にもある程度気づいていた。
やや強力な魔法を行使して、あそこに割り込むつもりなのだと。
魔力を取り戻したスノウが、エルに攻撃を仕掛けることは予想していた。長くネコの姿ばかり見ていたが、もともとは人間なのだ。手段があるならば、いつエルの首を狙ってもおかしくはない。
アイシャの魔法石でいくら増幅したところで、所詮人間の使う魔法である。エルの敵ではない、とアイシャは思っていた。だからこそ、スノウが愛剣を持っていくことを許容したのだ。
だが、これは予想外だった。
スノウが幾ら魔物の中に順応しているとはいえ、まさか勇者に攻撃の矛先を向けるとは思ってもいなかったのだ。本気で傷を負わせるつもりがなかったのは、スノウの様子からも見て取れるのだが、繰り出された攻撃は人間にとっては危険なレベルだ。
人間の、しかも憎い勇者などどうでもよかったが、何よりスノウの行動に驚いた。そして、さらにそれを庇った形のエルの姿にも。
何がなんだかわからない。
人間が人間に攻撃をし、魔物が人間を庇うなど、あり得ない光景だ。
エルのことだから何らかの意図があるのだろう。だが、長年仕えてきたアイシャにも全く予想がつかない。
この場にいないもう一人の姿を思う。彼がいれば、共に頭を悩ませることができただろう。そもそも自分は頭脳労働向きではないのだ、とアイシャは愚痴をこぼす。調べるのにそんなに時間がかかるものなのか。さっさと調べて戻ってくればいいのに、と混乱も手伝って八つ当たりにも似た怒りがこみ上げる。かつて、これほど彼の帰還を心待ちにしたことがあっただろうか。
奇しくも、渦中の勇者と同じことに混乱したまま、アイシャは傍観に徹していた。スイへの理不尽な怒りをせっせと積み上げながら。
「あいつ……」
何考えてんだ、と舌打ちとともに呟く。
視線の先には、しきりと首を傾げるスノウの姿がある。己のふるった力に納得がいっていない様子だ。
周囲には真っ白な蒸気がたち込め、湿気を含んだ温い空気が充満していた。魔法の名残である。
スノウが放った攻撃は、水で作られた矢だ。帯電によって威力をあげたそれを、エルは単に障壁で防いだわけではなかった。ただ防ぐだけでは、弾かれた力が周囲に散り更なる被害を生むからだ。通常ならば力を吸収させる障壁を張るのだが、エルは火系の魔法によって互いに力を相殺する方法を取った。そのため、周囲にはその副産物である蒸気が充満している。
当然ながら、エルにとってこの程度の魔法は大した労でもない。ただ咄嗟に相殺する手段を取るあたりにエルの動揺が現れているのだが、そこに気づくのはアイシャくらいのものだろう。
スノウが現れたことか、それとも魔法を行使したことか。あるいはもっと別の何かに、エルは動揺しているようだった。
そんな主と勇者、そして不思議そうなスノウを眺め、アイシャは密かにため息をつく。
脳裏に蘇るのはつい先ほどのやりとりだ。スノウが乗り込んでくる、少し前のことである。
エルと勇者が激しい剣戟を繰り広げるのを、アイシャは大した心配もせずに眺めていた。
互いの力は拮抗しているように見えるが、それは意図してそうみせているだけだということは、アイシャの目からもわかりきっていた。
元々エルの剣の腕前は、そう強い方ではない。ここ最近ようやく重い腰をあげただけあって、力の方はまずまずだ。ただその技量だけは、アイシャも目を見張るほどの上達だった。技量に筋力が追いつけば強くなる。もしかしたら魔法を使わずとも剣一本で勝てるようになるかもしれない。
そんなことをつらつらと考えながら眺めていたアイシャの感覚に、それはひっかかった。
咄嗟に足をだすと、真横を通り過ぎようとしていた白い体が跳ねた。
「わ、アイシャ……」
驚いたらしく、思わずといった様子で口走るのは、白いネコだ。
「たく、あぶねぇな。何してんだお前」
見上げてくる青い目にそう問えば、白いネコ――スノウは、二、三度と瞬きした。首元で赤いリボンが揺れている。それに何とはなしに違和感を覚えて、ついまじまじとリボンを凝視する。
「うん、仲裁にきたんだけど」
「は?」
「だってこのままじゃ話もできないじゃない?」
アイシャの目をひたと見据えたまま、スノウは不思議そうに首を傾げた。
その思考のほうが不思議だとアイシャは突っ込みたい気持ちを抑える。違和感を彼方へ放り投げ、混乱する頭を収集しようと眉間を揉んだ。
「時間もないし、いくね」
悩むアイシャを暫く見上げて、スノウは軽く断りを入れた。
するりと脇を抜けようとする白い体に、アイシャは慌てる。
スノウの言わんとすることはわからなかったが、どうやらあの剣戟の間に割り込むつもりであることは理解できた。
激しい戦闘のど真ん中。危険だ。危険すぎる。
何より、エルの邪魔をさせるわけにはいかない。そう口にするよりも先に、再び足が出た。
「何言ってんだ、とにかく今は危ないからすっこんでろ!」
あの様子でわかんないのか、とアイシャは叱る。示す先には、激しく斬り結ぶエルと勇者の姿がある。スノウはそれを目で追って、頷いた。
「ああ……大丈夫だよ」
「いやいや! どうみても危ないだろうが! 防御ひとつできないくせにちょろちょろすんなって!」
なんとも呑気な答えを返すスノウに、アイシャは呆れる。いくらなんでも、危機意識が低すぎやしないだろうか。己が無力なネコであることをわかっているのか。
こいつ本気で馬鹿なのか? と睨みつけると、そんなアイシャを見上げて何を思ったのか、スノウは再びこてんと首を傾げた。
「……アイシャって、面倒見いいよなぁ」
「ああ?」
「ううん、何でも。本当に大丈夫だと思うんだ。……でも、そうだね。せっかくだから心配されないようにしようかな」
独り言のようなスノウの言葉に、アイシャが眉を顰める。
するとどこからともなく柔らかな風が流れてきた。はっと周囲に視線を走らせたアイシャの耳に、小さく笑う声が聞こえる。
「ちょっと借りるよ」
聞き慣れたスノウの声。どこか余裕を感じさせるそれが、アイシャのすぐ耳元で聞こえた。
「……っ!」
ありえない事態に、勢いよく振り向く。
すると、すぐ傍に見慣れない青年がいた。白金の髪に青玉の双眸。端正な顔に浮かぶのは、どこか面白がるような笑みだ。
咄嗟に突き飛ばそうとして、それよりも早く相手が体を離した。その手にはいつの間に握られたのか、アイシャ愛用の剣がある。
アイシャの背筋に戦慄が走る。
相手が何者かという疑問よりも、自分がここまでの接近を許したことが信じられなかった。その上、己の愛剣まであっさりと奪われてしまっている。
「そう怖い顔しないでよ。ちゃんと返すから」
柄に嵌った魔法石を撫でながら、相手が言った。薄く色づいた唇は相変わらず笑みを浮かべている。
何者だ、と投げかけようとしてアイシャは気づく。
彼の鋭い聴覚が拾ったのは、聞き慣れた声だった。視覚以外の感覚は、相手が何者かを正確に弾き出している。
そうしてよくよくみてみれば、この顔は見覚えがある。
かつてエルの部屋で。
人の姿を取り戻したスノウを見て、アイシャは納得した。
以前からスノウの行動が怪しいことには気づいていた。ネコのままでは無理なはずの鍵をはずしていた時から、確信めいたものはあったのだ。
だから己の愛剣を『借りて』いったスノウの意図にもある程度気づいていた。
やや強力な魔法を行使して、あそこに割り込むつもりなのだと。
魔力を取り戻したスノウが、エルに攻撃を仕掛けることは予想していた。長くネコの姿ばかり見ていたが、もともとは人間なのだ。手段があるならば、いつエルの首を狙ってもおかしくはない。
アイシャの魔法石でいくら増幅したところで、所詮人間の使う魔法である。エルの敵ではない、とアイシャは思っていた。だからこそ、スノウが愛剣を持っていくことを許容したのだ。
だが、これは予想外だった。
スノウが幾ら魔物の中に順応しているとはいえ、まさか勇者に攻撃の矛先を向けるとは思ってもいなかったのだ。本気で傷を負わせるつもりがなかったのは、スノウの様子からも見て取れるのだが、繰り出された攻撃は人間にとっては危険なレベルだ。
人間の、しかも憎い勇者などどうでもよかったが、何よりスノウの行動に驚いた。そして、さらにそれを庇った形のエルの姿にも。
何がなんだかわからない。
人間が人間に攻撃をし、魔物が人間を庇うなど、あり得ない光景だ。
エルのことだから何らかの意図があるのだろう。だが、長年仕えてきたアイシャにも全く予想がつかない。
この場にいないもう一人の姿を思う。彼がいれば、共に頭を悩ませることができただろう。そもそも自分は頭脳労働向きではないのだ、とアイシャは愚痴をこぼす。調べるのにそんなに時間がかかるものなのか。さっさと調べて戻ってくればいいのに、と混乱も手伝って八つ当たりにも似た怒りがこみ上げる。かつて、これほど彼の帰還を心待ちにしたことがあっただろうか。
奇しくも、渦中の勇者と同じことに混乱したまま、アイシャは傍観に徹していた。スイへの理不尽な怒りをせっせと積み上げながら。
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