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第二話
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食後に皿洗いを手伝って、その後はゲームをして過ごした。
高崎は一人暮らしが寂しいのかもな。ゲームで盛り上がりながらそんなことを考える。
僕自身はまだ実家にお世話になっている身なので、その気持ちがわかるわけではないけれど。
小腹が空きだした頃、高崎はゲームを止めてキッチンに立った。
「先輩はこれでも食べて、ソファーでゆっくりくつろいでいてくださいよ」
そういわれてジュースとお菓子が出てきたら、誰だってそれを平らげてお言葉に甘えてのんびりすごすんじゃないかなと思う。
実家にいるようにくつろいでスマートフォンを眺めていると、部屋にはどんどんいい匂いが充満してきて、お腹が空いていく。
「先輩、できましたー」
呼ぶ声に机に向かうと、まずはその品数の多さに驚いた。それなりに広い机の上に二人分とは思えない量の料理が並んでいる。
「すごいごちそう」
「張り切って作り過ぎました。たくさん食べてくださいね」
そういいながら小皿に料理をよそっていく高崎。
「ありがとう。いただきます」
手渡された皿を受け取り、机に置く。手を合わせた後、フォークを手に取る。
目の前にはスープやパン、僕には料理名もわからない肉料理や野菜の何かが並んでいて、どれから食べようか迷ってしまう。これ全部が手作りだというのだから驚きしかない。
「たくさんあるんで、ゆっくりつまみながら食べてくださいね。先輩はお酒強くないとのことで、カクテルとかうすーく作りましょうか。何がいいですか?」
「えっと、じゃあコークハイとか」
「かしこまりました!」
居酒屋の店員さながらの返事で、キッチンに向かうとすぐにグラスを二つ持って戻ってくる。
「お待たせしました。コークハイです」
頭を軽く下げ席に高崎が着くのを見守り、グラスをカチンと合わせた。
「かんぱーい」
嬉しそうな高崎につられて頬が自然と緩む。
「俺、お酒好きですし、今日とても楽しいから飲みたくなっちゃって。先輩と楽しく飲めて本当に嬉しいんです」
ご機嫌な高崎をみながら料理にも手を伸ばした。
どの料理もとても美味しく、薄く作ってくれるお酒はほろ酔い気分で楽しめる。高崎は細い体のどこにそんなにものを詰めているのか、そんなに食べて大丈夫なのかというくらい食べて飲んだ。
二人で学生時代や職場の愚痴なんかを話す。気づけば夜もふけ、僕はとても気持ちのいい気分で、この空間の居心地の良さを楽しんでいた。
「先輩、よかったら泊まっていきません?」
だからその言葉に頷いていた。
高崎は頷いた僕を見て、嬉しそうにはしゃぎお風呂にお湯を溜めに行った。
あんなに飲んでいたのにちっとも酔っているように見えない。
数杯飲んでしまったが、僕も酔いは感じていない。
あったかいお風呂に浸かり、高崎の用意してくれた衣服に腕を通す。
続いて高崎が風呂に入った。片づけが残っていないかとテーブルの上やキッチンを見に行ったが、どこも綺麗に片づいている。
綺麗に拭かれたリビングテーブルの横にある椅子に座り、頭をタオルでごしごししながら動画を見ていると、高崎はすぐに出てきた。
頬を上気させたその姿はどこか色っぽい。
そんなことをぼんやり考えていたら、高崎はキッチンへ行き、冷たいジュースをいれてきてくれた。
軽く礼をいって受け取る。
高崎が隣に座ったので、僕はスマートフォンを机に伏せた。
「先輩もう寝ます?」
そう聞く高崎の瞳はどこかうるうるとして、男とわかっていても少しどきどきする。
僕はその瞳から目をそらすと、「そうだな、寝ないけどごろごろはしたいと思ってるよ」といった。
寝室に案内され、そこにある大きなベッドに驚かされる。
「広いベッドじゃないと落ち着かないんですよね」
そういって笑う高崎。部屋の隅には大きなクマのぬいぐるみが置いてあって、普段はそれと一緒に寝ているのかなとなんとなく思った。
広いベッドに二人で寝転がる。男と同じベッドで寝るなんて、そう思わないこともなかったが、高崎ならいい気もする。
寝ないといったものの、寝転んでしまえば眠気が襲ってきて、瞼が重くなっていく。
目を開けたら、高崎が胸の中で眠っていて、僕が抱きしめる形になっていた。
彼女と寝る時いつもそうしているから、抱きしめてしまったのかもしれない。
とりあえず腕を高崎の上からどけて仰向きになる。
「起きた?」
その声に横を見れば高崎と目が合う。
「あぁ、ごめん。彼女と勘違いしたみたいで」
この状況が気まず過ぎて謝った。
「俺が先輩に抱きついて寝たんです。抱きしめてくれて嬉しかった」
寝ぼけた頭の僕には高崎の言葉がなかなか理解できない。
「先輩、今夜だけ……。一回だけ、夢だと思って俺を抱いてくれませんか?」
そういった高崎の目からは涙が溢れだしそうで、その顔がとても可愛かった。
「俺、先輩が好きなんです。明日からは何もなかったようにするんで、今夜だけ先輩と繋がりたい」
そういって泣き出してしまった高崎の涙を僕は指で拭った。
これは浮気になってしまうんだろうか。そう思い高崎を抱こうとしている自分にハッとする。
高崎なら、今夜だけなら、夢ならば、そんな言葉を並べ、自分を肯定しようとする。
今夜のこの家の居心地よさが複雑に考えることを辞めさせようとして、考えるのが面倒くさくなっていく。
高崎は一人暮らしが寂しいのかもな。ゲームで盛り上がりながらそんなことを考える。
僕自身はまだ実家にお世話になっている身なので、その気持ちがわかるわけではないけれど。
小腹が空きだした頃、高崎はゲームを止めてキッチンに立った。
「先輩はこれでも食べて、ソファーでゆっくりくつろいでいてくださいよ」
そういわれてジュースとお菓子が出てきたら、誰だってそれを平らげてお言葉に甘えてのんびりすごすんじゃないかなと思う。
実家にいるようにくつろいでスマートフォンを眺めていると、部屋にはどんどんいい匂いが充満してきて、お腹が空いていく。
「先輩、できましたー」
呼ぶ声に机に向かうと、まずはその品数の多さに驚いた。それなりに広い机の上に二人分とは思えない量の料理が並んでいる。
「すごいごちそう」
「張り切って作り過ぎました。たくさん食べてくださいね」
そういいながら小皿に料理をよそっていく高崎。
「ありがとう。いただきます」
手渡された皿を受け取り、机に置く。手を合わせた後、フォークを手に取る。
目の前にはスープやパン、僕には料理名もわからない肉料理や野菜の何かが並んでいて、どれから食べようか迷ってしまう。これ全部が手作りだというのだから驚きしかない。
「たくさんあるんで、ゆっくりつまみながら食べてくださいね。先輩はお酒強くないとのことで、カクテルとかうすーく作りましょうか。何がいいですか?」
「えっと、じゃあコークハイとか」
「かしこまりました!」
居酒屋の店員さながらの返事で、キッチンに向かうとすぐにグラスを二つ持って戻ってくる。
「お待たせしました。コークハイです」
頭を軽く下げ席に高崎が着くのを見守り、グラスをカチンと合わせた。
「かんぱーい」
嬉しそうな高崎につられて頬が自然と緩む。
「俺、お酒好きですし、今日とても楽しいから飲みたくなっちゃって。先輩と楽しく飲めて本当に嬉しいんです」
ご機嫌な高崎をみながら料理にも手を伸ばした。
どの料理もとても美味しく、薄く作ってくれるお酒はほろ酔い気分で楽しめる。高崎は細い体のどこにそんなにものを詰めているのか、そんなに食べて大丈夫なのかというくらい食べて飲んだ。
二人で学生時代や職場の愚痴なんかを話す。気づけば夜もふけ、僕はとても気持ちのいい気分で、この空間の居心地の良さを楽しんでいた。
「先輩、よかったら泊まっていきません?」
だからその言葉に頷いていた。
高崎は頷いた僕を見て、嬉しそうにはしゃぎお風呂にお湯を溜めに行った。
あんなに飲んでいたのにちっとも酔っているように見えない。
数杯飲んでしまったが、僕も酔いは感じていない。
あったかいお風呂に浸かり、高崎の用意してくれた衣服に腕を通す。
続いて高崎が風呂に入った。片づけが残っていないかとテーブルの上やキッチンを見に行ったが、どこも綺麗に片づいている。
綺麗に拭かれたリビングテーブルの横にある椅子に座り、頭をタオルでごしごししながら動画を見ていると、高崎はすぐに出てきた。
頬を上気させたその姿はどこか色っぽい。
そんなことをぼんやり考えていたら、高崎はキッチンへ行き、冷たいジュースをいれてきてくれた。
軽く礼をいって受け取る。
高崎が隣に座ったので、僕はスマートフォンを机に伏せた。
「先輩もう寝ます?」
そう聞く高崎の瞳はどこかうるうるとして、男とわかっていても少しどきどきする。
僕はその瞳から目をそらすと、「そうだな、寝ないけどごろごろはしたいと思ってるよ」といった。
寝室に案内され、そこにある大きなベッドに驚かされる。
「広いベッドじゃないと落ち着かないんですよね」
そういって笑う高崎。部屋の隅には大きなクマのぬいぐるみが置いてあって、普段はそれと一緒に寝ているのかなとなんとなく思った。
広いベッドに二人で寝転がる。男と同じベッドで寝るなんて、そう思わないこともなかったが、高崎ならいい気もする。
寝ないといったものの、寝転んでしまえば眠気が襲ってきて、瞼が重くなっていく。
目を開けたら、高崎が胸の中で眠っていて、僕が抱きしめる形になっていた。
彼女と寝る時いつもそうしているから、抱きしめてしまったのかもしれない。
とりあえず腕を高崎の上からどけて仰向きになる。
「起きた?」
その声に横を見れば高崎と目が合う。
「あぁ、ごめん。彼女と勘違いしたみたいで」
この状況が気まず過ぎて謝った。
「俺が先輩に抱きついて寝たんです。抱きしめてくれて嬉しかった」
寝ぼけた頭の僕には高崎の言葉がなかなか理解できない。
「先輩、今夜だけ……。一回だけ、夢だと思って俺を抱いてくれませんか?」
そういった高崎の目からは涙が溢れだしそうで、その顔がとても可愛かった。
「俺、先輩が好きなんです。明日からは何もなかったようにするんで、今夜だけ先輩と繋がりたい」
そういって泣き出してしまった高崎の涙を僕は指で拭った。
これは浮気になってしまうんだろうか。そう思い高崎を抱こうとしている自分にハッとする。
高崎なら、今夜だけなら、夢ならば、そんな言葉を並べ、自分を肯定しようとする。
今夜のこの家の居心地よさが複雑に考えることを辞めさせようとして、考えるのが面倒くさくなっていく。
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