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第五話 黒髪の少年と赤髪の女冒険者−2
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移動を始めてから数十分。
広大な地下空間を横断し、さらに同じような空間をいくつか跨ぐ。
まるで蟻のコロニーのようだと、感想を抱いた。
道中に魔物と何度か遭遇をしたが、前衛のアリシアをサポートをすることで、難なく討伐できた。
やがて、目的の場所に到達する。
大人が十人寝転がっても余裕があるほどの広さの空間。
そこは一層明るく、壁や床に魔道具が埋め込まれていた。
恐らくこれが、魔物から身を守る結界の役目をしているのだろう。
二人は一室の壁に腰をかけて休憩をする。
「さて、私は少しここで休息をとってから、地上へ戻ろうと思うが。ルーン、君は?」
「地上へ戻るんですか? なら、僕もご一緒させてください」
「ふふ、それは助かる。道中での戦闘は本当に戦いやすかった。魔法使いと共に戦った経験はあるが、君のは別格だな」
「いや、アリシアさんこそ。剣裁き、見事でした」
「よしてくれ。さっきも言ったが、私は一族の中でも落ちこぼれだ」
アリシアは笑いながら否定する。
ルーンの見た限りでは、アリシアの戦闘技術はなかなかのものだった。
先祖である剣聖イーリアスには劣る。
だが、彼女はまだ十八歳くらい。同年代では指折りだろう。
これから成長する可能性は十分にある。
「魔法の腕が立ち、名前がルーン。君のご両親は、英雄譚がお好きな方だったのか? もしかしたら大賢者本人だったりしてな」
「まさか、そんな。あははは」
「ま、大賢者は老人だと聞く」
「ろ、老人ですか?」
流れていた冷や汗がもっと増える。
勇者パーティーの時に身につけた技術で、ポーカーフェイスを決める。
だが、内心は
老人、だと!?
自分の記憶に、老人の記憶はない。
ボケたから記憶がないのか?
老人は子供の頃の記憶が鮮明になり、大人時代の記憶が薄れていくと聞いたこともある。
まさかそれなのか!?
目まぐるしく思考するが、自分の現状が分からなさすぎるということが、より堅調になるばかりだった。
「同業同士、個人詮索は好ましくないのは重々承知だけど。聞いてもいいかな?」
「なんですか?」
「うむ。見たところ、ルーン殿の装備は中層には向いていない」
自分の装備を見る。
革製の防具は、朽ちかけのボロボロ。武器もナイフだけだ。
防具はともかく、魔法使いならば魔力を高める杖は持っていてもおかしくないかもしれない。
「それに魔法だ。やはり君の魔法は常軌を逸していると思う。詠唱無しや、あの速度での魔法の連射。こんな凄腕の魔術師ならば名が知れ渡らないわけがない」
こんなところでもボロが出ていたのかと、ルーンは頭を抱える。
ルーンにとって詠唱破棄は、もはや出来て当然のことで失念していた。
魔法の連射速度もそうだ。以前はもっと早く連射ができたためか、これくらいは普通だと思い込んでいた。
余計なことを口にせずとも、余計な行動をしてしまっていた。
「えっと……」
「イーリアス様のことも気がかりだった。まるで知り合いのような口ぶり。気になったのはまだある」
まだあるのか、と内心で突っ込む。
確かにイーリアスの件についても迂闊だったと、反省する。
だが、この時点ではアリシアが何代か先の末裔であるとは思いもしなかった。そもそも自分が最低でも百年先の世界にいること自体知る由もなかったのだ。と、誰にいうわけでもないのに言い訳をする。
これだけボロを出して、自分は本当に賢者と言われていたのかと疑った。
「それに大賢者の話をした時。君の表情が一瞬固まったように見えた。もしかして君は」
ああ、だめだ。バレてしまった。
ルーンは絶望した。
バレたこともだが、それだけ自分の言動がお粗末だったことに、酷くショックを受けていた。
「勇者の子孫ではないか?」
「……はい?」
思考が止まる。
勇者の子孫になるのか全く検討がつかない。
話の流れ的には、大賢者ルーン本人またはその子孫ではないかと聞くところのはずだ。
だというのに、アリシアは勇者と言った。
「な、なんで、そう思ったんですか?」
「ん、違ったか? 黒髪に黒い瞳、幼い容姿。異常な力でそう思ったんだが」
「黒髪? 黒い瞳?」
「どうしたんだ、そんなに不思議がって。自分の顔を忘れたのかい? ほら鏡だよ」
ポーチから取り出された簡素な携帯用の鏡を渡される。
「な、なんじゃこりゃぁあああ!」
ルーンは信じられないとばかりに手鏡を見る。
鏡に映るのは、自分の知らない別人の顔だった。
黒髪に黒い瞳は、勇者と同郷と言われても疑わないほどに酷似している。
元々はどこにでもいる茶髪に茶色の瞳と、イーリアスには冴えない農夫の顔だと言われていた。
長年の寝不足による目のクマや、不機嫌そうな目つき、こけた頬は、実年齢よりも老けて見える顔はどこへ行ったのか、クマとは無縁な純粋無垢な瞳に、実年齢よりも若く見える健康的な顔。
以前と比べれば、健康そのものの顔つきをしていた。
「なん、だと……」
鏡越しの自分が頬を触っている。
実は何かの魔道具ではないかと疑ったが、そんな細工が施されているとは到底思えない。
ならばここに写っている顔こそ、今の自分だと嫌でも思い知らされた。
「まるで初めて自分の顔を見たような反応をするんだな」
「いや、えっと……」
「いいさ、君が私を助けてくれたのには変わりない。深入りして申し訳ない」
「いえ、構いません」
アリシアは、これ以上は追及をするつもりはないのか、天井を見つめた。
この一件で、仲間のことを思い出した。
ここがどれほどの年月が経過しているのか分からないが、勇者や聖女、獣王はもう居ないのは確かだろう。
「勇者の子孫とか言っていましたけど。かの英傑たちは子孫を残されているんですか?」
「おとぎ話とか聞いて育っていないのかい?」
アリシアは目を丸くする。
ルーンは、そんな常識のようなことだったのか、と思いながらも。
「残念ながら……。よかったら、聞かせていただけないでしょうか?」
「いいだろう。こほん、では僭越ながら--」
あらましを説明するものだと思っていたら、彼女は一呼吸して御伽噺を語り始めた。
異邦の地から舞い降りた勇者の少年が、邪竜を倒し平和な世界を築き上げた物語。
彼女が話す内容を聞くたびに、昨日のことかのように思い出す。
旅の初めは、弱いと言われていた魔獣すら倒せなかった勇者のこと。旅の途中は料理は自分がすると言った聖女の腕前は絶望的で、近くの街で二週間旅を中断したこと。またたび酒を飲んで、完全に猫化した獣王が翌朝宿の部屋から出てこなかったこと。精霊姫は意外と酒豪で、毎度朝まで付き合わされたこと。
彼女が語り聞かされた御伽噺では決して語られることのない、彼ら彼女らの黒歴史。
「平和になった世界のどこか遠い地で、勇者は聖女様と深い愛で結ばれました。こんな感じかな?」
「勇者様は聖女様と結ばれたんですね」
「私が知っている物語ではな。獣王と精霊姫は自分の国に帰ったって言われている」
「そうですか」
意外だった。
勇者の目的は、邪竜を倒した後に元の世界に帰ることだった。そんな彼がこの世界に残ってくれたのは、素直に嬉しかった。
それに、何だかんだお似合いの二人が結ばれて、聖女の片思いで終わらず良かったと安堵する。
「それにしても、人に聞かせれるほどにその物語がお好きなんですね」
「ああ。一応、我がアーレウス家も勇者と因縁があってね。知っているか? イーリアス様は、あの勇者に剣の指南をしていたのだぞ」
「へぇ、それはすごい」
「だろうだろう? それ故にか幼少はこう言った物語をよく聞かされるのだ」
アリシアは側に立てかけた大剣を撫でる。
顔は見えない。
けれど、幼少の頃を思い懐かしいんでいるように見えた。
「それで因縁というのがだな、どうやらあの勇者とイーリアス様が恋仲だったらしいんだ」
「ぶふぉっ。へ!?」
「分かるよ。あんな物語を聞かされた後に、こんな話されてたらね」
「ええ。どういうことなんです?」
当時のことを思い出す。
勇者と剣聖イーリアスの間に、そんな雰囲気は一切感じなかった。
イーリアスが、一方的に行為を抱いていたのは知っていたが。
「詳しくは知らないんだ。聖女の略奪だとか、なんだとか。我が家系には使命があってね、もし遠い未来。勇者の末裔と出会い異性であるならば、婚姻を結べと」
「ああ……」
ルーンは何となくではあるが察してしまった。
要はこれは嫉妬から出た嘘であり、子孫を介しての悲願の成就だ。
それもきっと悪酒で思わず口にした類の。
そうでなければあの気高い彼女からは想像がつかなかった。
「もし俺がその勇者の末裔だったら、求婚してたですか?」
「いやいや、私とて分別はついている。先祖の悲願とはいえ、他人を巻き込むつもりはない。それにこんなガサツな女に婚姻を求められても困るだろ?」
「俺はアリシアさんのことガサツなんて思いませんでしたよ。綺麗な方ですし」
「ふふ、世辞でも嬉しいよ」
やはりアーレウス家という名家の娘であるアリシアは、どこか気品のある笑い方をする。
見た目は戦士で、女性らしい身の振る舞いのギャップに落ちる男性も少なくないだろう。
いや、強い女性とは同性にも好まれるとは聞く。
それに見窄らしい見た目のルーンに分け隔てなく接する優しい性格。
きっと異性も同性にも好かれるような存在だろう。
「君に子孫か尋ねたのは、個人的な願望だ」
「願望、ですか?」
アリシアはこくりと頷くと、それ以上は何も答えない。
ルーンも深くは追求しなかった。
「長話してしまったな。さて、そろそろ地上へ向かおう」
広大な地下空間を横断し、さらに同じような空間をいくつか跨ぐ。
まるで蟻のコロニーのようだと、感想を抱いた。
道中に魔物と何度か遭遇をしたが、前衛のアリシアをサポートをすることで、難なく討伐できた。
やがて、目的の場所に到達する。
大人が十人寝転がっても余裕があるほどの広さの空間。
そこは一層明るく、壁や床に魔道具が埋め込まれていた。
恐らくこれが、魔物から身を守る結界の役目をしているのだろう。
二人は一室の壁に腰をかけて休憩をする。
「さて、私は少しここで休息をとってから、地上へ戻ろうと思うが。ルーン、君は?」
「地上へ戻るんですか? なら、僕もご一緒させてください」
「ふふ、それは助かる。道中での戦闘は本当に戦いやすかった。魔法使いと共に戦った経験はあるが、君のは別格だな」
「いや、アリシアさんこそ。剣裁き、見事でした」
「よしてくれ。さっきも言ったが、私は一族の中でも落ちこぼれだ」
アリシアは笑いながら否定する。
ルーンの見た限りでは、アリシアの戦闘技術はなかなかのものだった。
先祖である剣聖イーリアスには劣る。
だが、彼女はまだ十八歳くらい。同年代では指折りだろう。
これから成長する可能性は十分にある。
「魔法の腕が立ち、名前がルーン。君のご両親は、英雄譚がお好きな方だったのか? もしかしたら大賢者本人だったりしてな」
「まさか、そんな。あははは」
「ま、大賢者は老人だと聞く」
「ろ、老人ですか?」
流れていた冷や汗がもっと増える。
勇者パーティーの時に身につけた技術で、ポーカーフェイスを決める。
だが、内心は
老人、だと!?
自分の記憶に、老人の記憶はない。
ボケたから記憶がないのか?
老人は子供の頃の記憶が鮮明になり、大人時代の記憶が薄れていくと聞いたこともある。
まさかそれなのか!?
目まぐるしく思考するが、自分の現状が分からなさすぎるということが、より堅調になるばかりだった。
「同業同士、個人詮索は好ましくないのは重々承知だけど。聞いてもいいかな?」
「なんですか?」
「うむ。見たところ、ルーン殿の装備は中層には向いていない」
自分の装備を見る。
革製の防具は、朽ちかけのボロボロ。武器もナイフだけだ。
防具はともかく、魔法使いならば魔力を高める杖は持っていてもおかしくないかもしれない。
「それに魔法だ。やはり君の魔法は常軌を逸していると思う。詠唱無しや、あの速度での魔法の連射。こんな凄腕の魔術師ならば名が知れ渡らないわけがない」
こんなところでもボロが出ていたのかと、ルーンは頭を抱える。
ルーンにとって詠唱破棄は、もはや出来て当然のことで失念していた。
魔法の連射速度もそうだ。以前はもっと早く連射ができたためか、これくらいは普通だと思い込んでいた。
余計なことを口にせずとも、余計な行動をしてしまっていた。
「えっと……」
「イーリアス様のことも気がかりだった。まるで知り合いのような口ぶり。気になったのはまだある」
まだあるのか、と内心で突っ込む。
確かにイーリアスの件についても迂闊だったと、反省する。
だが、この時点ではアリシアが何代か先の末裔であるとは思いもしなかった。そもそも自分が最低でも百年先の世界にいること自体知る由もなかったのだ。と、誰にいうわけでもないのに言い訳をする。
これだけボロを出して、自分は本当に賢者と言われていたのかと疑った。
「それに大賢者の話をした時。君の表情が一瞬固まったように見えた。もしかして君は」
ああ、だめだ。バレてしまった。
ルーンは絶望した。
バレたこともだが、それだけ自分の言動がお粗末だったことに、酷くショックを受けていた。
「勇者の子孫ではないか?」
「……はい?」
思考が止まる。
勇者の子孫になるのか全く検討がつかない。
話の流れ的には、大賢者ルーン本人またはその子孫ではないかと聞くところのはずだ。
だというのに、アリシアは勇者と言った。
「な、なんで、そう思ったんですか?」
「ん、違ったか? 黒髪に黒い瞳、幼い容姿。異常な力でそう思ったんだが」
「黒髪? 黒い瞳?」
「どうしたんだ、そんなに不思議がって。自分の顔を忘れたのかい? ほら鏡だよ」
ポーチから取り出された簡素な携帯用の鏡を渡される。
「な、なんじゃこりゃぁあああ!」
ルーンは信じられないとばかりに手鏡を見る。
鏡に映るのは、自分の知らない別人の顔だった。
黒髪に黒い瞳は、勇者と同郷と言われても疑わないほどに酷似している。
元々はどこにでもいる茶髪に茶色の瞳と、イーリアスには冴えない農夫の顔だと言われていた。
長年の寝不足による目のクマや、不機嫌そうな目つき、こけた頬は、実年齢よりも老けて見える顔はどこへ行ったのか、クマとは無縁な純粋無垢な瞳に、実年齢よりも若く見える健康的な顔。
以前と比べれば、健康そのものの顔つきをしていた。
「なん、だと……」
鏡越しの自分が頬を触っている。
実は何かの魔道具ではないかと疑ったが、そんな細工が施されているとは到底思えない。
ならばここに写っている顔こそ、今の自分だと嫌でも思い知らされた。
「まるで初めて自分の顔を見たような反応をするんだな」
「いや、えっと……」
「いいさ、君が私を助けてくれたのには変わりない。深入りして申し訳ない」
「いえ、構いません」
アリシアは、これ以上は追及をするつもりはないのか、天井を見つめた。
この一件で、仲間のことを思い出した。
ここがどれほどの年月が経過しているのか分からないが、勇者や聖女、獣王はもう居ないのは確かだろう。
「勇者の子孫とか言っていましたけど。かの英傑たちは子孫を残されているんですか?」
「おとぎ話とか聞いて育っていないのかい?」
アリシアは目を丸くする。
ルーンは、そんな常識のようなことだったのか、と思いながらも。
「残念ながら……。よかったら、聞かせていただけないでしょうか?」
「いいだろう。こほん、では僭越ながら--」
あらましを説明するものだと思っていたら、彼女は一呼吸して御伽噺を語り始めた。
異邦の地から舞い降りた勇者の少年が、邪竜を倒し平和な世界を築き上げた物語。
彼女が話す内容を聞くたびに、昨日のことかのように思い出す。
旅の初めは、弱いと言われていた魔獣すら倒せなかった勇者のこと。旅の途中は料理は自分がすると言った聖女の腕前は絶望的で、近くの街で二週間旅を中断したこと。またたび酒を飲んで、完全に猫化した獣王が翌朝宿の部屋から出てこなかったこと。精霊姫は意外と酒豪で、毎度朝まで付き合わされたこと。
彼女が語り聞かされた御伽噺では決して語られることのない、彼ら彼女らの黒歴史。
「平和になった世界のどこか遠い地で、勇者は聖女様と深い愛で結ばれました。こんな感じかな?」
「勇者様は聖女様と結ばれたんですね」
「私が知っている物語ではな。獣王と精霊姫は自分の国に帰ったって言われている」
「そうですか」
意外だった。
勇者の目的は、邪竜を倒した後に元の世界に帰ることだった。そんな彼がこの世界に残ってくれたのは、素直に嬉しかった。
それに、何だかんだお似合いの二人が結ばれて、聖女の片思いで終わらず良かったと安堵する。
「それにしても、人に聞かせれるほどにその物語がお好きなんですね」
「ああ。一応、我がアーレウス家も勇者と因縁があってね。知っているか? イーリアス様は、あの勇者に剣の指南をしていたのだぞ」
「へぇ、それはすごい」
「だろうだろう? それ故にか幼少はこう言った物語をよく聞かされるのだ」
アリシアは側に立てかけた大剣を撫でる。
顔は見えない。
けれど、幼少の頃を思い懐かしいんでいるように見えた。
「それで因縁というのがだな、どうやらあの勇者とイーリアス様が恋仲だったらしいんだ」
「ぶふぉっ。へ!?」
「分かるよ。あんな物語を聞かされた後に、こんな話されてたらね」
「ええ。どういうことなんです?」
当時のことを思い出す。
勇者と剣聖イーリアスの間に、そんな雰囲気は一切感じなかった。
イーリアスが、一方的に行為を抱いていたのは知っていたが。
「詳しくは知らないんだ。聖女の略奪だとか、なんだとか。我が家系には使命があってね、もし遠い未来。勇者の末裔と出会い異性であるならば、婚姻を結べと」
「ああ……」
ルーンは何となくではあるが察してしまった。
要はこれは嫉妬から出た嘘であり、子孫を介しての悲願の成就だ。
それもきっと悪酒で思わず口にした類の。
そうでなければあの気高い彼女からは想像がつかなかった。
「もし俺がその勇者の末裔だったら、求婚してたですか?」
「いやいや、私とて分別はついている。先祖の悲願とはいえ、他人を巻き込むつもりはない。それにこんなガサツな女に婚姻を求められても困るだろ?」
「俺はアリシアさんのことガサツなんて思いませんでしたよ。綺麗な方ですし」
「ふふ、世辞でも嬉しいよ」
やはりアーレウス家という名家の娘であるアリシアは、どこか気品のある笑い方をする。
見た目は戦士で、女性らしい身の振る舞いのギャップに落ちる男性も少なくないだろう。
いや、強い女性とは同性にも好まれるとは聞く。
それに見窄らしい見た目のルーンに分け隔てなく接する優しい性格。
きっと異性も同性にも好かれるような存在だろう。
「君に子孫か尋ねたのは、個人的な願望だ」
「願望、ですか?」
アリシアはこくりと頷くと、それ以上は何も答えない。
ルーンも深くは追求しなかった。
「長話してしまったな。さて、そろそろ地上へ向かおう」
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