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閑話

❁時を超えて❁2

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 大きな世界樹は倒れ、切り株の上には魔石が転がっている。僕はびしょぬれになり尻もちを付いている。

『それをそこに埋めて』

 僕は精霊に言われるがままに魔石を空になった泉の底に植えた。そこからあっという間にまた泉が復活した。瞬間移動しなければ溺れていた所だ。

『レイジュ様がありがとうって』
「え?終わり?」
『そう』
「なんだか、簡単に終わったな…」
 業者を呼ばなくて正解だったな
『リリスのおかげなの』
「え?どういうことだ?」

『リリスも世界樹を伐るのに苦労したからきっと、次の世代の人も大変だろうって、だからリリスは自分の魔力がたくさんの魔石を残したの。それを使ったの』
「誰が持っているの」
『時の精霊』
 ああ、僕は時の精霊と契約をしていた。
「僕の精霊が持ってるってこと?」
『そう』
「今日はあまり話さなかったね」
 自身の精霊に話しかける。
『うまくいくか分からなかったから…こわかった』

「君はそのリリスと契約していた?」
 こくんと頷く紫に輝く精霊
「僕のご先祖様だよね?どんな人だったの?」
 興味本位で聞いてみた。精霊はなぜか嬉しそうな顔を見せた。
『こっち来て』

 紫の光に案内されたのは、レイジュの泉の少し先にある古い町並みが残る村だ。昔は人が住んでいたのだろうと思われた。
『ここはリリスたちが晩年住んでいたところ』
「そうなのか」
 まだキレイな状態だ。少し手入れをすれば住むことが出来るだろう。しばらく進むと村から出て大きな広場に出た。そこにはいまだ沢山の果実が実っている。
「すごい…」

『ここはリリスとバルが眠っているところ』
「バル?」
『リリスの好きな人』
 旦那さんかな?
『リリスは死んでも魔力が凄くてここ一体の果実はリリスの果実なの』
「え?まだ魔力が漏れてこんな果実が実っているってこと?」
『うん』
「凄すぎない?」
『すごいの』
「父さんたちはここの果実を売っていたんだな。僕が大きくなったら連れて行ってくれると約束してたんだ。行く途中で事故に合ったんだけどね」
『そうなんだ』
「うん、ここの果実は1つ500万ルーもする。でも病気の人が食べるとどんな病も治ってしまうんだ。だから闇取引とかあったらしくて昔は大変だったそうだよ。今はちゃんと取り締まっているから心配ないって父さんは言ってた」
『だから、後ろから変な人たちが付いて来てたんだね』
「そう、父さんも母さんもたぶん殺されたんだ。バカだよね。父さんたちを殺したら場所が分からないじゃないか。だから僕は何度も誘拐されそうになったけどね」
『転移出来るもんね』
「そ、だから僕を誘拐するのは諦めたんだろうけど、その変わり父さんたちを殺した」
『恨んでるの?』
「いや、父さんたちはいつかこうなるんじゃないかって言っていたんだ。だから果実園の近くに家を建てようかって言ってたんだよね。あの村のことだったんだろうね」

『リリスはこの果実が好きだったの。だから植えたんだけど…この果実を食べると死ねないからって晩年は食べなかったの。ひとり長生きしても寂しいからって。リリスの家族もみんな食べてなかった』
「何歳まで生きたの?」
『う~ん、いくつだっけ…』
 精霊たちは腕組みをして考え出した。もう忘れているようだ。
「時の精霊ならわかるんじゃないの?」
『リリスと他の人に記憶を見せるなって約束してるから』
「歳だけだよ」
『…145歳』
「え?!それはすごいな」
『でも年を取って皺くちゃになってからの方が長いからいやだって』
「確かに、若いと楽しいかもしれないけど、ばあさん時代が長いとな…」

『あっ付いて来た人たちが竜巻に飛ばされてどっかいっちゃった。うふふ』
「ああ、僕が瞬間移動しちゃったから、帰れなくなってウロウロしてたんだな。竜巻って世界樹を伐ったときの竜巻?」

『そう。今世界中で大混乱になっている。うふふ』
うふふって…

『でも付いて来てもここにはリリスの強力な結界がまだ残っているから私たちが認めないと入ってこれないけどね』
「そうなんだね、結界がなくなったら果実園が大変なことになるな」
『結界がなくなったら果実もなくなる』

「ああ、リリスはそんな事も計算づくなのか…すごいご先祖様だな」
 壮大な果実園を見ながら、僕はこれからここの主となったことを実感する。いつか無くなる果実の成分を調べようかと思ったが、それはたぶん過去に色んなご先祖様がもうしているだろう。でも行く就く所はリリスの魔力なんだろうな…だからこの果実がなくなればここは閉鎖だ。
 病気の人以外食べないようにというのはリリスの教えなんだろう。僕も何度も食べたいと駄々をこねたが結局食べさせてもらえなかった。両親も食べたことがないと言っていた。死ぬ前に食べさせようとしたけど、もう死んでいた。正直、事故は故意なのか偶然なのかわからない。でも僕は殺されたのだと思っている。

 しかし泉は残っているわけだから、そこは守って行かないといけない。今でも精霊なしの魔力を管理しているのは教会だ。あの剣を聖ヒース教会に持って行こう。また魔力をパンパンにしてもらわないとな。

『あの剣はルクセルボルン王国が解体する前に、王様が魔力をいっぱいにして魔力が消えないように剣も頑丈に作り変えて泉に沈めたの。それが最後の王の仕事だって』


王様も頑張ったんだな。僕も最小限の務めぐらいは果たそうか…



❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁

閑話はこの回で最後になります(#^^#)
2000年後を描いて見ました。

閑話も含めてありがとうございましたm(__)m

またいつか
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みんなの感想(297件)

YK
2024.07.04 YK

面白かったです!終わってしまって残念です。

もきち
2024.07.04 もきち

ありがとうございます(*^▽^*)
そう言って頂けて本望です。

解除
ask
2024.07.02 ask

リリスとバルが最後まで幸せに暮らせたみたいでよかった〜


素敵なお話をありがとうございました。

もきち
2024.07.03 もきち

コメントありがとうございます(*^▽^*)
年の差婚ですがきっと幸せになったでしょう。

解除
ask
2024.06.30 ask

ピストル弾は、ロゼだから出来るんだと思ってた…
ギルマスは無能ではなかった…無能は私だった…スミマセン

もきち
2024.07.03 もきち

コメントありがとうございます(*^▽^*)
いやいや、無能かも…人情で頑張ってます

解除

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