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第3章
ポスト
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「ポポス」の評判は上々だ。少しずつ安くて質のいい高級ポーションが手に入ると近隣の住民たちから噂が広まり、急病人の多くが「ポポス」に集まった。儲けは幾らもないが、リリスはそれでいいと思っている。やはり貧しい人たちは安い低級ポーションも買えずに身体の不調も我慢して仕事をして重い病気になって若くして亡くなってしまうのだ。
せめて孫が見れるくらいまでは長生き出来たらいいなとリリスは考える。
マジックボックスは陶器とガラス製の2種類を用意した。大・中・小の選べる形にして繁華街にある「ルトヤ」や、雑貨屋さんに置いてもらった。雑貨屋は家が商人のマナに連絡をしてお願いしてもらった。マナはすぐにマジックボックスに興味を持ちマナのお抱えの商店に置いてくれた。ルキにもマナにも作った経緯を説明はしたが使い道は各々に任す事にした。大が金貨1枚・中が10銀貨7枚・小が10銀貨5枚だ。お金持ちがいそうな大通り中心に売り出した。
「ポポス」ではマジックボックスを売るのではなくレンタルをすることにした。レンタル代は月に大は1銀貨3枚、中は1銀貨2枚、小は1銀貨1枚でただの容器代だ。これはスズカで管理をしている。
マジックボックスは、ほとんどリリスの魔力で賄った物になる。ゴミの魔石に1銀貨の入れ物、大きい物でも1銀貨3枚だ。売れれば大儲けである。経費を除けば後はリリスのお金だ。
しかし、このお金ははっきり言って使い道がない。今はもう金貨を集めていた少女ではない。新しい国王の横顔金貨にはもう興味がないのだ。
リリスは「ポポス」のお店を継ぐことになっている。まだ正式ではないが、好きなようにしていいと言われている。禍々しい店の上にはポポス夫妻が住んでいるので店舗代と作業場に置いてある道具をレンタル代として毎月決まった金額、あとは相談役や店番代として給金をポポス夫妻には支払っている。レンタル代や給金は「ポポス」の経費だ。そしてこの中にマジックボックス代も入って来る。
店のカウンターにポストを設けた。貧しい地域が近いためケガや病気をしても支払いが出来ないものやポーションを買わずに自然治癒するものも多い。そんな時にこのポストから支払いをする。というようにした。
店に買いに来ている人たちに余裕があれば募金してくれと言ってある。貧しい人たちのために後は自分の為に募金して、大きなケガをしても支払いが出来なくてもここから出せるよと言った。おつりの銅貨1枚でもいいし金額は決まってないとした。もちろん強制ではない。最初はみんな「変なことを始めたのね」くらいで誰も募金はしなかった。
それはリリスにとって想定内の事。マジックボックスで儲けたお金をどうにかして貧しい人たちに役立てたいと思って設置しただけだ。経費やリリスの手間賃やおこずかいを少し引いたマジックボックスの代金がここに入る。
無料ですべてするのは限界があるし、悪い人も呼び寄せてしまいそうだ。なので無料に近い形にしたのだ。
ポポスは金持ちの考えることはわからんと言っていた。ポポスとククは、リリスの事をただのカフェのお嬢様だと思っている。趣味で錬金術師になった変わったお嬢様だという認識だ。
「ごめんください。あの、お金が今はこれしかないの、でも子供がずっと具合が悪くて…近所の人にこのポストの話を聞いて…いつか返ししますのでポーションを売ってもらえたらと…」
若いお母さんが1銀貨を数枚持って店にきた。
「まず、お子さんをここに連れてくることが出来る?ちょっと具合を見たいんだけど…」
「ええ、もちろん」
そう言って、若いお母さんは家に戻った。
若いお母さんはサチといった。前世の姪っ子と同じ名前だ。元気だろうかとふっと思う。連れて来た子供はまだ1歳くらいの幼児だった。ぐったりとしている。少し触ってみると、元々心臓が悪いようだ。これはポーションでは治らない。
とりあえず栄養失調気味なので空いている部屋に行ってもらい、ククにお願いをしておかゆみたいなものを作ってもらい食べてもらう。
その間にリリスは、マジックボックスの中に保存していた青の高級ポーションを取り出しレイジュの泉の水を1滴混ぜる。少し色が濃くなった青のポーションに変わった。レイジュ様の泉の水はなんでも治るわけではない。正常に戻すだけだ。なので心臓疾患が治ったとしてもとても弱い。なので青の高級ポーションで強くしてもらう。ってことになるのではないかと思って試してみる。試してもひどくなることはない。レイジュ様の泉の水を使っているのだから治る事は治るのだ。
1歳の子にはスプーンでポーションを飲ませ一晩サチと一緒に泊まってもらった。白ちゃんに頼んだら一瞬で治ってしまうけど、ポーションで治したいのだ。明日治ってなかったら白ちゃんにお願いしよう。
朝出勤するとサチから抱き着かれた。泣いている。治らなかったのかと不安になるが、サチは泣いている顔から笑顔が見えた。
「レイがレイが、…走り回って遊んでるんです。初めてあんな元気なレイを見たわ!」
レイとはぐったりとしていたサチの子だ。小さな男の子がハタハタとおぼつかない足で走り回っている。リリスは「こらっ捕まえた!」と言ってレイを抱きしめた。レイはキャキャと暴れている。元気だ。やっと捕まえて直診してみる。昨日の弱っていた心臓とは違い強い鼓動が聞こえる。正常だ。
「サチ、治っているわ。もう大丈夫。元気な普通の男の子と変わらないよ」
レイジュの泉の水と合体した青のポーションが効いたようだ。
「ありがとう、本当にありがとう」
サチに高級ポーションの代金を出せる環境ではないことはわかっている。なのでポストから治療費を出すことにするから大丈夫だと告げた。いつか余裕が出た時に1ベニーでも2ベニーでもいいからポストに入れてくれたらいいと言って帰した。
それを見ていたポポスからは
「余裕が出たからってポストに金を入れるわけはないだろう。ただで高級ポーションを配っているようなもんだ。そのうち痛い目をみるぞ。もうやめておけ」
と、注意を受けた。
それはそうだが…お金があると思われて強盗に入られるかもしれない。それは確かにこわい。でも…もう少し頑張ってみよう。
せめて孫が見れるくらいまでは長生き出来たらいいなとリリスは考える。
マジックボックスは陶器とガラス製の2種類を用意した。大・中・小の選べる形にして繁華街にある「ルトヤ」や、雑貨屋さんに置いてもらった。雑貨屋は家が商人のマナに連絡をしてお願いしてもらった。マナはすぐにマジックボックスに興味を持ちマナのお抱えの商店に置いてくれた。ルキにもマナにも作った経緯を説明はしたが使い道は各々に任す事にした。大が金貨1枚・中が10銀貨7枚・小が10銀貨5枚だ。お金持ちがいそうな大通り中心に売り出した。
「ポポス」ではマジックボックスを売るのではなくレンタルをすることにした。レンタル代は月に大は1銀貨3枚、中は1銀貨2枚、小は1銀貨1枚でただの容器代だ。これはスズカで管理をしている。
マジックボックスは、ほとんどリリスの魔力で賄った物になる。ゴミの魔石に1銀貨の入れ物、大きい物でも1銀貨3枚だ。売れれば大儲けである。経費を除けば後はリリスのお金だ。
しかし、このお金ははっきり言って使い道がない。今はもう金貨を集めていた少女ではない。新しい国王の横顔金貨にはもう興味がないのだ。
リリスは「ポポス」のお店を継ぐことになっている。まだ正式ではないが、好きなようにしていいと言われている。禍々しい店の上にはポポス夫妻が住んでいるので店舗代と作業場に置いてある道具をレンタル代として毎月決まった金額、あとは相談役や店番代として給金をポポス夫妻には支払っている。レンタル代や給金は「ポポス」の経費だ。そしてこの中にマジックボックス代も入って来る。
店のカウンターにポストを設けた。貧しい地域が近いためケガや病気をしても支払いが出来ないものやポーションを買わずに自然治癒するものも多い。そんな時にこのポストから支払いをする。というようにした。
店に買いに来ている人たちに余裕があれば募金してくれと言ってある。貧しい人たちのために後は自分の為に募金して、大きなケガをしても支払いが出来なくてもここから出せるよと言った。おつりの銅貨1枚でもいいし金額は決まってないとした。もちろん強制ではない。最初はみんな「変なことを始めたのね」くらいで誰も募金はしなかった。
それはリリスにとって想定内の事。マジックボックスで儲けたお金をどうにかして貧しい人たちに役立てたいと思って設置しただけだ。経費やリリスの手間賃やおこずかいを少し引いたマジックボックスの代金がここに入る。
無料ですべてするのは限界があるし、悪い人も呼び寄せてしまいそうだ。なので無料に近い形にしたのだ。
ポポスは金持ちの考えることはわからんと言っていた。ポポスとククは、リリスの事をただのカフェのお嬢様だと思っている。趣味で錬金術師になった変わったお嬢様だという認識だ。
「ごめんください。あの、お金が今はこれしかないの、でも子供がずっと具合が悪くて…近所の人にこのポストの話を聞いて…いつか返ししますのでポーションを売ってもらえたらと…」
若いお母さんが1銀貨を数枚持って店にきた。
「まず、お子さんをここに連れてくることが出来る?ちょっと具合を見たいんだけど…」
「ええ、もちろん」
そう言って、若いお母さんは家に戻った。
若いお母さんはサチといった。前世の姪っ子と同じ名前だ。元気だろうかとふっと思う。連れて来た子供はまだ1歳くらいの幼児だった。ぐったりとしている。少し触ってみると、元々心臓が悪いようだ。これはポーションでは治らない。
とりあえず栄養失調気味なので空いている部屋に行ってもらい、ククにお願いをしておかゆみたいなものを作ってもらい食べてもらう。
その間にリリスは、マジックボックスの中に保存していた青の高級ポーションを取り出しレイジュの泉の水を1滴混ぜる。少し色が濃くなった青のポーションに変わった。レイジュ様の泉の水はなんでも治るわけではない。正常に戻すだけだ。なので心臓疾患が治ったとしてもとても弱い。なので青の高級ポーションで強くしてもらう。ってことになるのではないかと思って試してみる。試してもひどくなることはない。レイジュ様の泉の水を使っているのだから治る事は治るのだ。
1歳の子にはスプーンでポーションを飲ませ一晩サチと一緒に泊まってもらった。白ちゃんに頼んだら一瞬で治ってしまうけど、ポーションで治したいのだ。明日治ってなかったら白ちゃんにお願いしよう。
朝出勤するとサチから抱き着かれた。泣いている。治らなかったのかと不安になるが、サチは泣いている顔から笑顔が見えた。
「レイがレイが、…走り回って遊んでるんです。初めてあんな元気なレイを見たわ!」
レイとはぐったりとしていたサチの子だ。小さな男の子がハタハタとおぼつかない足で走り回っている。リリスは「こらっ捕まえた!」と言ってレイを抱きしめた。レイはキャキャと暴れている。元気だ。やっと捕まえて直診してみる。昨日の弱っていた心臓とは違い強い鼓動が聞こえる。正常だ。
「サチ、治っているわ。もう大丈夫。元気な普通の男の子と変わらないよ」
レイジュの泉の水と合体した青のポーションが効いたようだ。
「ありがとう、本当にありがとう」
サチに高級ポーションの代金を出せる環境ではないことはわかっている。なのでポストから治療費を出すことにするから大丈夫だと告げた。いつか余裕が出た時に1ベニーでも2ベニーでもいいからポストに入れてくれたらいいと言って帰した。
それを見ていたポポスからは
「余裕が出たからってポストに金を入れるわけはないだろう。ただで高級ポーションを配っているようなもんだ。そのうち痛い目をみるぞ。もうやめておけ」
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