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第3章
専用ポーション
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高級の材料を確認する。胃の薬に効きそうな薬草を「ポポス」の書庫にある本で内容を確認する。メモをしてそれを揃えていく。
「ポポス」には沢山の錬金術の本がある。先祖が揃えてくれた物やキキが独自で集めた物がある。なるべく暇な時に目を通すようにしていたが、沢山有り過ぎてまだ数冊しか読めていない。リリスは内部に効く薬草の本をまだ読んでいなかったので探すのに苦労してしまった。
『どうしてすぐに治さないの?リリスならすぐに治せるのに』
やっと見つけた薬草辞典で胃を示す言葉を探していたら白ちゃんから質問された。
「ん~治しもいいけど、それじゃあ成長出来ないし、魔力ありきになっちゃう。私は一応どうしてこれで治るのか知りたいのよ。カインはまだすぐに命に係わるわけではなさそうだったし、とりあえず胃に効くポーションを作りましょ!白ちゃんこれからも協力してね」
『どうやって?』
「カインの身体の中がどうなっているか白ちゃんのおかげでよくわかったわ。だからどういう病状でどのくらいの魔力が必要か、とてもよくわかったの。だから白ちゃんが居てくれるだけで助かるわ」
白ちゃんたちは嬉しそうにブンブン飛び回る。
リリスは個人用の錬金鍋を用意して水や薬草や魔力を注ぎ込む。とりあえず、レイジュの泉の水は今は使わない。そのうち使うかもしれないが取り敢えずは自分の腕でやってみる。キキのように薬草の色や香りを頼りにはまだまだなので砂時計を使う。葉3枚の物、葉5枚の物、葉10枚の物の砂時計で測り、微妙なさじ加減で独自のポーションを作ってみる。葉3枚とは葉が煮だす時間の事だ。
薬草は王都の近隣の森でバルの甥っ子指導の元、薬草育成が進んでいる為、最近では新鮮な薬草が揃えられるようになった。キキが新鮮な薬草を求めてイージュレンに移住してしまったような時代ではなくなったようだ。
3時間掛けて3種類の青の高級ポーションが完成した。明日の様子を見てどのポーションが合うのか確認する予定だ。なぜ3種類を作ったかというとやはり薬草の量や質で魔力量も違ってくる。薬草や魔力のムダを減らそうとすると実験して記録するしかない。リリスであれば、時空収納すれば劣化はしない。ムダにならずいつか使用する時が来るはずだ。
高級ポーションを飲むと大抵のモノは治る。しかし、葉3枚はひと瓶で葉5枚は瓶4つ分なのだ。そうすると人によってはひどい症状なのに高い高級ポーションを飲んでも治らないとなったりする。それは1つの論文で話題になっていた。リリスはそれを思い出してその人専用のポーションを作ろうと思ったのだ。
白ちゃんは直接癒すことだけではなく身体のどの部分とかどんな具合かとか色々わかる。そしてその感覚が魔力を通じてリリスにも伝わる。そしてどんな癒し方法がいいのかわかるのだ。
ん~便利でいいんだけどこれも自分自身でわかっているわけじゃないからなんかずるいよね…でもこの世界では精霊は個人の特性なのだからこれでいいのかな?
『やっとリリスの役に立つことが出来るからうれしいよぉ』
いえいえ、いつもお世話になっておりますよ。
カインが一人でやって来た。
「今日はひとり?大丈夫なの?」
「ああ、昨日ちょっと見てもらっただろう?なんか調子よくってさ」
「見ただけよ。ポーションもあげてないわよ?」
「そうなんだけどな…痛みがあんまりなかったんだよ」
また白ちゃんがなんかやったのかしら?
取り敢えずまたお腹を見せてもらう。やはり胃がただれている。全然治ってはいない。なんで痛みがやわらいだのだろう?白ちゃんの力で触ってたからな?
ま、いいや。このただれ具合だと…葉5枚のポーションがいいかな。レベル7で葉5枚か。魔力は…
リリスはメモを取りながらカインを見て行く。
「この青のポーションを試してみて、そしてまた明日来てくれない?」
「ああ、わかった。明日仕事終わりでもいいかい?昼3の音に来るよ」
「ええ、大丈夫よ。今日はゆっくりしていた方がいいわ」
その場でカインは青のポーションを飲んで10銀貨を払って帰った。一気に治るとは思わないけど少しはマシになるはずだ。明日の様子を見てみよう。
もし治ってなかったらまた、カインにまた10銀貨を払わすのは可哀そうだな。一応私の中では被験者だし。私が払ってもいいんだけど…ポポスたちに説明するのが面倒だな…
ま、明日の結果次第だな。明日また考えよう。
次の夕方、カインが来店した。顔色は昨日までとは違ってすこぶる良い。
「カイン、調子が良さそうね?痛みはある?」
「いやまったくないよ。前の体調に戻った感じだよ」
カインのお腹を見せてもらう。
あれ?ただれがない。キレイな胃とはいかなくてもただれが無くなっている。これは思ったより効いたのかもしれない。
「カイン、もう大丈夫みたい。もうポーションは必要ないわ。ただ、たぶんだけど暴飲暴食には気を付けた方がいいと思うわ」
「え?なんで知ってんだ?そうかそれが原因かぁ。サラからもいい加減にしろと言われてたんだった。これからは気を付けるよ」
白ちゃんから『いっぱい食べるから』と聞こえたきたのだ。
「もう大丈夫だと思うけど、1ヶ月くらいしたらまた見せに来てくれない?ちゃんと治っているか見たいの」
「ああ、わかった。今日は金はいいのか?」
「今日はポーションも飲まなくていいからいらないわ。その代わり宣伝しといてね」
「あいよ!」
まるでお医者さんのようだ。錬金とはそんな感じなのだろうか…しかし、葉5枚のポーション…赤字だわ…広告宣伝費だな…
「ポポス」には沢山の錬金術の本がある。先祖が揃えてくれた物やキキが独自で集めた物がある。なるべく暇な時に目を通すようにしていたが、沢山有り過ぎてまだ数冊しか読めていない。リリスは内部に効く薬草の本をまだ読んでいなかったので探すのに苦労してしまった。
『どうしてすぐに治さないの?リリスならすぐに治せるのに』
やっと見つけた薬草辞典で胃を示す言葉を探していたら白ちゃんから質問された。
「ん~治しもいいけど、それじゃあ成長出来ないし、魔力ありきになっちゃう。私は一応どうしてこれで治るのか知りたいのよ。カインはまだすぐに命に係わるわけではなさそうだったし、とりあえず胃に効くポーションを作りましょ!白ちゃんこれからも協力してね」
『どうやって?』
「カインの身体の中がどうなっているか白ちゃんのおかげでよくわかったわ。だからどういう病状でどのくらいの魔力が必要か、とてもよくわかったの。だから白ちゃんが居てくれるだけで助かるわ」
白ちゃんたちは嬉しそうにブンブン飛び回る。
リリスは個人用の錬金鍋を用意して水や薬草や魔力を注ぎ込む。とりあえず、レイジュの泉の水は今は使わない。そのうち使うかもしれないが取り敢えずは自分の腕でやってみる。キキのように薬草の色や香りを頼りにはまだまだなので砂時計を使う。葉3枚の物、葉5枚の物、葉10枚の物の砂時計で測り、微妙なさじ加減で独自のポーションを作ってみる。葉3枚とは葉が煮だす時間の事だ。
薬草は王都の近隣の森でバルの甥っ子指導の元、薬草育成が進んでいる為、最近では新鮮な薬草が揃えられるようになった。キキが新鮮な薬草を求めてイージュレンに移住してしまったような時代ではなくなったようだ。
3時間掛けて3種類の青の高級ポーションが完成した。明日の様子を見てどのポーションが合うのか確認する予定だ。なぜ3種類を作ったかというとやはり薬草の量や質で魔力量も違ってくる。薬草や魔力のムダを減らそうとすると実験して記録するしかない。リリスであれば、時空収納すれば劣化はしない。ムダにならずいつか使用する時が来るはずだ。
高級ポーションを飲むと大抵のモノは治る。しかし、葉3枚はひと瓶で葉5枚は瓶4つ分なのだ。そうすると人によってはひどい症状なのに高い高級ポーションを飲んでも治らないとなったりする。それは1つの論文で話題になっていた。リリスはそれを思い出してその人専用のポーションを作ろうと思ったのだ。
白ちゃんは直接癒すことだけではなく身体のどの部分とかどんな具合かとか色々わかる。そしてその感覚が魔力を通じてリリスにも伝わる。そしてどんな癒し方法がいいのかわかるのだ。
ん~便利でいいんだけどこれも自分自身でわかっているわけじゃないからなんかずるいよね…でもこの世界では精霊は個人の特性なのだからこれでいいのかな?
『やっとリリスの役に立つことが出来るからうれしいよぉ』
いえいえ、いつもお世話になっておりますよ。
カインが一人でやって来た。
「今日はひとり?大丈夫なの?」
「ああ、昨日ちょっと見てもらっただろう?なんか調子よくってさ」
「見ただけよ。ポーションもあげてないわよ?」
「そうなんだけどな…痛みがあんまりなかったんだよ」
また白ちゃんがなんかやったのかしら?
取り敢えずまたお腹を見せてもらう。やはり胃がただれている。全然治ってはいない。なんで痛みがやわらいだのだろう?白ちゃんの力で触ってたからな?
ま、いいや。このただれ具合だと…葉5枚のポーションがいいかな。レベル7で葉5枚か。魔力は…
リリスはメモを取りながらカインを見て行く。
「この青のポーションを試してみて、そしてまた明日来てくれない?」
「ああ、わかった。明日仕事終わりでもいいかい?昼3の音に来るよ」
「ええ、大丈夫よ。今日はゆっくりしていた方がいいわ」
その場でカインは青のポーションを飲んで10銀貨を払って帰った。一気に治るとは思わないけど少しはマシになるはずだ。明日の様子を見てみよう。
もし治ってなかったらまた、カインにまた10銀貨を払わすのは可哀そうだな。一応私の中では被験者だし。私が払ってもいいんだけど…ポポスたちに説明するのが面倒だな…
ま、明日の結果次第だな。明日また考えよう。
次の夕方、カインが来店した。顔色は昨日までとは違ってすこぶる良い。
「カイン、調子が良さそうね?痛みはある?」
「いやまったくないよ。前の体調に戻った感じだよ」
カインのお腹を見せてもらう。
あれ?ただれがない。キレイな胃とはいかなくてもただれが無くなっている。これは思ったより効いたのかもしれない。
「カイン、もう大丈夫みたい。もうポーションは必要ないわ。ただ、たぶんだけど暴飲暴食には気を付けた方がいいと思うわ」
「え?なんで知ってんだ?そうかそれが原因かぁ。サラからもいい加減にしろと言われてたんだった。これからは気を付けるよ」
白ちゃんから『いっぱい食べるから』と聞こえたきたのだ。
「もう大丈夫だと思うけど、1ヶ月くらいしたらまた見せに来てくれない?ちゃんと治っているか見たいの」
「ああ、わかった。今日は金はいいのか?」
「今日はポーションも飲まなくていいからいらないわ。その代わり宣伝しといてね」
「あいよ!」
まるでお医者さんのようだ。錬金とはそんな感じなのだろうか…しかし、葉5枚のポーション…赤字だわ…広告宣伝費だな…
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