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第3章
ドルフェスの娘
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それからも「リリス」やアカデミーで何度か王子と遭遇した。たまに講堂では横に座ったりしてきて、うっとおしいが優秀は優秀のようだ。教授の難しい言葉を嚙み砕いて説明してくれた。
教授も貴族が多いらしく言い回しが貴族のそれのようで、リリスは微妙な所を勘違いをしている箇所もあり、次男坊が訂正してくれた。
なんだいい奴じゃないか
第2王子なんて甘やかされて育ったボンボンかと思っていたら難しい言い回しを分かりやすく丁寧に直してくれる。庶民の言葉もよく理解しているし、態度も横柄ではなく王族という感じがしない。バルのように一般庶民の事をがよく分かっている。
アカデミーでも貴族や庶民からも人気がありセリアの兄のことは分からないが下にこんな庶民感覚の貴族がいる事は、次世代の王室にとってとても頼もしいことだと思う。ちょっとキザっぽいのが鼻につくが…
最近では2人でよく「リリス」で復習している所を見かける事が多くなっている。それはアカデミー構内でも噂をされていた。
「僕たち噂をされているの知っている?」
セリアはにこにことリリスに話掛ける。
こういう所がなければいい男なのに…
「知らない」
「…どんな?とか聞かない。普通…」
「アカデミーに入った頃からいつも男どもが後ろでなんかごちゃごちゃ言っていたわ。言いたいことがあるのならば言えばいいのに。なんなのかしらね」
「なんて言われていた?」
「ん~なんだったかしら?ドルフェスがどうとか…だったかしら?」
ドルフェスとは力ばかりの昔の英雄の名だ。
「ああ、ドルフェスの姓はひどいと思っていたんだ。父に抗議したんだよ。なぜそんな姓を授けたのかって、でも君の父親がドルフェスがいいと言っていたんだって」
「ええ、知っているわ。父から聞いたから」
キースらしい
「じゃあ父上を恨んでいる?でも…」
「恨んでないわよ」
なんで恨むんだ?
「え?でも嫌なんだろう?」
「え?私一言も嫌だなんて言ってないわ。後ろでごちゃごちゃと男どもが言っていたと言ったのよ。勝手に変換しないで」
話を聞いてない人って大抵変換するよね…
「そう…だったかい?でも嫌だろう。僕だったら嫌だよ」
「父が言ってたわ、王様は「ランカスター」の姓を授ける予定だったって」
「え?あの大魔法使いのボブ・ランカスターの「ランカスター」?すごいじゃないか!絶対にそっちがよかっただろう?」
「父はわかっているのよ。そんな偉大な姓を頂いたらそれこそ色々と目立つことを。だから父には感謝してる。「ランカスター」を断ってくれて」
そもそも生い立ちから目立っているのそんな偉大な名前を名乗っていたらますます目立つじゃないか。
「そうなのか…」
「ドルフェスの方が断然いいわ」
中身が思春期の小娘ではない。力自慢の姓が恥ずかしいとかまったくない。
「やっぱり君は変わっているな」
「どうでもいいわ」
「…でも、力自慢とバカにされたりと女の子だと嫌じゃない?」
「全然!許されるのであれば、ごちゃごちゃと言う野郎どもを捻りつぶしてしまいたいわ。女にやられたとあらば、もうごちゃごちゃと言わないだろうし」
「ドルフェス…女の子が…」
「最初にあなたを捻って差し上げましょうか?」
そう言うとリリスは、素早く次男坊の腕を取り腕相撲の体制に持っていき机の上に腕を叩きつけた。次男坊は不意打ちから腕を取られたとしても机にうつ伏せになって、なんとも恥ずかしい恰好だ。
だが、次男坊は男との差を分からせようと腕を持ち上げようとした。しかし、腕は上がらない。なにか薬でも盛ったのかと言うほど腕は上がらない。
リリスは笑っている。
「私はドルフェスの娘よ。バカにしないでね」
にっこりと可愛らしい笑顔で次男坊を捻り潰した。
次男坊はリリスには逆らうまいと誓った。
「リリス」でもランチメニューがある。それをいつも無料で食べていた。実際は両親持ちなわけだけど、なんとなく毎日行くのは気が引ける。それに飽きてしまうので今日は屋台でホットドッグを買い、秋晴れの下リリスは公園のベンチでメメス文書を読みながらホットドッグを食べていた。
気が付くと数少ない錬金術アカデミーの女性徒が歩いてくるのが見えた。顔見知り程度の関係だったので挨拶だけで終わるかと思いきや、女性徒が話し掛けてきた。
「珍しいわね。こんな所で食事なんて。いつも「リリス」で王子様と2人でランチしているのに」
なんだろう…ちょっと嫌味が入っているようだ。
「たまには気分転換よ。青い空の下でランチをしたかったの」
「そうなの。ねえねえ聞いてもいいかしら?王子様と付き合っているの?第2王子なんて狙い目ね。今は婚約者もいらっしゃらないし、憧れるわ~」
と、リリスの隣に座って来た。でも憧れると言いながら言葉に熱がない。
「付き合ってないわよ」
「でもカフェで王子様と手を取って見つめ合っていたって噂が流れているわよ?」
なにそれ?手を取り合って?もしかして腕相撲が手を取って見つめ合っている構図に見えたのかな…ねじ伏せていた所とは思わないか。迷惑な…
教授も貴族が多いらしく言い回しが貴族のそれのようで、リリスは微妙な所を勘違いをしている箇所もあり、次男坊が訂正してくれた。
なんだいい奴じゃないか
第2王子なんて甘やかされて育ったボンボンかと思っていたら難しい言い回しを分かりやすく丁寧に直してくれる。庶民の言葉もよく理解しているし、態度も横柄ではなく王族という感じがしない。バルのように一般庶民の事をがよく分かっている。
アカデミーでも貴族や庶民からも人気がありセリアの兄のことは分からないが下にこんな庶民感覚の貴族がいる事は、次世代の王室にとってとても頼もしいことだと思う。ちょっとキザっぽいのが鼻につくが…
最近では2人でよく「リリス」で復習している所を見かける事が多くなっている。それはアカデミー構内でも噂をされていた。
「僕たち噂をされているの知っている?」
セリアはにこにことリリスに話掛ける。
こういう所がなければいい男なのに…
「知らない」
「…どんな?とか聞かない。普通…」
「アカデミーに入った頃からいつも男どもが後ろでなんかごちゃごちゃ言っていたわ。言いたいことがあるのならば言えばいいのに。なんなのかしらね」
「なんて言われていた?」
「ん~なんだったかしら?ドルフェスがどうとか…だったかしら?」
ドルフェスとは力ばかりの昔の英雄の名だ。
「ああ、ドルフェスの姓はひどいと思っていたんだ。父に抗議したんだよ。なぜそんな姓を授けたのかって、でも君の父親がドルフェスがいいと言っていたんだって」
「ええ、知っているわ。父から聞いたから」
キースらしい
「じゃあ父上を恨んでいる?でも…」
「恨んでないわよ」
なんで恨むんだ?
「え?でも嫌なんだろう?」
「え?私一言も嫌だなんて言ってないわ。後ろでごちゃごちゃと男どもが言っていたと言ったのよ。勝手に変換しないで」
話を聞いてない人って大抵変換するよね…
「そう…だったかい?でも嫌だろう。僕だったら嫌だよ」
「父が言ってたわ、王様は「ランカスター」の姓を授ける予定だったって」
「え?あの大魔法使いのボブ・ランカスターの「ランカスター」?すごいじゃないか!絶対にそっちがよかっただろう?」
「父はわかっているのよ。そんな偉大な姓を頂いたらそれこそ色々と目立つことを。だから父には感謝してる。「ランカスター」を断ってくれて」
そもそも生い立ちから目立っているのそんな偉大な名前を名乗っていたらますます目立つじゃないか。
「そうなのか…」
「ドルフェスの方が断然いいわ」
中身が思春期の小娘ではない。力自慢の姓が恥ずかしいとかまったくない。
「やっぱり君は変わっているな」
「どうでもいいわ」
「…でも、力自慢とバカにされたりと女の子だと嫌じゃない?」
「全然!許されるのであれば、ごちゃごちゃと言う野郎どもを捻りつぶしてしまいたいわ。女にやられたとあらば、もうごちゃごちゃと言わないだろうし」
「ドルフェス…女の子が…」
「最初にあなたを捻って差し上げましょうか?」
そう言うとリリスは、素早く次男坊の腕を取り腕相撲の体制に持っていき机の上に腕を叩きつけた。次男坊は不意打ちから腕を取られたとしても机にうつ伏せになって、なんとも恥ずかしい恰好だ。
だが、次男坊は男との差を分からせようと腕を持ち上げようとした。しかし、腕は上がらない。なにか薬でも盛ったのかと言うほど腕は上がらない。
リリスは笑っている。
「私はドルフェスの娘よ。バカにしないでね」
にっこりと可愛らしい笑顔で次男坊を捻り潰した。
次男坊はリリスには逆らうまいと誓った。
「リリス」でもランチメニューがある。それをいつも無料で食べていた。実際は両親持ちなわけだけど、なんとなく毎日行くのは気が引ける。それに飽きてしまうので今日は屋台でホットドッグを買い、秋晴れの下リリスは公園のベンチでメメス文書を読みながらホットドッグを食べていた。
気が付くと数少ない錬金術アカデミーの女性徒が歩いてくるのが見えた。顔見知り程度の関係だったので挨拶だけで終わるかと思いきや、女性徒が話し掛けてきた。
「珍しいわね。こんな所で食事なんて。いつも「リリス」で王子様と2人でランチしているのに」
なんだろう…ちょっと嫌味が入っているようだ。
「たまには気分転換よ。青い空の下でランチをしたかったの」
「そうなの。ねえねえ聞いてもいいかしら?王子様と付き合っているの?第2王子なんて狙い目ね。今は婚約者もいらっしゃらないし、憧れるわ~」
と、リリスの隣に座って来た。でも憧れると言いながら言葉に熱がない。
「付き合ってないわよ」
「でもカフェで王子様と手を取って見つめ合っていたって噂が流れているわよ?」
なにそれ?手を取り合って?もしかして腕相撲が手を取って見つめ合っている構図に見えたのかな…ねじ伏せていた所とは思わないか。迷惑な…
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