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第2章
選ばれし者
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世界樹は2000年に1度、伐採をすることが決定した。その為には精霊なしの魔石が必要になる。その魔石で剣を作り、その剣で伐るのだ。
精霊なしは気まぐれで生まれるのでなく、故意に生まれてくることがわかった。そして精霊が付かないように魔力を苦くしていることも。
それらの事は世界樹伐る際に、リリスがレイジュ様から受け取った情報だ。目覚めたリリスによって伝えバルがうまい事それらの機関に報告してくれた。
「精霊なしをバカにしてはいけない」とは、そういう事なのかもしれない。
今後、2000年後の世界樹伐採の為、各国で今から準備が始まる。精霊なしが生まれる事は故意だとしても、いつ生まれるのかはわからない。今の内から人材を確保する必要が出てきた。魔石に魔力を落とすのは容易ではなく人1人の人生で直径3cmの魔石が精いっぱいだろうと思われた。大きな剣を作るのはそれほど大変なことなのだ。これから2000年にかけて精霊なしの魔力を魔石に落とし製作される。今後はそのことを認知し教会で本人、両親の了解のもと魔石作りに協力してもらうのだそうだ。今後は精霊なしから『選ばれし者』と言い方を変えるのだそうだ。
もちろん、『選ばれし者』のために生活環境も見直される。今後、精霊なしバンザイとされるかもしれない。
お金の為に精霊なしを選ぶ者も中にはいるかもしれないが、仕事でも生活面で大変になる。いい選択とは言えないだろう。
バルは国王から書簡を「救世主」殿に届けるためドリフェス家の夕食に参加をしていた。その書簡には、「援助金」やその際には「国王との謁見」が記載されていた。
「王様と謁見しなくちゃいけないならいらないよ。お金に困ってないし、今は両親と暮らしているから必要ない」
キースとリエも頷いている。2人にも協力してもらったのだから相談するべきなのかもしれないが、2人も必要ないと言う。
リリスは今最高に幸せなのだ。両親から愛され自由気ままに生きている。お金に困ってあれやこれやと金策を練ることはしなくてよくなった。両親といえば、今まで稼いだリリスの資金でさえ1ベニーだって使わせない。今度受ける錬金術アカデミーだって両親が払うと利かないのだ。
バルだってわかっている。しかし、あんな思いをして勲章もいらない、金もいらないではどの国も納得しない。
「別に聖人君子のつもりはないけど、あれはレイジュ様の為だし、ああ、そうだ。それ教会に寄付するからメール便を安くしてよ。お布施なしで登録、1ベニーくらいで使用できるようにして。今のままじゃあ値段が高くて全然使えない。ていうか一家に1台置けるようにして」
ていうか、長文送れるようにして手紙がめんどい。
「そ、そんなことはムリだろう」
「目から血を出すほどの努力をすればできる!」
「こわい事言うな!」
「今のままで開発が止まっているんだよ。貰ったお金でやってと王様に言っといて」
自分じゃやらない
「どこ目線だよ、おまえは…」
ちなみに、あの剣は泉に置いてきた。忘れていたとも言う。ぶっ倒れたのでそれどこではなかったのだ。今度取ってくると言って行ってない。レイジュ様ロスだ。
レイジュ様がいない泉に行く気がしない。少々複雑な思いもあり、今は思い出したくないのだ。もう少し時間が経てば行けるかもしれないが、作製方法も使用方法もわかったのだし泉に放置でいいのではないかと思っている。しかし、バルからは歴史的価値があるのだとか、今後住民に理解してもらう為展示したりとかしたいのだとかで、取ってこいと言われている。
わかったよ!こんちきしょーめ!
リリスの変化と言えば、レイジュ様が言う樽3杯くらいに魔力に落ち着き、もう体が重くだるくなることも無くなった。錬金術アカデミーの勉強を再開しないとまた落ちるなと考えていると、剣はまだかとバルからメール便が届く。
うっせぇーな、取ってくるよ!
夜、真っ暗な泉。リリスはひとり、レイジュ様の泉に来ていた。
火の精霊に火の玉になってもらう。火の玉を数個引き連れて歩く白いブラウスの女は、傍から見たらゾっとする光景だろう。
しんと静まり返っている森の中、以前は白い幹が威風堂々と立っていて気持ちのよい風景だったが、今では湯気が立ち込める泉のみに変化している。
ちゃぷんと泉に入る。夜にはいつもお風呂として浸かりに来ていた。いつもレイジュ様がいて世間話をし、酒を酌み交わし楽しかった。夜空がこんなにも美しいのにほとんど見ていなかった。
真っ暗な空に満天の星や月が見える。
「おお~キレイだなぁ」
上を向いていないと涙が零れる。
いつも一人で寂しかった。精霊たちが居てくれてなんとかやってこれた。レイジュ様と出会って寂しさもなくなり楽しかった。でもレイジュ様はいつも人の事を思い、森を思いみんなの神様であった。そのことで寂しさも感じられた。だからレイジュ様に深い思い入れをしないように心掛けた。
今では無条件で愛してくれる父と母が現れ、その寂しさもなくなった。父と母にこの場所を教えたのは逃げないためだ。もう寂しくなくなったらこの場所に来る必要がなくなる。そして世界樹伐採から逃げるかもしれないと思ったからだった。父と母に伐採を見ていてほしかった。
もしかしたら最後になるかもしれないと思ったからだ。
精霊なしは気まぐれで生まれるのでなく、故意に生まれてくることがわかった。そして精霊が付かないように魔力を苦くしていることも。
それらの事は世界樹伐る際に、リリスがレイジュ様から受け取った情報だ。目覚めたリリスによって伝えバルがうまい事それらの機関に報告してくれた。
「精霊なしをバカにしてはいけない」とは、そういう事なのかもしれない。
今後、2000年後の世界樹伐採の為、各国で今から準備が始まる。精霊なしが生まれる事は故意だとしても、いつ生まれるのかはわからない。今の内から人材を確保する必要が出てきた。魔石に魔力を落とすのは容易ではなく人1人の人生で直径3cmの魔石が精いっぱいだろうと思われた。大きな剣を作るのはそれほど大変なことなのだ。これから2000年にかけて精霊なしの魔力を魔石に落とし製作される。今後はそのことを認知し教会で本人、両親の了解のもと魔石作りに協力してもらうのだそうだ。今後は精霊なしから『選ばれし者』と言い方を変えるのだそうだ。
もちろん、『選ばれし者』のために生活環境も見直される。今後、精霊なしバンザイとされるかもしれない。
お金の為に精霊なしを選ぶ者も中にはいるかもしれないが、仕事でも生活面で大変になる。いい選択とは言えないだろう。
バルは国王から書簡を「救世主」殿に届けるためドリフェス家の夕食に参加をしていた。その書簡には、「援助金」やその際には「国王との謁見」が記載されていた。
「王様と謁見しなくちゃいけないならいらないよ。お金に困ってないし、今は両親と暮らしているから必要ない」
キースとリエも頷いている。2人にも協力してもらったのだから相談するべきなのかもしれないが、2人も必要ないと言う。
リリスは今最高に幸せなのだ。両親から愛され自由気ままに生きている。お金に困ってあれやこれやと金策を練ることはしなくてよくなった。両親といえば、今まで稼いだリリスの資金でさえ1ベニーだって使わせない。今度受ける錬金術アカデミーだって両親が払うと利かないのだ。
バルだってわかっている。しかし、あんな思いをして勲章もいらない、金もいらないではどの国も納得しない。
「別に聖人君子のつもりはないけど、あれはレイジュ様の為だし、ああ、そうだ。それ教会に寄付するからメール便を安くしてよ。お布施なしで登録、1ベニーくらいで使用できるようにして。今のままじゃあ値段が高くて全然使えない。ていうか一家に1台置けるようにして」
ていうか、長文送れるようにして手紙がめんどい。
「そ、そんなことはムリだろう」
「目から血を出すほどの努力をすればできる!」
「こわい事言うな!」
「今のままで開発が止まっているんだよ。貰ったお金でやってと王様に言っといて」
自分じゃやらない
「どこ目線だよ、おまえは…」
ちなみに、あの剣は泉に置いてきた。忘れていたとも言う。ぶっ倒れたのでそれどこではなかったのだ。今度取ってくると言って行ってない。レイジュ様ロスだ。
レイジュ様がいない泉に行く気がしない。少々複雑な思いもあり、今は思い出したくないのだ。もう少し時間が経てば行けるかもしれないが、作製方法も使用方法もわかったのだし泉に放置でいいのではないかと思っている。しかし、バルからは歴史的価値があるのだとか、今後住民に理解してもらう為展示したりとかしたいのだとかで、取ってこいと言われている。
わかったよ!こんちきしょーめ!
リリスの変化と言えば、レイジュ様が言う樽3杯くらいに魔力に落ち着き、もう体が重くだるくなることも無くなった。錬金術アカデミーの勉強を再開しないとまた落ちるなと考えていると、剣はまだかとバルからメール便が届く。
うっせぇーな、取ってくるよ!
夜、真っ暗な泉。リリスはひとり、レイジュ様の泉に来ていた。
火の精霊に火の玉になってもらう。火の玉を数個引き連れて歩く白いブラウスの女は、傍から見たらゾっとする光景だろう。
しんと静まり返っている森の中、以前は白い幹が威風堂々と立っていて気持ちのよい風景だったが、今では湯気が立ち込める泉のみに変化している。
ちゃぷんと泉に入る。夜にはいつもお風呂として浸かりに来ていた。いつもレイジュ様がいて世間話をし、酒を酌み交わし楽しかった。夜空がこんなにも美しいのにほとんど見ていなかった。
真っ暗な空に満天の星や月が見える。
「おお~キレイだなぁ」
上を向いていないと涙が零れる。
いつも一人で寂しかった。精霊たちが居てくれてなんとかやってこれた。レイジュ様と出会って寂しさもなくなり楽しかった。でもレイジュ様はいつも人の事を思い、森を思いみんなの神様であった。そのことで寂しさも感じられた。だからレイジュ様に深い思い入れをしないように心掛けた。
今では無条件で愛してくれる父と母が現れ、その寂しさもなくなった。父と母にこの場所を教えたのは逃げないためだ。もう寂しくなくなったらこの場所に来る必要がなくなる。そして世界樹伐採から逃げるかもしれないと思ったからだった。父と母に伐採を見ていてほしかった。
もしかしたら最後になるかもしれないと思ったからだ。
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