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第2章
士爵の称号
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リリスにはどういった経緯で捕まったとか、どこに潜伏していたとかは伝えることにしたがジョセフの卑劣な思考は両親内で留めることにした。
リリスは両親に守られ余計な事を知らされずにすんだ。
ジョセフを捕まえたことによりキースに勲章が授与されることになった。士爵の称号が得られるとのこと。一番最下級だが、キースは貴族になるようだ。
しかし、ジョセフ如きを捕まえたぐらいで、貴族にするなんて待遇が良すぎるな
「わかってるよ。狙いはリリスだろう。隣国の元王女の娘に紫の瞳だ。王族の血筋がほしいんだよ。最下級でも貴族になれば貴族との縁組が出来るし、今までは庶民など相手にしないと気取っていた貴族もこれからは上から目線で貰ってやってもいいなどと言ってくることも出来るしな。今までだって自分の養女にして、いいとこに嫁がせてやるぞと言ってくる貴族はたくさんいたんだよ」
「そうなの?」
「ああ、血筋だけでも魅力的なのに、こんなに可愛くて優秀な子だ。誰だってほしくなる」
キースは大きな掌でリリスの頭をぽんぽんとする。
「大丈夫。リリスは好きなことをすればいいの。私たち任せていればいいわ」
リエがリリスを抱きしめる
今まで一人でいた分、両親から守られている自分がまだ信じられない。きっとまだ色んなことが両親の所で止まっているのだろうと、リリスは思う。守られていると肌で感じる。こんな大きな子が戻ってきて本当に嬉しいのだろうかと最初の頃は思っていた。自分ならある程度の生活費を渡して自立してもらうとかするのではないかと思う。でもキースとリエは暖かく迎えてくれて守ってくれている。
リリスはようやく安堵する場所が見つかった。
「貴族になることで仕事上なんの不都合もない。ただリリスの見合いが殺到するだろうな」
「バルは公爵なのよね、バルにお願いして見合いを退けたらいいんじゃない?」
「そんなこと公爵様に頼むなんて出来ないわよ。リリス」
立っているものは親でも使え
「お願いしてみるだけしてみるわ」
「リリス、公爵様だってお忙しいのよ。そんなことでお手を煩わせてはいけないわ」
リエはリリスを窘める。
「わかった」
手紙を送ろう
「…全然わかってないわね」
「わかってる」
「お手紙を送る時は言いなさい。一文添えるわ」
「わかった」
公爵を顎で使うリリスにリエは困り果てる。
「ははは、リリスは大物だ。でも国王様がリリスをご所望したら公爵様だって断れないかもしれないぞ」
そこは断ってくれ
「国王は40歳くらいでしょ?」
「息子が2人いるな。22歳と19歳の、19歳の方はまだ婚約者不在だ」
次男ならいいか、でも退屈そう…
「国王様でもリリスがいやなら、断るわよ。大丈夫。いざとなったら違う国に逃げましょう。その準備はあるわ!」
「大げさだよ。さすがに王子様の方が嫌がるよ」
「あら!あら!あら!どうして!?リリスから断るなら兎も角、相手が嫌がるなんておかしいわ!こんな可愛い子を嫌がるなんて!」
そういう事でなく…
リエとキースがリリスを抱きしめる。
「こんな日が来るなんて思わなかった」
「ああ」
私を挟んでイチャ付かないで
本格的な冬になり、貴族たちは社交界で夜会やお茶会を開始する。若い人たちのお披露目やパーティーが毎夜繰り広げられているとのこと。
まあ、優雅ですこと全然興味がありません。
「リリスも来年16歳になったらキレイなドレスを着てお披露目パーティーをしなくちゃね」
リエがリリスの髪を撫でながらうっとりとしている。
「いえ、お構いなく」
「え?」
「私は錬金術の学校に行くしそんな貴族みたいな事はしたくないから」
「でも…みんな憧れるものよ」
母は元王女だからそういうのが当たり前なのかもしれない。
「いえ、お構いなく」
そこは念を押す
「貴族じゃなくてもリエは事業がうまくいっている人だからそういうパーティーを行って娘をお披露目するのは普通のことだよ。リリスもキレイなドレスを着てみんなから注目されたいだろう?」
「いえ、お構いなく」
3度、言う
「お父さんとお母さんに会えて嬉しかったし幸せよ。オシャレしてショッピングに行くのも楽しいし、でも社交界とかムリ。お母さんは元王女だから全然平気かもしれないけど、私は一般庶民よ。マナーとかも分からないし、付き合い方もわからない。とりあえず今は錬金術師になりたいから社交界とかはお断りします」
若い頃ならいざ知らず、さすがにこの歳で社交界デビューとか勘弁してくれ…中身のことは普段気にならなくなったけど、自分から注目を浴びに行くのはムリムリ…
「リリスがいやなら仕方ないわね。ごめんなさい。ちょっと自慢したかったのよ。こんな可愛い娘がいるのよって。無理強いはしないわ…」
リエは下を向いてキースに寄りかかり顔を埋める。
「泣き落としは通用しないわ」
リリスがきっぱりと言うとリエはガバッと起き上がり
「もう、どうしてわかるのよ!」
リエがぷんすかと怒っている。
何回かやられている。もう引っかからない。
バルからはメール便が届く。
まかせろ
なにをだ!お見合いの件だろうな、レイジュ様の件はどうなった!
キースの勲章の授与式は社交界の真っ只中で執り行われた。パーティーには妻であるリエはもちろんだが、娘のリリスにも招待が届きこの冬の大注目株だ。だがもちろんリリスは行かない。キースが王に謁見した際には娘に会えなかった事をひどく残念がられたそうだ。噂の誘拐事件の娘の顔でも見たかったのかもしれない。
キースは、ドルフェスという家名を頂いた。
ドルフェスとは力自慢と言う意味らしい。キースにはぴったりの家名ではあるな。
バカにされているわけではないよね?
リリスもリリス・ドルフェスとなり貴族の仲間入りをしたのだった。
お見合いの件もバルがうまい事してくれたのか、元々ないのか知らないが貴族からなにも言われないのだそうだ。リエはちょっと残念そうだ。
年が明け、また1年が始まる。
そんな頃、バルからメール便が届く。
明日朝3の音にドルフェス家を訪問する
リリスは両親に守られ余計な事を知らされずにすんだ。
ジョセフを捕まえたことによりキースに勲章が授与されることになった。士爵の称号が得られるとのこと。一番最下級だが、キースは貴族になるようだ。
しかし、ジョセフ如きを捕まえたぐらいで、貴族にするなんて待遇が良すぎるな
「わかってるよ。狙いはリリスだろう。隣国の元王女の娘に紫の瞳だ。王族の血筋がほしいんだよ。最下級でも貴族になれば貴族との縁組が出来るし、今までは庶民など相手にしないと気取っていた貴族もこれからは上から目線で貰ってやってもいいなどと言ってくることも出来るしな。今までだって自分の養女にして、いいとこに嫁がせてやるぞと言ってくる貴族はたくさんいたんだよ」
「そうなの?」
「ああ、血筋だけでも魅力的なのに、こんなに可愛くて優秀な子だ。誰だってほしくなる」
キースは大きな掌でリリスの頭をぽんぽんとする。
「大丈夫。リリスは好きなことをすればいいの。私たち任せていればいいわ」
リエがリリスを抱きしめる
今まで一人でいた分、両親から守られている自分がまだ信じられない。きっとまだ色んなことが両親の所で止まっているのだろうと、リリスは思う。守られていると肌で感じる。こんな大きな子が戻ってきて本当に嬉しいのだろうかと最初の頃は思っていた。自分ならある程度の生活費を渡して自立してもらうとかするのではないかと思う。でもキースとリエは暖かく迎えてくれて守ってくれている。
リリスはようやく安堵する場所が見つかった。
「貴族になることで仕事上なんの不都合もない。ただリリスの見合いが殺到するだろうな」
「バルは公爵なのよね、バルにお願いして見合いを退けたらいいんじゃない?」
「そんなこと公爵様に頼むなんて出来ないわよ。リリス」
立っているものは親でも使え
「お願いしてみるだけしてみるわ」
「リリス、公爵様だってお忙しいのよ。そんなことでお手を煩わせてはいけないわ」
リエはリリスを窘める。
「わかった」
手紙を送ろう
「…全然わかってないわね」
「わかってる」
「お手紙を送る時は言いなさい。一文添えるわ」
「わかった」
公爵を顎で使うリリスにリエは困り果てる。
「ははは、リリスは大物だ。でも国王様がリリスをご所望したら公爵様だって断れないかもしれないぞ」
そこは断ってくれ
「国王は40歳くらいでしょ?」
「息子が2人いるな。22歳と19歳の、19歳の方はまだ婚約者不在だ」
次男ならいいか、でも退屈そう…
「国王様でもリリスがいやなら、断るわよ。大丈夫。いざとなったら違う国に逃げましょう。その準備はあるわ!」
「大げさだよ。さすがに王子様の方が嫌がるよ」
「あら!あら!あら!どうして!?リリスから断るなら兎も角、相手が嫌がるなんておかしいわ!こんな可愛い子を嫌がるなんて!」
そういう事でなく…
リエとキースがリリスを抱きしめる。
「こんな日が来るなんて思わなかった」
「ああ」
私を挟んでイチャ付かないで
本格的な冬になり、貴族たちは社交界で夜会やお茶会を開始する。若い人たちのお披露目やパーティーが毎夜繰り広げられているとのこと。
まあ、優雅ですこと全然興味がありません。
「リリスも来年16歳になったらキレイなドレスを着てお披露目パーティーをしなくちゃね」
リエがリリスの髪を撫でながらうっとりとしている。
「いえ、お構いなく」
「え?」
「私は錬金術の学校に行くしそんな貴族みたいな事はしたくないから」
「でも…みんな憧れるものよ」
母は元王女だからそういうのが当たり前なのかもしれない。
「いえ、お構いなく」
そこは念を押す
「貴族じゃなくてもリエは事業がうまくいっている人だからそういうパーティーを行って娘をお披露目するのは普通のことだよ。リリスもキレイなドレスを着てみんなから注目されたいだろう?」
「いえ、お構いなく」
3度、言う
「お父さんとお母さんに会えて嬉しかったし幸せよ。オシャレしてショッピングに行くのも楽しいし、でも社交界とかムリ。お母さんは元王女だから全然平気かもしれないけど、私は一般庶民よ。マナーとかも分からないし、付き合い方もわからない。とりあえず今は錬金術師になりたいから社交界とかはお断りします」
若い頃ならいざ知らず、さすがにこの歳で社交界デビューとか勘弁してくれ…中身のことは普段気にならなくなったけど、自分から注目を浴びに行くのはムリムリ…
「リリスがいやなら仕方ないわね。ごめんなさい。ちょっと自慢したかったのよ。こんな可愛い娘がいるのよって。無理強いはしないわ…」
リエは下を向いてキースに寄りかかり顔を埋める。
「泣き落としは通用しないわ」
リリスがきっぱりと言うとリエはガバッと起き上がり
「もう、どうしてわかるのよ!」
リエがぷんすかと怒っている。
何回かやられている。もう引っかからない。
バルからはメール便が届く。
まかせろ
なにをだ!お見合いの件だろうな、レイジュ様の件はどうなった!
キースの勲章の授与式は社交界の真っ只中で執り行われた。パーティーには妻であるリエはもちろんだが、娘のリリスにも招待が届きこの冬の大注目株だ。だがもちろんリリスは行かない。キースが王に謁見した際には娘に会えなかった事をひどく残念がられたそうだ。噂の誘拐事件の娘の顔でも見たかったのかもしれない。
キースは、ドルフェスという家名を頂いた。
ドルフェスとは力自慢と言う意味らしい。キースにはぴったりの家名ではあるな。
バカにされているわけではないよね?
リリスもリリス・ドルフェスとなり貴族の仲間入りをしたのだった。
お見合いの件もバルがうまい事してくれたのか、元々ないのか知らないが貴族からなにも言われないのだそうだ。リエはちょっと残念そうだ。
年が明け、また1年が始まる。
そんな頃、バルからメール便が届く。
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