異世界転生したら、なんか詰んでた 精霊に愛されて幸せをつかみます!

もきち

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第2章

王都での日々

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 来年の7月にまた試験を受け直す。そしたら9月から1年間、錬金術アカデミーが始まる。錬金術アカデミーは3ヶ月ごとに階級に上がれるか試験をするらしい。

 最初の9.10.11月は3級で、12.13.1.2月が2級、3.4.5月が1級だ。1級に合格すれば見事卒業だ。高級錬金術師になれる。6.7.8月は付与師になるための授業だ。それに合格すると高級付与錬金術師の称号が手に入る。

 多くの事は学ばない。自身で研究するしかないのだ。そして研究発表をして価値があると分かれば国が資金を提供してくれるかもしれない。

 キキは今は実家のポーション専門店を手伝っているが、来年から錬金術アカデミーの教授として講習をしてほしいと要請されているのだとか。それが決まればキキは女性初の錬金術アカデミーの教授になるという。来年受かれば一緒にアカデミーに通えることになる。

 キキは本当にすごい!
 ザリはというと3級で落とされたそうだ。

 私もせめて1級までは行きたいな。

 リリスはこの1年はキキの仕事の手伝いをすることになった。教授をするに当たって色々と準備をしなくてはならない。リリスは筆記の勉強をしながらキキの手伝いをする事にした。

 ここに来てまたもや、新鮮な素材不足が問題になった。イージュレンに居た頃は新鮮な素材がすぐに手に入ったが王都では手に入らない。王都から森も遠いのでやはり新鮮さを求めるのならば森の近くで作製するしかないのである。ポーションとして作製してしまったら効果のほどは錬金術師によるが腕のいい者であるならば1年ほどは持つらしい。

 しかし冒険者に戻ることにキースとリエは反対している。働かなくていい好きなことをしなさいと、でも好きなことを追求すると素材不足に行き当たってしまう。どうしたものか。

 自分の分だけならまだイージュレンの森の拠点に転移していけば手に入る。それをキキにも分けてもいい。でもそれってその時だけだ。
 私が飽きて辞めてしまったら?もう運んで来る人がいなくなれば新鮮な素材が途絶える。そして、質のいいポーションも途絶える。
 まぁ私が考える事でもないんだけど、せっかくこんなチートなんだから人の役に立ちたいとは思う。今は幸せだし金銭の余裕もある。一人だとなんにも出来ないけど、今の私には力強い両親もいるし、バックには最強錬金術師のキキがいる。なんか何でも出来そうな気がする。

 キキにはすべて打ち明けて素材の件を相談しようか。まず両親に相談しよう。まだまだ恥ずかしいんだよね。甘えなれてないというか。


「ただいま」
 王都の父と母の家。というか邸

 カフェを成功させて今では、従業員を雇い管理しているだけなので忙しく動き回る事はしていない。転移が出来る母はイージュレンにも頻繁に行っていたのだそうだ。
 リエことジュリエットの魔力は実はジュリエッタの数倍あるらしかった。しかし、すべてにおいて上回らなければ気が済まないジュリエッタには必死に隠していたそうだ。

 スズカを見せ、仕事目的ならば貴族専用の転移場所を使って数回転移しイージュレンを往復しても構わないとされている。が、リエは1回で何度でも往復できる魔力のためスズカを見せるだけだ。リリスもその資格を得ている。

「おかえりなさいませ、リリス様」

 王都のお金持ちが住んでいるような場所に2人の邸はあった。メイドも何人も雇い、執事から料理人、庭師などもいる。ちょっとした庭があるだけなのに。
 郊外にも邸があるらしく、そこの庭師だと言う。アイス屋ってそんなに儲かるの?

 父キースは祖国のニールヴァンス王国では騎士をしていた。そこでリエから一目惚れをされたらしい。剣の技術はそんなにないが、腕力が人一倍あるのだとか。
 
 あれ?私って魔力多めなのは母似で、腕力は父似なのかな?

 キースはルクセルボルン王国に移住してきた頃、騎士の練習生に受かり腕力があることから第5部隊に配属された。第5部隊は力自慢が多い部署のようだ。腕力自慢の大柄な騎士たちに比べ、スラリとしていてキレイな容姿のキースは最初の頃はバカにされていたようだ。しかしどんな大柄な男よりも怪力だったキースは、次第に仲間が増えバカにする者はいなくなった。城にリリスがいない事を調べたのもキースだ。

「リリス様、奥様がリビングにいらっしゃいます」
「ありがとう」
 どうも、慣れない。

「帰りましたぁ」
 リエが待っているリビングに入る。入り口は大きく開放的で、リエの好きな小物やお気に入りの皿を飾っていたりとても和む可愛らしいリビングだ。大きな暖炉もあり、冬は快適そうだ。

「おかえり、可愛いリリス。今日はどこに行っていたの?」
リエは無事に帰って来た我が子を抱きしめる。
 照れる、お母さんってこんな事言うの?

「キキと会っていたのよ。キキの店で仕事を手伝うようになったの」
 まだキグシャクしている。これまでも、ショッピングに行ったり郊外の邸に行ったりと一緒に過ごしていたがまだまだ慣れない。一緒に暮らし始めてまだ、5ヶ月ほどだ。これからだ。

 レイジュ様の所にはキキと会う前にこっそりと行って来た。王都にある貴族の転移用を使用しないと許されないとのことなのでちょっと面倒くさい。邸から父と母を連れていつでも泉に転移することの許しをもらいたい。

そろそろレイジュ様がしびれを切らしている。伐ってくれと。

『2年後というたではないか!』

 秋が誕生日だと思っていて王都に移動するのが春の予定だったわけだから、来年の春ね、と逃げている。

 伐るときはバルにも連絡をしよう。そうすれば公爵であるバルなら王様にも話が行くだろう。急に魔素が薄くなったらそれはそれで不安だろう。バルにはいつでも手紙を出してもいいと言われている。

 手紙を出して1週間だ。そろそろ返事が来るかもしれない。

「次に闇の日にピクニックに行かない?」
 まず、両親に打ち明ける。

「まぁいいわね。行きましょ!」
 リエが嬉しそうだ。初めてリリスから外出を誘われたのだ。
「私が案内するから、3人でね」
「楽しみだな」
 キースも一緒だ。

「美味しいご飯もたくさん用意しましょうね」
 リエは料理人たちに伝えてくれとメイドにお願いをした。

 さすがは、元王女だ。使用人の使い方が慣れている。私は一生慣れないような気がする。
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