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第1章

なしなし

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「と、言うわけです。私は巻き込まれただけの一般人です。この人になんら罪状は求めません。私に絡まないと約束してくれたらですけど。あと私の本当の父と母に連絡してもらえたら嬉しいです」

 どうせ、お貴族様だ。対した罪状など出ないだろう。どっかに幽閉とかかな。そんなこともさせないか公爵夫人ですもんね。城で隔離くらいか。一般人の子を誘拐とか貴族にしたらどうでもいいことに違いない、対した罪にはならなそう…
 王を誘惑したかったとかでも、まだしてないし魅了ポーションも使ってないしね。

公爵家の面々はまだ、ぼうとしている。まだ思考回路が戻っていないようだ。
「バル、あとの処理お願いね。私帰るから」
上映会を終えて、サッサと帰ろうとするロゼ
「え!?帰るって」
「私の居場所は分かっているでしょ。決着がついたらおしえて。お家騒動に巻き込まれるのはごめんだよ」

ジャラっと応接室のチェアにジュリエッタのしていた宝石を置く

「これは?」
「ジュリエッタがしていた宝石。たぶん、なんか色々攻撃魔法が、付与されてそうだったからとりあえず奪っといた。返すから。バル教会まで送って」

 とりあえずバルはロゼを集落まで送ることにする。ロゼがいればロゼに質問が集中するだろう。この件は家の問題でロゼはただの被害者だ。

 ロゼを送り届け、戻って来たバルとやっと思考が戻ってきた3人の男と転がっているジュリエッタ

ジュリエッタは相変わらず叫んでいる。

 ジュリエッタはそのまま、部屋で隔離されることになった。
魅了ポーションは収納しているようでどこにあるかわからない。

 氷の拘束は足のみ解除し腕だけ拘束したままだ。
ロゼは近くにいた水の精霊に必要であれば足のみ拘束を解くことをお願いしていた。

 公爵一族は考える。どうすればいい
まず、バルは一般人になったジュリエッタの妹、ジュリエット夫妻に連絡をするという。事の経緯を説明しなければならない。

 ジュリエッタの事を陛下の耳に入れるかどうかで賛否が分かれた。誘惑を測ろうとしていたがまだしてはいない。そんなことで陛下のお耳を汚す事はない。
 王妃の殺害まで疑うが家出中のことで無関係だとされた。王妃は病死と公表されている。言い出されるまで知らん顔をすると決め込んだ。王妃殺害までしていたらお家取り潰しだ。


 魅了ポーションが作り出されていることや癒と闇の融合なども今後の研究材料になることなどから公表するしかないと考えられた。どこで悪用されるかわからない。対策の研究が必要だ。自然とそれを誰に使う目的で作られたのかと言う話になれば陛下にも知る事になるが、仕方がない。
 しかし、個人の研究結果だ。隠匿罪などには問われないだろうという見解になった。研究に協力していた魔術師も拘束した。

 一般の子供を誘拐しただけの罪、我々は知らない事だとした。それは事実だ。我々も騙されたことで個人の罪になるだろうという事で話が付いた。
 ジュリエッタの息子たちは複雑な気持ちだ。冷たい母親だとか優しい母親だとか、なんの感情もない。公爵の妻なのだからそういうものだと思っていたのに母の思考は息子を自分で育てたかった。我々も母親に触れてもらえず寂しかった。母もそうだったのだ。もし何かが違えばまた違う未来があったかもしれない。だからと言って罪は消えはしない。


 ジュリエッタは貴族裁判に掛けられることになった。大恋愛をした妹に嫉妬をしてその娘を攫った罪とされ、貴族を廃し一般人に落とされるという刑となった。
魔力なしの精霊なしのなしなしのジュリエッタのままでだ。

 その裏では一般庶民とはいえ、一人の人間に対する卑劣な行為、魔力を奪うという行為は許されるものではなく、今後このような貴族が現れぬ用にダイヤモンドの製造過程とこの経緯は公表はされないことになった。
 被害者であるジョセフに対しては、イージュレンに居る事は確認されているが連絡は取れていない。

 ロゼのこともバルは何度も聞かれたが彼女は攫われただけの一般人で押し通した。
ジュリエッタの子だと思い会わせたが、ジュリエッタがどういう訳か襲ってきたのでどうにか拘束したのだと説明した。紫の血筋で能力も高そうだが貴族に取り込まれるのを本人が拒否しているため会わせられないとした。
 公爵たちはあまり納得してはいなかった。上映の件などの事も問いただしたかったが、被害者であること、未成年者であること、両親がいるためそちらが優先される事になり話がついた。


 ジュリエッタの判決が下るまで冬の間掛った。バルは大忙しだ。
 貴族に戻るのも早いかもしれない。
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