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第79話 **クラルテ*エピソード2**
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クラルテは縁談を持ってくる貴族にあれを取って来い、これが欲しいと自分では手に入るのが難しい貴重な素材を条件に出した。まず、希望の素材を持ってくる事で信頼度を図ろうとしたのだ。それはまるでかぐや姫のようだ。
素材を持ってくる貴族に対しては何を望むのかを聞き出した。娘との縁談以外を条件に出した。権力をほしい物は娘と結婚を迫って来たがそれを効き入れて貰えないので自然と金になる。
クラルテには金なら腐るほどある。地上の口座には特許申請させた折半とはいえ、今まで困難な魔法薬も手軽に作れるようになり、口座の金は増えに増えた。そしてクラルテの取り巻きは増えた。
知らぬうちクラルテの勢力は拡大し、今まで相手にもしていなかったユリトスは焦った。そこでルイを思い出したのである。十五歳になったルイは歳が近い、そしてバカなマピオンの婚約者にした。どうせ、ルイは兄弟の誰かに嫁がせるつもりでいたので丁度いいタイミングであった。
子供の頃に色々な物を作らせてはいたずらをして遊んでいたが、それが商売になると知ったユリトスはルイに進学を諦めさせ公務といい、まったく関係のない発明をさせた。
しかしルイが仕上げた品物はひどく魔力を消費させる物ばかりだった。ルイに取ってはなんてことのない魔力量でも一般の人間には難しく、これらの特許を取っても量産は出来ない。出来なければ売れないのだ。
クラルテは兄ユリトスの部屋に呼ばれ、今後どうしていきたいのかと問い質されていた。今後とは王位の事だろう。周りの貴族に囃し立てられ我こそはと、勘違いする王族も過去にはいるのだ。
「僕は金儲けしてるだけだよ?儲けた分はきちんと国に納税しているだろう」
「それは分かっているが…」
「僕が王位を狙っていると思っている?それはなに?」
ユリトスの書斎の隅に木箱が放置してあった。その中身を見ると一見ガラクタのような物が無造作に仕舞われていた。
「あ、いや、これは…」
「もしかして、あの子が作ったもの?見せて?」
「しかし…」
「大丈夫だよ。特許と取ったりしないから」
ユリトスは渋々見せた。金にならないモノをずっと所有していても仕方がないのだ。
クラルテはまずルイに特許申請させてそれからクラルテが改良して上書きさせれば半額はルイに入る事になるとユリトスに説明した。
「五割?最初に発明しているのはこちらなのに折半では割に合わないだろう」
「いやならいいんだよ。そんな魔力を消費するような物は誰も作れないからね。それを僕が改良して公開すれば商品にしたい国から金が入る。五割がいやならそのまま公開すれば?」
「せ、せめて三割…」
「五割でいつも契約している。それ以外はないよ」
「…わかった」
クラルテはルイに特許権の申請をして五割のお金がルイに入るようにしていた。しかしいつの間にか、国で開発した事になりお金もユリトスが管理する事になっていた。それをクラルテが知るのはもっと後だ。
最初はユリトスを通していたが、次第にユリトスを通さず品物が出来上がる度にルイはクラルテに説明をするために棟に訪れていた。十六歳になった灰色の髪の子は神秘的な美しさがあった。クラルテ自身の銀髪とは違い、色は少々濃いが淡さが有りきちんとアップされた姿には品があった。そして猫のような真っ黒な瞳、その闇にすべて持っていかれそうになった。クラルテはなぜ婚約者が自分ではないのかと憤りを感じた。
クラルテは開発された物を見る度にルイの発想力に脱帽した。夢中にコピーをしたのだ。しかしその頃、ルイは発明が疲れていやになっていた。いつも無料で魔力を提供して、婚約者からは嫌味を言われる日々が苦痛だった。
クラルテは直接ルイが棟に来てくれる事に喜んでいた。しかし、今まであまり仕事以外で話をして来なかったクラルテはいつもルイに緊張していた。
しかし棟に訪れる度にルイの美しい漆黒の瞳には輝きを失くし、沈んでいるように見えた。そしてお金があるはずのルイはいつも同じドレスを着ていた。王や王妃などルイの誕生日には高級なドレスを送っていると聞いていたのにどうしてひと昔のドレスをずっと着ているのか不思議だった。
「あまり、オシャレには興味がないの?」
なんの前触れもなくクラルテはルイに言い放った。
「え?」
ルイは顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「どうしたの?」
珍しくクラルテから話かけた。クラルテはやっと自分から話しかける事に成功したが、内容がサイアクであった。
ルイは高価なドレスを普段着る事を禁止されていた。第四王子は今開発者として乗りに乗っているとはいえ、勢力争いには関係ない人物だった為、両親は軽視していたのだ。その為ルイには古いドレスでクラルテの所に行かせていたのだ。年頃の女の子であるルイも、いつも同じドレスなのを気にしていた。その恥ずかしさに赤面してしまったのだ。
「あ、いえ」
会話はそれで終わってしまった。
素材を持ってくる貴族に対しては何を望むのかを聞き出した。娘との縁談以外を条件に出した。権力をほしい物は娘と結婚を迫って来たがそれを効き入れて貰えないので自然と金になる。
クラルテには金なら腐るほどある。地上の口座には特許申請させた折半とはいえ、今まで困難な魔法薬も手軽に作れるようになり、口座の金は増えに増えた。そしてクラルテの取り巻きは増えた。
知らぬうちクラルテの勢力は拡大し、今まで相手にもしていなかったユリトスは焦った。そこでルイを思い出したのである。十五歳になったルイは歳が近い、そしてバカなマピオンの婚約者にした。どうせ、ルイは兄弟の誰かに嫁がせるつもりでいたので丁度いいタイミングであった。
子供の頃に色々な物を作らせてはいたずらをして遊んでいたが、それが商売になると知ったユリトスはルイに進学を諦めさせ公務といい、まったく関係のない発明をさせた。
しかしルイが仕上げた品物はひどく魔力を消費させる物ばかりだった。ルイに取ってはなんてことのない魔力量でも一般の人間には難しく、これらの特許を取っても量産は出来ない。出来なければ売れないのだ。
クラルテは兄ユリトスの部屋に呼ばれ、今後どうしていきたいのかと問い質されていた。今後とは王位の事だろう。周りの貴族に囃し立てられ我こそはと、勘違いする王族も過去にはいるのだ。
「僕は金儲けしてるだけだよ?儲けた分はきちんと国に納税しているだろう」
「それは分かっているが…」
「僕が王位を狙っていると思っている?それはなに?」
ユリトスの書斎の隅に木箱が放置してあった。その中身を見ると一見ガラクタのような物が無造作に仕舞われていた。
「あ、いや、これは…」
「もしかして、あの子が作ったもの?見せて?」
「しかし…」
「大丈夫だよ。特許と取ったりしないから」
ユリトスは渋々見せた。金にならないモノをずっと所有していても仕方がないのだ。
クラルテはまずルイに特許申請させてそれからクラルテが改良して上書きさせれば半額はルイに入る事になるとユリトスに説明した。
「五割?最初に発明しているのはこちらなのに折半では割に合わないだろう」
「いやならいいんだよ。そんな魔力を消費するような物は誰も作れないからね。それを僕が改良して公開すれば商品にしたい国から金が入る。五割がいやならそのまま公開すれば?」
「せ、せめて三割…」
「五割でいつも契約している。それ以外はないよ」
「…わかった」
クラルテはルイに特許権の申請をして五割のお金がルイに入るようにしていた。しかしいつの間にか、国で開発した事になりお金もユリトスが管理する事になっていた。それをクラルテが知るのはもっと後だ。
最初はユリトスを通していたが、次第にユリトスを通さず品物が出来上がる度にルイはクラルテに説明をするために棟に訪れていた。十六歳になった灰色の髪の子は神秘的な美しさがあった。クラルテ自身の銀髪とは違い、色は少々濃いが淡さが有りきちんとアップされた姿には品があった。そして猫のような真っ黒な瞳、その闇にすべて持っていかれそうになった。クラルテはなぜ婚約者が自分ではないのかと憤りを感じた。
クラルテは開発された物を見る度にルイの発想力に脱帽した。夢中にコピーをしたのだ。しかしその頃、ルイは発明が疲れていやになっていた。いつも無料で魔力を提供して、婚約者からは嫌味を言われる日々が苦痛だった。
クラルテは直接ルイが棟に来てくれる事に喜んでいた。しかし、今まであまり仕事以外で話をして来なかったクラルテはいつもルイに緊張していた。
しかし棟に訪れる度にルイの美しい漆黒の瞳には輝きを失くし、沈んでいるように見えた。そしてお金があるはずのルイはいつも同じドレスを着ていた。王や王妃などルイの誕生日には高級なドレスを送っていると聞いていたのにどうしてひと昔のドレスをずっと着ているのか不思議だった。
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「え?」
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珍しくクラルテから話かけた。クラルテはやっと自分から話しかける事に成功したが、内容がサイアクであった。
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会話はそれで終わってしまった。
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