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第75話 タールタクト(仮)に行きます
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「フィロデン様、ハート、色々ありがとう」
ルイは残っているかの国の住民たちの今後を相談して漏れる事のないように配慮した。そして孤児や身寄りのない老人はノーズレスクがお世話をしてくれるそうだ。それを聞いて安心したルイはノーズレスクを去る事にした。
「ルイ、行ってしまうのね。寂しいわ」
「いつでも遊びに来てよ。虹の橋を使って」
虹の橋は毎日ではないがたまに現れるようになった。モナルダがサービスをしているようだ。
「ええ、絶対行くわ」
「あまり。ウロウロしてほしくないのだが…」
「フィロデン様もぜひ、いらしてね」
「んん、ああ、もちろん。ハートと一緒に訪問させて貰うよ」
ルイはカミノアとラグ爺を連れて、虹の橋を渡りタールタクト(仮)に向かった。渡った先にはモナルダがいた。
「モナルダ、久しぶりね」
『元気そうね、ルイ』
モナルダがいる場所は海が見渡せる美しい丘だった。そこにはムーンとビアンカがいた。サンは土に潜っているのか姿はない。神獣たちは人間たちとは少し離れた場所に身を置く事にしたようだ。
ビアンカは杯の中からちょっこと顔を出し、こちらを見ている。
『もう人を食べようとは思ってないと思うけど、まだ離れていた方がいいと思うの』
「ふふ、わかった」
サンはまたたくさん糞を落としていた。このツチノコを住民たちにもって行けば実りの季節には豊作が期待出来るだろう。ルイはネックレスに落ちているツチノコをすべて収納してロザージュの所に持っていく事にした。
ムーンとサンがこの地に現れたからなのか荒地はずいぶんと改善されたような気がする。草花が生き生きしていると思うのは気のせいではないはずだ。
丘から降りて来るとたくさんの貢ぎ物が置いてあった。きっとモナルダたちへに違いない。後で持って行って上げよう。
タールが住んでいた邸にはクラルテやその手下の元貴族たちに渡していた。いきなりずっと野営や粗末な家では暴れるかもと思っての処置だった。ロザージュの話だと働かない貴族は邸から追い出し自分たちの出来る仕事をさせているのだとか、その下でロロイカも頑張っているそうだ。
「ルイ!」
ロザージュが、農作業をする格好で駆け寄った。
「ロザージュ、元気そう」
ちょっと日に焼けて小麦色になっている。
「元気よ。両親と一緒に農作業しているわ。今はサウーザが食べ物や生活用品を支援してくれてはいるけど、いずれ無くなってしまうから、頑張らないと!」
「これ、いっぱい落ちてからみんなに配ってあげて、ツチノコと言うんだって。これを田畑に植えれば肥やしになるそうよ。かの国の住民たちなら使い方は知っていると思うけど」
「これが?!わわわ、どこからどんだけ出て来るのよ」
ルイは拾って来たツチノコを大量に出した。ツチノコは見た目はラグビーボールのような大きさと形をしていて蚕のように白くとても軽かった。これを砕いて畑に蒔けばいいのだろう。
「ありがとう。みんな喜ぶわ。神獣様が降臨なさった頃から土が元気になったような気がするの。私、土属性だから畑を耕すのがとても楽なの。転職かもしれない」
ロザージュの笑顔がとても眩しい
「ロザージュ、クラルテの邸まで案内してくれる?」
ルイはロザージュと一緒にクラルテの邸に向かった。その道中、農民と元貴族たちが畑を耕している所を見かけた。まだ売る物も食べ物もないので元かの国の農民と元貴族は助け合いの生活をしているようだった。
「すごい皆頑張ってるのね」
「ええ」
「やあ、ビアンカ。いや、ルイだったね」
「どうも…」
今までの雰囲気とずいぶん違うクラルテがいた。
「働きすぎでは?」
「そうなの。クラルテ様はこちらにいらして誰よりも頑張ているのよ。働かない元貴族がたくさんいてその人たちの対応もしなければならないからって」
「王家が、そして僕がこのような貴族たちを育ててしまったからね」
どうやら責任を感じているらしい。
「第よん…クラルテ様ってそんな人でしたっけ?」
「君まで様はよしてくれ、クラルテでいい。もう貴族ではない。王族でもなくって、今ではすっきりしている。でもね、知らなかったとはいえ、まったく責任がないとは思っていないよ。君が用意してくれていた邸も身体の不自由な老人に住まわしている。僕はずっといい暮らしをしてきたからね。住民たちが元の暮らしを取り戻せるまで一緒に頑張ると決めたんだ。グータラな元貴族たちのケツを叩いているよ」
と、にっこりとルイに笑顔を向けた。
昔のクラルテと言えば、研究しか興味がなく、ルイが雑に開発した物を一心不乱にコピーしていた。日に当たらないから肌は真っ白で作業にかかるととても無口だった為、あんまり関わりたくないなと思ったものだった。
それが今では少しやせはしたが肌の色は少し焼け、表情は豊かになってとても人間らしくなっている。なにがそうさせたのだろう。
元タールの邸の周辺にはタールの邸だけではなく昔、貴族が立てた邸が数件あったがそこはすべて、老人や子供、身重の女性などに住まわしているとの事だった。ルイは本来、クラルテ率いる元貴族軍団にそこに住んで貰うようにしていたのだ。しかし、クラルテが元貴族たちにうまい事を言ったようで誰ひとりとして元貴族たちは住んではいない。
そしてクラルテから案内されたのが小さな村だ。今クラルテたちが寝起きしている所のようだ。家という家はなく、簡単に土魔法で壁を成形して寝床を確保しているくらいの簡素なものでほぼ野営をしているようなものだった。元貴族たちがこんな生活を我慢できるのかと思うのだがカリスマがいる限り大丈夫なのだろうか。なにかクラルテが言う度に元貴族たちが賞賛している。なんだが怪しい宗教のようだとルイは思った。まあ、クラルテが謎に頑張っているのでルイの出番はなさそうで安心した。
「僕は今ここで暮らしてるんだ。どう、少しは見直した?」
「え?」
にっこりとなぜかドヤ顔をするクラルテがなんだか可愛かった。
ルイは残っているかの国の住民たちの今後を相談して漏れる事のないように配慮した。そして孤児や身寄りのない老人はノーズレスクがお世話をしてくれるそうだ。それを聞いて安心したルイはノーズレスクを去る事にした。
「ルイ、行ってしまうのね。寂しいわ」
「いつでも遊びに来てよ。虹の橋を使って」
虹の橋は毎日ではないがたまに現れるようになった。モナルダがサービスをしているようだ。
「ええ、絶対行くわ」
「あまり。ウロウロしてほしくないのだが…」
「フィロデン様もぜひ、いらしてね」
「んん、ああ、もちろん。ハートと一緒に訪問させて貰うよ」
ルイはカミノアとラグ爺を連れて、虹の橋を渡りタールタクト(仮)に向かった。渡った先にはモナルダがいた。
「モナルダ、久しぶりね」
『元気そうね、ルイ』
モナルダがいる場所は海が見渡せる美しい丘だった。そこにはムーンとビアンカがいた。サンは土に潜っているのか姿はない。神獣たちは人間たちとは少し離れた場所に身を置く事にしたようだ。
ビアンカは杯の中からちょっこと顔を出し、こちらを見ている。
『もう人を食べようとは思ってないと思うけど、まだ離れていた方がいいと思うの』
「ふふ、わかった」
サンはまたたくさん糞を落としていた。このツチノコを住民たちにもって行けば実りの季節には豊作が期待出来るだろう。ルイはネックレスに落ちているツチノコをすべて収納してロザージュの所に持っていく事にした。
ムーンとサンがこの地に現れたからなのか荒地はずいぶんと改善されたような気がする。草花が生き生きしていると思うのは気のせいではないはずだ。
丘から降りて来るとたくさんの貢ぎ物が置いてあった。きっとモナルダたちへに違いない。後で持って行って上げよう。
タールが住んでいた邸にはクラルテやその手下の元貴族たちに渡していた。いきなりずっと野営や粗末な家では暴れるかもと思っての処置だった。ロザージュの話だと働かない貴族は邸から追い出し自分たちの出来る仕事をさせているのだとか、その下でロロイカも頑張っているそうだ。
「ルイ!」
ロザージュが、農作業をする格好で駆け寄った。
「ロザージュ、元気そう」
ちょっと日に焼けて小麦色になっている。
「元気よ。両親と一緒に農作業しているわ。今はサウーザが食べ物や生活用品を支援してくれてはいるけど、いずれ無くなってしまうから、頑張らないと!」
「これ、いっぱい落ちてからみんなに配ってあげて、ツチノコと言うんだって。これを田畑に植えれば肥やしになるそうよ。かの国の住民たちなら使い方は知っていると思うけど」
「これが?!わわわ、どこからどんだけ出て来るのよ」
ルイは拾って来たツチノコを大量に出した。ツチノコは見た目はラグビーボールのような大きさと形をしていて蚕のように白くとても軽かった。これを砕いて畑に蒔けばいいのだろう。
「ありがとう。みんな喜ぶわ。神獣様が降臨なさった頃から土が元気になったような気がするの。私、土属性だから畑を耕すのがとても楽なの。転職かもしれない」
ロザージュの笑顔がとても眩しい
「ロザージュ、クラルテの邸まで案内してくれる?」
ルイはロザージュと一緒にクラルテの邸に向かった。その道中、農民と元貴族たちが畑を耕している所を見かけた。まだ売る物も食べ物もないので元かの国の農民と元貴族は助け合いの生活をしているようだった。
「すごい皆頑張ってるのね」
「ええ」
「やあ、ビアンカ。いや、ルイだったね」
「どうも…」
今までの雰囲気とずいぶん違うクラルテがいた。
「働きすぎでは?」
「そうなの。クラルテ様はこちらにいらして誰よりも頑張ているのよ。働かない元貴族がたくさんいてその人たちの対応もしなければならないからって」
「王家が、そして僕がこのような貴族たちを育ててしまったからね」
どうやら責任を感じているらしい。
「第よん…クラルテ様ってそんな人でしたっけ?」
「君まで様はよしてくれ、クラルテでいい。もう貴族ではない。王族でもなくって、今ではすっきりしている。でもね、知らなかったとはいえ、まったく責任がないとは思っていないよ。君が用意してくれていた邸も身体の不自由な老人に住まわしている。僕はずっといい暮らしをしてきたからね。住民たちが元の暮らしを取り戻せるまで一緒に頑張ると決めたんだ。グータラな元貴族たちのケツを叩いているよ」
と、にっこりとルイに笑顔を向けた。
昔のクラルテと言えば、研究しか興味がなく、ルイが雑に開発した物を一心不乱にコピーしていた。日に当たらないから肌は真っ白で作業にかかるととても無口だった為、あんまり関わりたくないなと思ったものだった。
それが今では少しやせはしたが肌の色は少し焼け、表情は豊かになってとても人間らしくなっている。なにがそうさせたのだろう。
元タールの邸の周辺にはタールの邸だけではなく昔、貴族が立てた邸が数件あったがそこはすべて、老人や子供、身重の女性などに住まわしているとの事だった。ルイは本来、クラルテ率いる元貴族軍団にそこに住んで貰うようにしていたのだ。しかし、クラルテが元貴族たちにうまい事を言ったようで誰ひとりとして元貴族たちは住んではいない。
そしてクラルテから案内されたのが小さな村だ。今クラルテたちが寝起きしている所のようだ。家という家はなく、簡単に土魔法で壁を成形して寝床を確保しているくらいの簡素なものでほぼ野営をしているようなものだった。元貴族たちがこんな生活を我慢できるのかと思うのだがカリスマがいる限り大丈夫なのだろうか。なにかクラルテが言う度に元貴族たちが賞賛している。なんだが怪しい宗教のようだとルイは思った。まあ、クラルテが謎に頑張っているのでルイの出番はなさそうで安心した。
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